登山の注意点【その1】登山届(捜索の貴重な情報源)は忘れず提出

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四季のある日本では、秋の紅葉を楽しみにしてしている方もいらっしゃるでしょう。また、コロナ禍において密を避けて活動できる楽しみとしても、登山は注目をあびています。

しかし、登山には気をつけないと命を落としかねない危険も潜んでいます。

そこで、今回から3回に分けて、登山の注意点をお伝えします。第1回目の今回は「登山届の提出」です。

目次

登山届が必要となる背景を知る

はじめに、登山届をなぜだす必要があるのか、その背景からみてみましょう。

遭難の原因は登山中の「道迷い」が最多

警察庁のデータによると、令和3年に山で遭難した人は3,075人。そのうち、「登山中」に遭難した人の割合は、77.9%と最多でした。ここでの登山とは、ハイキングや沢登りなども含まれています。(次に多かったのは「山菜・茸採り」11.3%)。

そして、遭難の理由としては「道に迷った(道迷い)」が41.5%ともっとも多く、次が「転倒」で16.6%と、圧倒的に道迷いが多いのです。

これらのデータからは「ちょっと山に登ってみるか」といった軽い気持ちにも遭難のリスクがあること、そして(海には海の危険があるように)山にも危険があるということを、しっかり頭に入れておきましょう。

登山歴のあるベテランでも遭難する

また、遭難は登山の初心者だけでなく、登山歴の長いベテランの方でも起こります。あるNHKのサイトでは、実際に遭難した人へのインタビューが掲載されています(参考元:NHK「低い山でなぜ遭難してしまうの?~救助された人に聞いてみた」)。

そこでは、登山歴30年の方が「いつの間にか迷ってしまっていた」と話されているのです。この記事では、低い山ならではの危険を記しているのですが、登山歴に関係なく遭難する危険があることを知ることができます。

ここまで、登山届を提出する背景として、➀遭難の原因トップは「道迷い」であること、そして、➁遭難は初心者からベテランまで起こり得る、という2点をお伝えしました。

では次に、登山届とはどのようなものか具体的に解説します。

登山届は遭難時、発見されやすさにつながる貴重な情報源

登山届は登山計画書などともよばれており、入山・下山予定時間や登山ルート、緊急連絡先・装備品などを記載するものです。これらの情報を警察に提出しておくことで、万が一遭難した場合に捜索の手がかりとなることができるのです。

遭難したとき、山のどのあたりにいるのか全く検討がつかない状況と、登山計画(登山ルート・経由地など)が把握できている状況とでは、捜索のしやすさに差がでることは想像できるでしょう。

登山届は警察署に提出する(郵送・持参・PC・スマホからの入力)

登山届は各警察署に提出します。ホームページから用紙をダウンロードして記載し郵送やFAXで提出、または、パソコンやスマートフォン上で入力し、そのまま送信(提出)できるところもあります。

登山届を入手するには、登山する山がある都道府県名で「登山届 ◯◯県」などと検索すると、見つけやすいでしょう。

登山届をインターネット上で簡単に作成「コンパス」

登山届をサイト上で作成・提出できるサービスに「コンパス」があります。

コンパスとは、公益社団法人日本山岳ガイド協会等が運営しているサイトで、有料のサービスもありますが、登山届は無料で作成・提出できます。しかも、警察(自治体)によってはコンパスと連携しており、遭難時にはコンパスで作成した登山届を閲覧することで、遭難時の捜索に役立てています。

連携している自治体は、こちらから確認できますが、このサイトでは、連携している自治体の登山関連サイトにリンクが張られているので、情報収集にも便利につかうことができます。

登山届の提出は法律で努力義務となった

このように、捜索時の貴重な情報源でもある登山届ですが、法改正(活動火山対策特別措置法11条2項)によって、その提出は努力義務となりました。

この改正の契機となったのが、2014年9月27日に発生した御嶽山の噴火(死者・行方不明63名)です。このとき、登山届が出されていないことによって、捜索が難航したと言われているのです。

(参考元)
内閣府「登山者のみなさん 登山者の努力義務ご存知ですか」
NHK:御嶽山「噴火の証言」

登山届の提出が義務化された山もある

一方、長野県や石川県など条例によって登山届の提出を義務化したところもあります。義務化されているにも関わらず、提出しないで登山した場合には罰則も課せられます。

罰則があるから提出するというものではありませんが、それだけ登山届を提出することには意義があると理解できるでしょう。

(参考元)
長野県:長野県での登山は「登山計画書」の届出が必要です!
石川県「白山の登山届の提出の義務化について」

捜索者に自分の居場所を知ってもらえていることは重要

今回は、登山の注意点「登山届を忘れずに提出すること」についてお伝えしました。

なかには登山届の提出は面倒だったり、登山の自由度が損なわれるようで抵抗を感じる方もいらっしゃることでしょう。ですが、山には噴火や遭難といったリスクがあります。リスクがある場所に行くからには、命を守るための備えをセットで考えてみてはいかがでしょう。

筆者は東日本大震災(2011年3月11日発生、マグニチュード9.0)で、迫る津波から見ず知らずのアパートに避難していたのですが、電話が通じないなか、消防にも家族にも避難先を伝えることはできませんでした。海の災害(津波)と山の災害では異なる点もありますが、自分の居場所がたとえおおよそであっても「捜索者(警察や消防)に伝わっている」ことは、命を守るうえでとても大きなことだと感じています。

本記事を通じて登山の注意点を知っていただき、楽しく安全な登山をしていただけることを願っています。

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(以上)

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この記事を書いた人

東北出身&在住フリーライター。
広告代理店・NPO・行政で勤務後、在宅ワーカーに転身。
妊娠中に東日本大震災に遭い、津波から避難・仮設住宅で子育てをする。
本サイトでは「命を守るために知っておきたいこと」「日常に潜むリスクへの備え」などについて発信します。
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