マグマと溶岩の違いを解説~噴火の危険を知り火山に備える方法

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自然災害の一つに「噴火」があります。

災害から身を守るためには、言葉の意味を正しく理解して情報を得ることが大切です。

そこで今回は『マグマ』と『溶岩』の違いを解説しながら、噴火の危険を知らせる「噴火警報」と「噴火警戒レベル」、そして「火山情報を入手できるサイト」についてもご紹介します。

「噴火」という自然災害について、一緒に学んでみませんか。

目次

マグマは地球のなかに存在している

はじめに『マグマ』について説明しましょう。
ここでは「マグマは何からできているのか」、そして「それはどんな性質なのか」を解説していきます。

マグマは「マントル」が溶けたもの

マグマが何からできているかを知るためには、「地球の構造」を確認しましょう。下の絵をご覧ください。

出典元:気象庁「地震発生のしくみ」

地球は、中心から「内核→外核→マントル(下部マントル・上部マントル)→地殻」という構造になっています。

マグマとは「マントルが溶けたもの」です。
地球内部の温度や圧力の変化によって、マントルは溶けてマグマになります。マグマの温度は平均1000度とされています。

そして、溶けて軽くなったマグマは上昇し、地下10Kmあたりに溜まっているとされ、そこは「マグマだまり」とよばれています。

マグマには「サラサラ」もあれば「ドロドロ」もある

マグマの粘り気には違いがあります

溶けるときのスピードや水分が含まれているかなどの違いにより、サラサラした粘り気の弱いものもあれば、ドロドロした粘り気が強いものまであります。

サラサラのものは、地上に吹き出ると、下に流れ出ていきます。日本にはあまり多くないとされています。
一方、ドロドロのマグマは、地上に吹き出ても下に流れていかず、火口付近に溜まっていきます。

この、地上に吹き出たマグマが「溶岩」なのです。

溶岩は地上にあらわれたマグマのこと

次は『溶岩』について説明しましょう。
溶岩とは「噴火」によって地上にあらわれたマグマのことです。

火山が噴火した映像で、赤いドロドロしたものが流れているのを見たことがあるかもしれませんね。あの赤いものは、固まる前の溶岩です。

マグマと溶岩の関係を整理すると、地球内部にあるものが「マグマ」、噴火によってマグマが地上にあらわれたものが『溶岩』になります。

もう少し詳しく『溶岩』について見ていきましょう。

溶岩の性質の違いを動画で見てみよう

先述のとおり、マグマの粘り気には強弱があるため、溶岩の性質もそれぞれに異なります。

NHK for school「よう岩の性質と火山の形」では、雲仙普賢岳(うんぜんふげんだけ)と富士山の溶岩を比較した、実験映像(約2分)を見ることができます。

実験では、砕いた溶岩を容器に入れ、電気炉のなかで1500度に熱しています。

その結果、富士山の溶岩は粘り気が弱く、容器を傾けるとドロドロ流れ出てきました。
一方、雲仙普賢岳(うんぜんふげんだけ)の溶岩は、傾けても全く流れることはなく、容器に棒を入れてすくい出すと、モッチリとした粘り気の強い状態でした。

溶岩と火山ガスがまじった「火砕流(かさいりゅう)」

粘り気の強い溶岩は、噴火時には火口付近に溜まって「溶岩ドーム」を形成します。

噴火にともないマグマの上昇が続くと、次第に溶岩ドームが崩れ、溶岩や火山灰・岩石とともに、火山ガスが一気に吹き出します。これが「火砕流(かさいりゅう)」です。

火山ガスには、有害な成分が含まれることもあり、非常に危険なものです。

1991年(平成3年)6月3日に噴火した、長崎県の雲仙普賢岳(うんぜんふげんだけ)では、この火砕流(かさいりゅう)によって報道関係者を含む43名の方が亡くなりました。

NHK for school「溶岩ドームと火砕流のしくみー中学」(約3分)では、火口にたまった溶岩(溶岩ドーム)が、火山ガスとまじって火砕流(かさいりゅう)となる仕組みを解説しています。

次々と湧き出る火砕流(かさいりゅう)の映像からは、その怖さを感じるのではないでしょうか。

噴火の危険度を伝える「噴火警報」と「噴火警戒レベル」

気象庁が火山噴火に関して発表する情報に『噴火警報』と『噴火警戒レベル』があります。

次の表を参考にしながら解説していきましょう。

出典元:気象庁:噴火警戒レベルの説明「噴火警戒レベル」

噴火警報|命の危険がある火山現象がおきている

『噴火警報』は、活火山について “命に危険を及ぼす火山現象”の発生があった場合に発表されます。

命に危険を及ぼす火山現象とは
大きな噴石、火砕流、融雪型火山泥流等、発生から短時間で火口周辺や居住地域に到達し、避難までの時間的猶予がほとんどない現象

※気象庁:火山噴火から身を守るための情報『噴火警報と噴火警戒レベル』より

上の表では、左上部「名称」欄に、噴火警報(一部、予報)が書かれています。

噴火警報では「警戒が必要な範囲」を示すことになっています
上の表で見ると、上部の「対象範囲」に書かれてある「噴火警報(居住地域)」や「噴火警報(火口周辺)」がそれにあたります。

気象庁『各火山のリーフレット』では、「警戒が必要な範囲」を地図上で確認することができます

なお、警戒の必要な範囲が「居住地域」におよぶ「噴火警報(居住地域)」は、「特別警報」に位置づけられています。

これは「警報」よりも災害の恐れが著しく大きいため、十分な注意と対策が必要になるレベルです(参考元:気象庁:天気予報等で用いる用語「特別警報、警報、注意報、気象情報」)。

噴火警報についての詳細は、気象庁『「噴火警報・予報」の説明』から確認できます。

噴火警戒レベル|レベルごとのキーワードを把握しておこう

ほかの自然災害と同様、噴火についても警戒レベルが設定されています。

ただし、「噴火警戒レベル」が意味する内容は、ほかの警戒レベルとは一致していないので、注意しましょう。

噴火警戒レベルでは、レベルごとの「キーワード」をしっかり把握しておきましょう。

たとえば、噴火警戒レベル2では「火口周辺規制」として、火口周辺への立ち入りが規制されます。

また、レベル4では「高齢者等避難」として高齢者など要配慮者(※)の方の避難が必要になります。
※要配慮者とは、災害時に特別な配慮を必要とする人のことで、具体的には体力的に衰えのある高齢者や心身障害者、乳幼児や妊産婦、外国人や傷病者のことです。

なお、噴火警戒レベルはすべての火山で運用されているわけではありません。運用されていない火山では、噴火警戒レベルではなく「警戒事項等」として情報が発表されています。
具体的な内容は、気象庁『「噴火警報・予報」の説明』のうち「噴火警報・予報の種類」から確認できます。

噴火警戒レベルは、下図の49火山(令和4年3月現在)で運用されています。

◆噴火警戒レベルを運用している火山

出典元:気象庁 噴火警戒レベルの説明「噴火警戒レベル」

気象庁のサイトから噴火・登山者向け情報を紹介

2014年(平成26年)9月27日、長野県と岐阜県にまたがる御嶽山(おんたけさん)が噴火し、58名の方が亡くなりました。

当時の噴火警戒レベルは「1」であったものの、噴火前に増加していた火山性地震の情報が、登山者に伝わっていなかったとされています。(参考文献:NHK『御嶽山「噴火の証言」』

現在、気象庁が発表する「噴火警報・噴火速報」は、こちらから確認することができます。発表中の情報がないときであっても、火山別の「噴火警戒レベル」と火山の活動状況を確認することが可能です。

また、気象庁は『火山登山者向けの情報提供ページ(全国)』を作成しています。
ここでは、「最近1週間以内に情報を発表した火山」が分かるほか、火山・地方別の火山情報を検索することもできます。

まとめ~登山に応じた備え・火山との共生~

今回は、『マグマ』と『溶岩』の違いを解説しながら、自然災害のひとつ「噴火」についてお伝えしました。

火山の噴火は、ほかの災害とおなじく命に関わる危険なものです。火山の近くにお住まいの方だけでなく、登山などで火山に行く機会のある方は、火山情報を入手しつつ、登山に応じた必要な装備をするようにしましょう。

内閣府『防災情報のページ』では、「火山への登山のそなえ」として具体的な対策を掲載しています。ぜひ参考にしてみてはいかがでしょう。

一方、火山活動は温泉や美しい景観などの恵みをもたらすものでもあります

1991年(平成3年)6月3日に噴火した、雲仙普賢岳(うんぜんふげんだけ)がある長崎県島原市には、雲仙岳災害記念館(かまだすドーム)があります。

ここでは「平成の大噴火」として、普賢岳の噴火活動をを詳細に記しているほか、火山学習体験や子どもたちが遊んで学べるこどもジオパークなどがあります。

火山と共生するという姿勢は、火山噴火はもちろん、それ以外の自然災害についても大事な視点かもしれませんね。

【参考文献】
日本の大地 つくりと変化③「火山による大地の変化」鎌田浩毅監修/岩崎書店

NHK for school「よう岩の性質と火山の形」https://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005400308_00000

NHK for school「溶岩ドームと火砕流のしくみー中学」https://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005401239_00000

気象庁:火山噴火から身を守るための情報『噴火警報と噴火警戒レベル』https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/funka/funka.pdf

気象庁『各火山のリーフレット』https://www.data.jma.go.jp/vois/data/tokyo/keikailevel.html

気象庁「噴火警報・予報」の説明https://www.data.jma.go.jp/vois/data/tokyo/STOCK/kaisetsu/volinfo.html

気象庁:噴火警報・噴火速報https://www.jma.go.jp/bosai/map.html#6/34.832/138.713/&contents=volcano

気象庁:天気予報等で用いる用語『特別警報、警報、注意報、気象情報』https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/keihou.html

気象庁 噴火警戒レベルの説明「噴火警戒レベル」https://www.data.jma.go.jp/vois/data/tokyo/STOCK/kaisetsu/level_toha/level_toha.htm

NHK:御嶽山「噴火の証言」https://www.nhk.or.jp/d-navi/link/ontake2014/

気象庁「火山登山者向けの情報提供ページ(全国)https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/activity_info/map_0.html

内閣府:防災情報のページ「火山への登山のそなえ」https://www.bousai.go.jp/kazan/kazan_sonae/index.html

がまだすドーム(雲仙岳災害記念館)https://www.udmh.or.jp/about/

NHK「雲仙普賢岳 大火砕流から31年 犠牲者へ祈りささげる 長崎 島原」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220603/k10013655771000.html

(以上)

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

東北出身&在住フリーライター。
広告代理店・NPO・行政で勤務後、在宅ワーカーに転身。
妊娠中に東日本大震災に遭い、津波から避難・仮設住宅で子育てをする。
本サイトでは「命を守るために知っておきたいこと」「日常に潜むリスクへの備え」などについて発信します。
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