SDGsへの取り組みが盛んな昨今。個人ベースでも、何らかの取り組みをされている方もいることでしょう。
政府も精力的に取り組みを始めていて、農林水産省では「営農型太陽光発電」にて、SDGsの6つの目標にコミットすると公表しています。
そこで、防災の視点から営農型太陽光発電の目標が、どのようにコミットしているのか?を考えてみます。
SDGsとは持続可能な開発目標
SDGs(エス・ディー・ジーズ)との単語を聞かない日がないほど、メディアやネットニュースで取り上げられています。
「単語は知っていても中身は知らない」という方も少なくないはず。ここでは、改めて「SDGsってなんだっけ?」の疑問を解消しておきましょう。
17の目標を継続することで幸せになろう!と理解すると分かりやすい
SDGsは17の目標が掲げられていて、これらの目標を継続することでよりよい世界を目指す国際目標です。
個人的にはいずれかの目標に参加することで、「自分や家族を含めて周囲の人も幸せになれる!」と理解しています。
ここでは参考に、SDGs17の目標を挙げておきます。
1 貧困をなくそう
2 飢餓をゼロに
3すべての人に健康と福祉を
4 質の高い教育をみんなに
5 ジェンダー平等を実現しよう
6 安全な水とトイレを世界中に
7 すべての人が、安くて安全で現代的なエネルギーをずっと利用できるようにしよう
8 働きがいも経済成長も
9 災害に強いインフラを整え、新しい技術を開発し、みんなに役立つ安定した産業化を進めよう
10 人や国の不平等をなくそう
11 だれもがずっと安全に暮らせて、災害にも強いまちをつくろう
12 つくる責任、つかう責任
13 気候変動に具体的な対策を
14 海の豊かさを守ろう
15 陸の豊かさも守ろう
16 平和と公正をすべての人に
17 パートナーシップで目標を達成しよう
そもそも「営農型太陽光発電」とはなにか?
さて、SDGsについてサラッと確認したところで、農林水産省が進める営農型太陽光発電についてですが、どのようなシステムなのか、知らない方が圧倒的のはずです。
ここでは、営農型太陽光発電について分かりやすく解説します。
営農型太陽光発電とは、太陽光パネルの下で農業を営む方法
営農型太陽光発電はソーラーシェアリングとも呼ばれていて、簡単にいうと太陽光パネルの下でお米を育てたり、野菜を育てて収穫する農業のことです。
上の画像は営農型太陽光発電そのもので、太陽光パネルの下でお米を作っています。
恐らくみなさんの地域でも、田んぼや畑にこのようなソーラーパネルが設置されている風景を目にしたことがあるはずです。
営農型太陽光発電のみ全量売電が可能となっている
営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)のメリットは、大規模な太陽光発電を行なえて、現在唯一全量売電が可能となる太陽光発電です。
実は、2020年度にFIT(固定価格買取制度)が変更されて、10KW以上の発電量となる大規模な太陽光発電では、一定量を自家消費に回した余剰売電のみ可能となりました。
ただし、この営農型太陽光発電のみ例外として、全量売電が可能となっています。
耕作放棄地を減少させて農業後継者を育てる目的
なぜ営農型太陽光発電だけが特別扱いなのかの理由は、大規模な太陽光発電にて獲得する電力を売電することで、安定した収入を得られるようになります。
農業は天候に左右されやすく収穫量はその年によって異なり、その結果、思っていたほどの収入が得られないことがあります。
それをカバーするのが営農型太陽光発電であり、農業での第二の収入源となるため、耕作放棄地を改めて農業に利用したり後継者が現れたりする期待が込められて特別扱いとなっているのです。
営農型太陽光発電がコミットする6つのSDGs
一通り営農型太陽光発電の解説が終わったところで、コミットすると公表されている6つのSDGsを確認してみましょう。
農林水産省ではこの6つの目標に、営農型太陽光発電がコミットすると公表しています。
目標9の「災害」について考えてみる
では、農業については全くの素人目線で、目標9の「災害に強いインフラを整え、新しい技術を開発し、みんなに役立つ安定した産業化を進めよう」の中にある、『災害に強いインフラ』に、どのようにコミットしているのか考えてみます。
まずはインフラに該当するのか?
インフラとは、日々の生活を支える基盤のことで「公共施設、ガス・水道、道路・線路、電話・電気」など、これらが無いと生活が成り立たないものを指しています。
農業は、私たちの食生活にとって欠かせない産業なので、インフラに該当します。
営農型太陽光発電があると災害に強いのか?
では次に、インフラともいえる農業に営農型太陽光発電を導入すると、災害に強くなるのか考えてみます。
そのために、営農型太陽光発電のメリットを改めて確認してみましょう。
これらが、営農型太陽光発電のメリットとなります。
この中で災害に関連することは「作業者の熱中症を防ぐ・作物の育成をサポート・灌漑用水の節水」が、該当するといえますね。
熱中症は夏場の災害ともいえますし、直射日光で作物がダメになるとこれも災害にあたります。
また、灌漑用水が減少すると全ての作物の育成に影響し、最終的には値段の高騰となり消費者に悪影響を及ぼします。
これらのことから、営農型太陽光発電は、SDGs目標9の『災害に強いインフラ』にコミットしていると考えてよいです。
目標11の「災害」について考えてみる
それでは次に、目標11の「だれもがずっと安全に暮らせて、災害にも強いまちをつくろう」の中にある『災害にも強いまち』にコミットするのか、考えてみます。
災害に強いまちの定義とは
『災害にも強いまち』のイメージがわかないので、SDGsの目標11の詳細を読み込んでみました。
災害の多発が、顧客の生活の安全だけでなく、食品産業の操業や原材料の調達にも大きなリスクとなっていることから、それに備えたBCP(事業継続計画)の策定や、強靱な事業体制を整える必要があります。
農林水産省 17の目標と食品産業とのつながり
SDGsの目標11にある『災害にも強いまち』とは、安定した食料の供給と災害が起きた時でも食料に困らない、物資の供給方法や家庭での備蓄の啓発活動などが、事例として挙げられています。
メリットと照らし合わせてもピタッと当てはまらない?
目標11の詳細な内容と、先の営農型太陽光発電のメリットと照らし合わせてみると、ピタッと当てはまることろが見つかりません。
SDGsの目標を読み取るのは、意外に難しいことが分かりました。
太陽光発電の部分を切り取ると災害に対応する
そこで、農業と太陽光発電を切り離して考えると、太陽光発電は再生エネルギーなので災害に強いといわれています。
なので、大規模な太陽光発電システムを持っている営農型太陽光発電は『災害にも強いまち』にコミットするのは確かです。
教科書的な考え方をすると、なんでも当てはまる気がする
先の目標11に掲げてある『災害にも強いまち』の部分を、教科書的に農業に当てはめると次のような考え方もできます。
太陽光パネルで直射日光を防ぎ、良質な作物を育てられることは、異常な暑さから作物を守り市場に安定した供給ができるので、食料に困らないまちを作れる。
自分でいうのもなんですが、この解釈は間違ってはいないはずです。
つまりSDGsの目標には曖昧さがあり、解釈次第で色んな活動が目標にコミットするということになります。
海水浴場でゴミを持ち帰るのもSDGs14と15にコミットする
個人ができるSDGsも、解釈次第で多くの目標にコミットします。
例えば、これから海水浴シーズンとなりますが、海水浴場に出かけた際に弁当やペットボトルなど、自分が作ったゴミを自宅に持ち帰ることで、目標14の「海の豊かさを守ろう」と、目標15の「陸の豊かさも守ろう」にコミットします。
今回の検証で、個人ベースでは道徳的なマナーを守ることが、色んなSDGsの目標にコミットすることが分かりました。
参考サイト
農林水産省 営農型太陽光発電について
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/renewable/energy/einou.html#01
農林水産省 17の目標と食品産業とのつながり
https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/goal_09.html#goal_top