カルデラは火山がもたらした地形~生活の場・観光資源としての魅力~

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カルデラとは火山の巨大噴火によってできた“くぼ地”です。

カルデラという地形には、景観の美しさや温泉といった火山の恵みがあるだけでなく、人々が暮らす生活の場になっている所もあります。

今回は、日本にある4つのカルデラをご紹介します。いずれも、自然の素晴らしさに恵まれた観光名所となっています。

カルデラを知ることは、火山活動の怖さだけでなく、日本の新たな魅力を発見する機会になるかもしれません。

火山活動がもたらした地形「カルデラ」について、一緒に学んでみませんか?

目次

カルデラはどうやってできる?カルデラ湖と火口湖の違い

はじめに「カルデラのできかた」と「カルデラ湖と火口湖の違い」を解説しましょう。

マグマが吹き出した空洞に地表が陥没

マグマとは、地球内部にあるマントルという物質が溶けてできたものです(詳しくはこちらの記事で知ることができます)。

マグマは地表に向かって上昇をつづけ、地下10kmあたりに溜まっているとされています。この部分を「マグマだまり」とよんでいます。

カルデラは、このマグマだまりと関係があります。

巨大噴火によって、マグマだまりから大量のマグマが吹き出すと、そこには空洞ができます。空洞になったことで支えがなくなり、地表がそこに陥没します。こうしてできた、丸い“くぼ地”の地形を「カルデラ」と言います。

カルデラは火口だけでなく、噴火の勢いで地表が吹き飛んで形成されることもあります。

火口湖はカルデラ湖より小さいものが多い

長い年月のなかでカルデラに水が溜まったものを「カルデラ湖」といいます。屈斜路湖(くっしゃろこ:北海道)や十和田湖(とわだこ:青森県・秋田県)などがあり、水深が深い日本の湖の多くがカルデラ湖とも言われています。

一方、噴火口に水が溜まってできた「火口湖」があります。蔵王山(宮城県)の御釜や、霧島山(鹿児島県・宮崎県)の大浪池(おおなみのいけ)などが、それにあたります。

カルデラ湖が「直径が2kmよりも大きいもの」を言うのに対し、火口湖は「直径1.5kmを超えるのはまれ」とされています。
※参考元:コトバンク「カルデラ湖」コトバンク「火口湖」

では次に、カルデラ湖として有名な北海道の屈斜路湖(くっしゃろこ)と青森県・秋田県にまたがる十和田湖、そして、カルデラが生活地となっている熊本県の阿蘇カルデラを、ご紹介しましょう。

日本最大のカルデラ|屈斜路湖(くっしゃろこ)北海道

出典元:弟子屈(てしかが)なび

北海道の東部、弟子屈町(てしかがちょう)にあるのが、日本最大(東西26km・南北23km、周囲57km・最深125m)の「屈斜路湖(くっしゃろこ)」です。約13~10万年前の巨大噴火によって原型ができたとされています。

湖畔の砂場は地熱で暖かく、冬にはシベリアからきたオオハクチョウの姿を見ることができ、また砂場を掘るとお湯が湧き出てきます。

屈斜路湖(くっしゃろこ)の南に位置する和琴半島には「オヤツコ地獄」とよばれる場所があり、モクモクと上がる噴気を見ることができます。また、和琴半島は「ミンミンゼミ」が生息する最北端としても知られており、国の天然記念物に指定されています。

【参考サイト】
弟子屈(てしかが)なび「弟子屈町」https://www.masyuko.or.jp/introduce/

環境省:国立公園へ出かけよう!「阿寒・摩周・屈斜路エリアマップ」https://www.env.go.jp/park/guide/akan/map/index.html

屈斜路湖利用の安全マニュアル http://www.masyuko.or.jp/pc/pdf/d_p_safetymanual_15.pdf

活火山にあるカルデラ湖|十和田湖(とわだこ)青森県・秋田県

出典元:奥入瀬フィールドミュージアム

青森県と秋田県にまたがる十和田湖は、活火山である「十和田火山」にあります。西暦915年には日本の歴史上、もっとも大きい噴火をしたとされており、十和田湖はそれ以前の噴火によって形成されたカルデラです。
※参考元:NHK『活火山「十和田」噴火警戒レベル導入』

十和田湖は、周囲46km、最深327mであり、日本で3番目の深さです。カルデラ湖の一部が決壊してできた「奥入瀬渓流」は、特別名勝・天然記念物に指定されており、十和田湖とともに「十和田八幡平国立公園」のなかにあります。

湖畔に建てられている「乙女の像」は、詩人として「智恵子抄」が有名な、高村光太郎が手がけた作品です。彼は彫刻家でもあり、像のモデルは彼の妻だとされています。

カルデラ湖の美しさだけでなく、芸術作品にも触れることができる場所ですね。

【参考サイト】
一般社団法人 十和田湖国立公園協会「深呼吸したくなる十和田湖・奥入瀬」https://towadako.or.jp/towadako-oirase/

青森県観光情報サイト「十和田湖」https://aomori-tourism.com/spot/detail_335.html 

カルデラは生活の基盤|阿蘇カルデラ~熊本県

出典元:公益社団法人 日本山岳会「親子で楽しむ山登り」

熊本県の阿蘇カルデラは、日本で2番目に大きなカルデラ(東西約18km・南北約25km)であり、過去4回の巨大噴火によって形成された地形です。

阿蘇カルデラが世界的に珍しいとされているのが、カルデラ内に人々の生活の場が展開されていることです。

人々は古くからカルデラで暮らしていたとされ、現在では国道・鉄道も整備され、阿蘇市・高森町・南阿蘇村という3つの自治体で、約5万人が生活しています。

なお、“阿蘇山”という山はなく、阿蘇の山々5岳(高岳・根コ岳・中岳・鳥帽子岳・杵島岳)を指しているのですが、広い意味ではカルデラも含めて阿蘇山とよばれています。

阿蘇山については、こちらの記事で詳しく知ることができます。

【参考サイト】
阿蘇市「阿蘇山(阿蘇五岳と外輪山)」https://www.city.aso.kumamoto.jp/tourism/spot/mt_aso/

阿蘇ユネスコジオパーク「阿蘇カルデラ」http://www.aso-geopark.jp/mainsites/mainsite01.html

カルデラには活火山の桜島|姶良(あいら)カルデラ~鹿児島県

出典元:日本ジオパークネットワーク

約3万年前の巨大噴火によって形成された「姶良(あいら)カルデラ」は、東西約24km・南北約23kmの大きさです。

姶良(あいら)カルデラができた3000年後に桜島が誕生しました。

長い年月の間に海水に削られ、カルデラには水が流れ込み、現在の鹿児島湾の形になりました。鹿児島湾は「錦江湾(きんこうわん)」の名で親しまれ、日本百景に選ばれています。

霧島錦江湾国立公園の北部、霧島地区には、姶良カルデラ以外のカルデラを含む火山が連なっており、火口湖や高原など手つかずの自然が残されています。さらに、南部の錦江湾(きんこうわん)地域では、「桜島」を中心として、環境省が認定する「かおり百選」に選定された知林ヶ島(ちりんがしま)などがあります。

【参考サイト】
桜島・錦江湾ジオパーク「錦江湾奥はカルデラだった!」http://www.sakurajima-kinkowan-geo.jp/sakurajima-kinkowan/landscape-geology/

いぶすき観光ネット「知林ヶ島~ちりんがしま~」https://www.ibusuki.or.jp/tourism/view/chiringashima/

環境省:国立公園に行ってみよう!「霧島錦江湾国立公園」https://www.env.go.jp/nature/nationalparks/list/kirishima-kinkowan/feature/

みんなの桜島「桜島の誕生」http://www.sakurajima.gr.jp/sakurajima/001323.html

まとめ|カルデラをとおして火山の魅力と備えを知る

私たちがいま暮らしている地は、はるか昔の火山活動によって形作られました。それはカルデラも同様です。

火山が身近にない地域に暮らしていると、火山の怖さに目がいきがちかもしれません。

ですが、火山活動がもたらした地形「カルデラ」を知ることで、怖さだけではない火山の魅力・自然の素晴らしさを感じていただけると幸いです。

もちろん、火山に対しては必要な備えをすることが必要です。

気象庁では「火山登山者向けの情報提供ページ」を開設しており、1週間以内に出された火山情報や、噴火警報発表中の火山をチェックすることができます。

こうした情報を活用しながら災害に必要な備えをしっかり取りつつ、自然の恵みを存分に味わっていきたいですね。

(以上)

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

東北出身&在住フリーライター。
広告代理店・NPO・行政で勤務後、在宅ワーカーに転身。
妊娠中に東日本大震災に遭い、津波から避難・仮設住宅で子育てをする。
本サイトでは「命を守るために知っておきたいこと」「日常に潜むリスクへの備え」などについて発信します。
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