長期優良住宅とは?新設された災害配慮基準についても解説

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長期優良住宅との言葉を、聞いたことのある方は多いはず。

法律に定められている基準を満たした住宅を「長期優良住宅」と国が認定することで、色々な税制面のメリットを受けることができます。

令和4年2月20日より、法律が改正されて「災害に配慮された基準」が、新設されました。

そこで、長期優良住宅とはどのような住宅なのかを分かりやすく解説すると共に、新設された災害配慮基準についても解説します。

目次

長期優良住宅とは、長期に渡り良好な状態で使用できる国の基準を満たした住宅のこと

長期優良住宅とは「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」の基準を満たした住宅のことで、2009年(平成21年)に施行されています。

戸建てだけでなくマンションなどの共同住宅等も該当します。

令和4年2月20日の改正にて、「自然災害に配慮されたものであること」との基準が新規に追加されました。

長期優良住宅の認定基準を確認しておこう

ここで、改正された認定基準を確認しておきましょう。

1:劣化対策《戸建て・共同住宅等》

数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること。

具体的には、3世代の耐久性75年~90年の耐久がある建物のこと!

長期優良住宅認定制度の技術基準の概要について[新築戸建(木造軸組)版]

2:耐震性《戸建て・共同住宅等》

極めて稀に発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図ること。

簡単にいうと地震に強い住宅で、震度7レベルの地震でも倒壊しない建物!

長期優良住宅認定制度の技術基準の概要について[新築戸建(木造軸組)版]

3:省エネルギー性《戸建て・共同住宅等》

必要な断熱性能等の省エネルギー性能が確保されていること。

断熱性が高く、断熱等級4の住宅であること!

長期優良住宅認定制度の技術基準の概要について[新築戸建(木造軸組)版]

4:維持管理・更新の容易性《戸建て・共同住宅等》

構造躯体に比べて耐用年数が短い設備配管について、維持管理(点検・清掃・補修・更新)を容易に行うために必要な措置が講じられていること。

具体的には、点検口が各所にあり配管を点検整備できるようになっていること!

長期優良住宅認定制度の技術基準の概要について[新築戸建(木造軸組)版]

5:可変性《共同住宅等》

居住者のライフスタイルの変化等に応じて間取りの変更が可能な措置が講じられていること。

6:バリアフリー性《共同住宅等》

将来のバリアフリー改修に対応できるよう共用廊下等に必要なスペースが確保されていること。

7:居住環境《戸建て・共同住宅等》

良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること。

8:住戸面積《戸建て・共同住宅等》

良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること。

9:維持保全計画《戸建て・共同住宅等》

建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること。

10:災害配慮《戸建て・共同住宅等》※新規追加項目

自然災害による被害の発生の防止又は軽減に配慮されたものであること。

「災害に配慮された住宅であること」の内容について

今回の改正によって新設された災害配慮については、「土砂災害、津波、洪水などの災害リスクが高い区域が所管の行政内において既に指定されている場合、その区域で認定を行う際に配慮を求める」となっています。

国の基本方針のイメージ

国土交通省 長期優良住宅認定基準の見直しに係る検討の方向性

これまでは、災害に関しては地震に強い住宅であることだけが条件でした。それが今回、自然災害による被害の発生の防止又は軽減に配慮されたものであること、という条件が加わっています。

この条件の内容は基本的方針を国が示し、方針に基づいた災害配慮基準を所管の行政庁(市町村)が作成し公表します。

国の基本方針のイメージとしては、次のようになっています。

1:土砂災害特別警戒区域などの自然災害のリスクが特に高い区域については、長期にわたり良好な状態で使用することに適しているとは言えないことから、認定を行わないことを基本とする。
(地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域、土砂災害特別警戒区域等)

2:災害危険区域のように自然災害のリスクに応じて建築禁止から建築制限まで、建築規制の内容が様々である区域については、所管行政庁の判断で、その建築制限の内容を、認定除外も含めて強化することができることとする。
(災害危険区域等、津波災害特別警戒区域等)

3:また、浸水想定区域のように、一定の自然災害のリスクはあるものの、建築制限はなく一律に居住を避けるべきとまではいえない区域については、地域の実情を踏まえ、所管行政庁が長期にわたり良好な状態で使用するために必要な措置を定めることができるようにする。
(浸水想定区域、土砂災害警戒区域、津波災害警戒区域のほか、浸水ハザードマップにおいて一定以上の災害リスクがある区域を対象に対策を求めることが考えられる。)

認定対象から除外のパターン

先の国の基本方針から読み取ると、長期優良住宅に認定できないのは「地すべり防止区域」「急傾斜地崩壊危険区域」「土砂災害特別警戒区域」等に建設される建物となります。

必要な措置を求めるパターン

もう一つのパターンは必要な措置を求めるパターンで、浸水想定区域内にて1mの浸水が想定されている場合は、地盤の高さを1m以上にすることで、認定を受けることができます。

ポイントは90年もの長期の間、良好な状態を保てるか?

長期優良住宅の「劣化対策」では、75年~90年間住宅が良好な状態を保たないといけません。なので、自然災害にて建物が崩壊する確率がある場所や、浸水被害で住宅が丸ごと浸かってしまう場所では、認定されなくなっています。

つまり、今回の改正にて長期優良住宅としての認定がされにくくなったといえるでしょう。

さらに今後、カーボンニュートラルに対応した高い省エネ性能を有する住宅でないと、認定を受けられない条件も検討されています。

税制優遇や住宅ローンの金利引き下げなどのメリットはありますが、認定されるための建築コストが高額になるのは間違いありません。これからは、認定を受けた方が得なのか受けない方が安く建築できるのか、比較検討が重要となってきます。

参考サイト
国土交通省 長期優良住宅認定基準の見直しに係る検討の方向性
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001411784.pdf
長期優良住宅認定制度の概要について[新築版]
https://www.hyoukakyoukai.or.jp/download/pdf/chouki_sin_2022_1.pdf
長期優良住宅認定制度の技術基準の概要について[新築戸建(木造軸組)版]
https://www.hyoukakyoukai.or.jp/download/pdf/chouki_sin_2022_2.pdf

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この記事を書いた人

1963年生まれ、兵庫県在住の防災士&フリーライター 
2014年から本格的にライターを開始!これまで多数の記事を執筆
2017年にひょうご防災リーダー講座を受講し防災士を取得。ハザードマップなど防災業務に長年従事し、防災関連の講演も行っています。
経験を活かして防災に関する情報をできるだけわかりやすく、みなさんへ届けたいとの想いを持って執筆しています。詳しいプロフィールはこちら

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