他県で発生した地震情報を見聞きしたとき、「今度はここにも地震がくるかもしれない・・」と不安に思う方もいるのではないでしょうか。そう感じるのが自然なほど、日本は各地で地震が発生しています。
では、そもそもなぜ日本では地震が多いのでしょうか。
今回は、日本で地震が多い理由について、3つのポイントをあげながら順をおって、できるだけわかりやすく解説していきます。
「なぜ日本は地震が多いのか」そして「日本で地震はどれくらいおきているのか」について、いっしょに学んでみましょう。
日本で地震が多いのはプレートが集まっている場所だから
なぜ日本で地震が多いのか、ひと言でいうと「日本はプレートがぶつかりあう場所に位置しているから」です。
では、一つずつ順をおって解説していきましょう。
私たちは動くプレートの上で生活している~プレートとは?
地面の奥深く、つまり地球の内部は、中心から「核」「マントル(やわらかい部分と硬い部分に分けられる)」「地殻(ちかく)」の3層構造とされています。
このうち「マントル(硬い部分)」と「地殻」のことを『プレート』とよび、硬い岩盤(岩の地盤)になっているのです。つまり、私たちは、このプレートの上で生活しているのです。
そして、プレートはマントルのやわらかい部分の流れにのって、少しづつ動いているとされています。
たとえば、ハワイがのっているプレート(太平洋プレート)は1年間に約8㎝すすむ速さで動いているとされており、「日本とハワイが近づいている」と言われる理由がここにあるのです。
私たちが動くプレートの上で生活していることがわかったところで、次に【世界にはどこにどのようなプレートがあるのか】確認してみましょう。
地表では10数枚のプレートが押しあい、大きな力がうまれている
下の地図は、世界のプレートを示したものです(プレートの名前には赤い線がひかれています)。
このように、世界の国そして海は、すべてプレートの上にのっています。
地球の表面(地表)には10数枚(※)のプレートがあるとされ、それらはパズルのように組み合わされつつ、プレートの境目でぶつかり合っているのです。※プレートの捉え方によって枚数が異なるため、数は断言されていません。
この点について、もう少し詳しくみてみましょう。
プレートがぶつかりあう力がもとになり地震が発生
プレートには、海のプレートと陸のプレートがあります。
この2つのプレートがぶつかる境目では、海のプレートが陸のプレートを引きずりこみながら、下にもぐりこんでいきます。そのため、陸のプレートには大きな力がはたらき、ひずみ(ゆがみ)がたまっていくのです。
そして、このたまったひずみ(ゆがみ)が耐えきれなくなると、陸のプレートが跳ね上がるのです。これが地震の発生であり、海面が持ちあげられたことで津波が発生するのです。このようにしておきた地震は、海溝型(かいこうがた)地震、またはプレート境界型地震とよばれています。
海溝型地震のほかにも、陸のプレートに入ったヒビがずれることで発生する地震(内陸型地震・直下型地震)もあるのですが、いずれにしても【プレートがうみだす大きな力が地震の発生に関係】しているのです。
プレートの境目で地震がおこる仕組みがわかったところで、次に、実際に発生した【地震とプレートの位置関係】を確認してみましょう。
プレートの境目にそって地震が発生している
下の地図は、2011年から2020年のあいだに世界で発生した、地震の震央(震源の真上の地表)の位置を示したものです。
これを見ると、地震の震央(赤色の部分)は、さきほどお見せした世界のプレートの境目とほぼ一致していることがわかります。このことから、プレートの境目では多くの地震が発生していることが確認できます。
では、私たちが生活している【日本とプレートの位置関係】はどのようになっているのか見てみましょう。
日本とその周辺では4枚のプレートがぶつかりあっている
日本そして周辺のプレートについて、下のイラストで確認してみましょう
北海道からおよそ関東地方にかけて「陸のプレート(北米プレート)」、その東側に「海のプレート(太平洋プレート)」があります。
そして、およそ中部地方から九州・沖縄地方にかけて「陸のプレート(ユーラシアプレート)」、その東南側に「海のプレート(フィリピン海プレート)」があります。
世界で10数枚あるプレートのうち、実に4枚ものプレートが日本そして周辺にはあるのです。
これは世界のなかではめずらしいとされており、まさにプレート同士がぶつかりあっている上に位置しているため、日本では地震が多く発生するのです。
ここまで、日本で地震が多い理由を3つのポイントとともにお伝えしました。
日本ではどのくらい地震がおきているのか
ここからは、データをもとに、日本で地震がどのくらいおきているのかみていきましょう。
面積は世界全体の1%にも満たないが地震は20%近く発生
世界地図を見れば、アメリカや中国とくらべると日本が小さいのはすぐわかります。では、世界全体のなかで、日本はどのくらいなのでしょうか。
国土交通省のホームページによると、日本の面積は世界全体の0.25%だとされています。広い世界のなかで、日本の面積は1%にも満たないのです。
しかし、日本で地震がおきた回数をみてみると、それは世界全体の18.5%にもなるといいます(参考文献:国土交通省「日本の地震 これまでとこれから」)。
この数字から、いかに多くの地震が日本で発生しているのかがわかりますね。
では、具体的にどのくらいの地震が日本でおきたのでしょう。
1年間で2,024回の地震が発生した(2021年)
気象庁によると、2021年(令和3年)に日本で発生した地震は2,024回(震度1~震度7)でした。単純に平均すると、1ヶ月あたり約169回もの地震が発生したことになります。
このうち「震度1」が1,584回ともっとも多いのですが、安心できません。
日本では、首都直下型地震や南海トラフ地震といった、とても大きな地震の発生が心配されているのです。
したがって、日本に住んでいるかぎり「いつ大きな地震がきてもおかしくない」という認識をもって、備える必要があるのです。
(参考:気象庁「令和3年(2021年)の地震活動について」)
日本は地震が多く災害が身近だからこそできることがある
今回は、日本で地震が多い理由について、次の3つのポイントをあげながら順に説明してきました。
私たちはもちろん、地震にかぎらず、災害がおきないほうが安心して生活できます。ですが、自然破壊や環境汚染などの問題とともに、世界各地で災害が発生しています。
本記事では、地球の構造からプレートについて、そして地震が発生する仕組みについても学んできました。
「地球や災害の問題を考えるのは難しい・・」と思うことがたくさんあるかもしれません。ですが、地震(災害)が身近な日本にいる私たちだからこそ、それらについて考え取り組む機会が他の国より多くあるのかもしれません。
その機会を生かしながら、少しずつであっても災害に備えていきましょう。
【参考文献】
気象庁「地震発生のしくみ」
名古屋地方気象台「防災情報の解説(地震・津波編)」
中部地方整備局 木曽川下流河川事務所「自分で考え自分の命を守る 防災テキスト」
(以上)