みなさんご存じのとおり、災害大国といわれるくらい日本は災害の多い国です。そんな日本には、災害時に被災した国民を救う法律があるのをご存じでしょうか。
災害救助法や被災者生活再建支援法、災害弔慰金の支給等に関する法律などが、災害に関する法律となります。その中で「災害弔慰金の支給等に関する法律」は、自然災害によって死亡した方への弔慰金であり、重度の障害を負った方への見舞金でもあるのです。
そこで今回は、難しそうな災害障害見舞金と災害弔慰金について、できるだけ分かりやすく解説します。
死亡事故も重症事故もないことが最も幸せなのですが、万が一該当してしまった時には利用したい制度なので、本記事にて紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
災害弔慰金・災害障害見舞金の支給が制定されることとなった経緯
ここでは災害弔慰金・災害障害見舞金支給制度とは、どのような経緯で制定されるようになったか解説しておきましょう。まずこの制度は、「災害弔慰金の支給等に関する法律」に基づいて行われる制度となります。
自然災害によって死亡した方に対して、昭和48年9月に「災害弔慰金の支給」が制定されます。その後、昭和57年8月に「災害見舞金の支給」が制定されて、自然災害にて負傷した方へ見舞金が支給されることとなりました。
意外に昔から制定されていたということは、やはり災害の多い国である証明になってしまいますよね。
災害弔慰金とはどのような支給制度となっているのか
昭和48年に制定された災害弔慰金とは、どのような支給制度になっているのか確認してみましょう。
実施主体について
弔慰金を支給するのは各市町村の自治体が行います。ただし、支給額の負担割合は次のようになっています。
対象となる災害について
弔慰金の支給対象となる災害は当然、自然災害となりますが、次の4つの条件が存在しています。
- 市町村において住居が5世帯以上滅失した災害
- 都道府県内において住居が5世帯以上滅失した市町村が3以上ある場合の災害
- 都道府県内において災害救助法が適用された市町村が1以上ある場合の災害
- 災害救助法が適用された市町村をその区域内に含む都道府県が2以上ある場合の災害
最小単位である市町村で見てみると、住居が5世帯以上全壊した災害が条件となっていますね。
つまり、台風による大雨でガケ崩れが発生して、5世帯が住居を無くした場合にはその市町村にて亡くなった方に、弔慰金が支給されることとなります。
弔慰金の支給対象について
弔慰金の支給なので、ご本人は亡くなっています。ですから、弔慰金を受取る方は次のような方です。
- 配偶者、子、父母、孫、祖父母
- 死亡した者の死亡当時における兄弟姉妹
(死亡した者の死亡当時その者と同居し、または生計を同じくしていた者に限る。)
優先順位は1⇒2の順になっています。気を付けたいのは2の兄弟姉妹が受給する場合で、同居か生計を同じくしていた者との条件がついていますのでお気を付けください。
弔慰金の支給額について
生計維持者が死亡した場合 | 500万円 |
---|---|
その他の者が死亡した場合 | 250万円 |
この区分もしっかり把握しておきたいですね。働いて生活費を捻出していた方が亡くなった場合は500万円、子どもなどの場合は250万円となります。
また、この後に解説する災害障害見舞金を先に受給した後に死亡した場合でも、受給した見舞金額を差引いた金額を、弔慰金として受取ることが可能となっていますので、よく覚えておいてくださいね。
災害障害見舞金とはどのような支給制度となっているのか
今度は昭和57年に制定された「災害障害見舞金」についての、支給制度を確認してみましょう。
実施主体・対象となる災害については弔慰金と同じ
災害障害見舞金の実施主体・対象となる災害については、先にお伝えした弔慰金と同じ内容になりますので、前述を参照してください。
障害見舞金の支給対象について
災害障害見舞金の支給対象は、重症を負った本人となります。ここでの重症とは次のような症状が該当となっています。
- 両眼が失明した
- 咀しゃく及び言語の機能がなくなった
- 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要する
- 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要する
- 両上肢をひじ関節以上で失った
- 両上肢の用を全廃した
- 両下肢をひざ関節以上で失った
- 両下肢の用を全廃した
- 精神又は身体の障害が重複する場合における当該重複する障害の程度が前各号と同程度以上と認められる
生命保険で言えば「重度の後遺障害」として認定される状況ばかりで、相当に酷い状況になる方が対象だということですね。
障害見舞金の支給額について
生計維持者の場合 | 250万円 |
---|---|
その他の者の場合 | 125万円 |
自然災害によるか否かは市町村の長が判断する
ここでちょっと疑問が生じませんか?弔慰金にしても障害見舞金にしても「自然災害」が原因でないと対象となりませんでした。
では、対象となる自然災害が発生した市町村にて心筋梗塞が原因で死亡した場合、弔慰金の対象となるのでしょうか?
先の状況にあったとき、死亡原因が自然災害に起因するか否かは市町村長が決定することとなっています。さらに、事実関係が明白でない場合は警察、消防等の機関からの情報により十分調査を行うとされています。
この場合だと、既に入院していた場合は自然災害が起因したとは判断できないでしょう。ですが、病院以外であれば状況を精査して該当となる可能性もあるといえるのです。
まとめ
本記事で解説した災害弔慰金と災害障害見舞金の制度は、恐らく被災経験がなければ詳細を知らない法律になるでしょう。
大切な家族が災害によって亡くなったり、重度の後遺賞を抱える状況にはなって欲しくありませんよね。
ですが、もし万一そのような状況に陥ったとしたら、迷わずこの制度を利用することをおススメします。
出典:
福島県ホームページ https://www.pref.fukushima.lg.jp/download/1/02_24.11.15chouikin_mimaikin_gaiyou.pdf
内閣府 防災情報のページ http://www.bousai.go.jp/taisaku/choui/pdf/siryo1-1.pdf