桜前線の便りが届き始めて、卒業・入学シーズンを迎える良い季節になってきました。
ですが、このような気持ちの良い季節に起きる災害もあり、それが「雪崩」です!
国土交通省が公表している日本全国における、雪崩の危険個所は20,501個所も存在しています。
2022年1月~2月には、記録的な積雪を観測した個所が多くあります。
ですから、今年の春先は特に雪崩に注意しないといけません。
そんな状況を踏まえて、今回は雪崩についてお伝えしていきましょう。
2022年の春先は特に雪崩が起きやすくなっている
ねぇねぇ!どうして今年の春先は、雪崩が起きやすくなっているの?
今年は1月から2月にかけて、大雪による記録的な積雪となっているんだ!青森県八甲田山系の酸ケ湯では、427cmと4m超えの積雪を観測したんだよ。
日本気象協会のtenki.jpの、2022年1月31日の情報を見てみると、よく分かるから紹介しておこう。
でもそれって、1月末のことでしょう?なんで春先で雪崩が起きるの?
そうだね。もちろんこの時点でも雪崩が起きやすいんだけど、暖かくなって雪が溶けだしてくる春先は、雪崩が起きやすいんだ!今年のように、記録的な積雪を観測した時には、雪崩に要注意となるんだよ。
それじゃあ、「雪崩」について勉強してみよう!
雪崩について改めて学習してみよう!
雪崩について勉強するんだよね!取り敢えず、雪崩ってどんな現象を呼んでいるのか教えて欲しいな・・
そうだね。ワン子の言う通り、先ずは「そもそも雪崩ってなに?」から説明しよう。
雪崩とは、積もった雪が重力の影響で斜面を崩れ落ちる現象を呼んでいます。また、雪崩には種類があって、積雪が続いている時期に起きる『表層雪崩』と、春先に起きる『全層雪崩』に大きく分類されます。
雪崩の種類の中で『表層雪崩』は、雪が流れてくるスピードが時速100キロ~200キロと非常に速いので、あっという間に巻き込まれてしまうよ!
じゃあ、今から気を付けないといけない雪崩は『全層雪崩』ってことでいいの?
『全層雪崩』も、最高時速200キロで流れてくるの?
そうそう。これからの春先では『全層雪崩』が起きやすくなってくるんだ。『全層雪崩』のスピードは時速40キロ~80キロと自動車の速度に落ちるけど、それでも早いスピードで雪が流れてくるから、雪崩は怖いよ。
『全層雪崩』が起きやすい場所は、次のような条件になっているけど、いずれも多くの積雪があった場所になるからね。
雪崩の前兆現象を知っておこう
ここでは、雪崩の前兆現象を解説しておこう!国土交通省が公開している「雪崩防災」に記載してある写真を使って説明するね。
雪庇(せっぴ)
山の尾根からの雪が張り出している現象で、張り出した部分が雪のかたまりとなって斜面に落ちることによって、雪崩につながる危険があります。
巻きだれ
雪崩予防柵から雪が張り出している現象で、張り出した部分が雪のかたまりとなって斜面に落ちることによって、雪崩につながる危険があります。
スノーボール
斜面をボールのような雪のかたまりが、コロコロ落ちてくる現象です。これは雪庇や巻だれの一部が落ちてきたもので、雪崩につながる危険があります。スノーボールが多く見られるときは、特に注意が必要です。
クラック
斜面にひっかき傷のような、雪の裂け目が現われる現象です。これは、積もっていた雪がゆるみ、少しずつ動き出そうとしている状態です。その動きが大きくなると、全層雪崩が起こる危険があります。
雪しわ
ふやけた指先のシワ状の雪模様が、現われる現象です。これは、積もっていた雪がゆるみ、少しずつ動き出そうとしている状態です。積雪が少なくても、全層雪崩が起こる危険があります。
斜面が平らになっている
斜面にもとの地形が分からないほど、平らに雪が積もっているときは、表層雪崩が起きる危険があります。家の裏山などは特に注意が必要です。
なるほど!写真があると分かりやすいね。春先に気を付ける「全層雪崩」は、クラックや雪しわに気をつけないといけないんだね!
代表的な条件で言うと、クラック・雪しわに気を付けた方がいいのだけれど、積雪の多い斜面は全て危ないと思っていた方がいいよ!
全国の雪崩の危険個所は約20,000個所以上!
国土交通省が把握している、人家が5件以上あって人的被害が予想される「雪崩の危険個所」は、全国で20,501個所もあるんだよ。
平成16年度公表値なので変動しているかもだけど、民家のない場所を含めると、相当な数の危険個所があることが推測されるから、本当に気を付けないとダメだね。
これが、国土交通省が公開している危険個所なんだ!
北海道や東北地方が多いのは納得だけど、兵庫県や鳥取県でも1,000個所を超えてるのは、なぜなの?
先ず、鳥取県は全域が豪雪地帯に指定されているほど、雪の多い県なんだよ。だから、県内の約1,300個所が、雪崩危険個所に指定されてるんだ。
兵庫県も北部地域は日本海に面していて、スキー場などもたくさんある県なんだよ。県の約1/3が豪雪地帯に指定されてて、近畿地方では最も積雪の多い県なんだ。
そうかぁ!やっぱり、勉強して見ないと分からないことも、たくさんあるんだね。
雪山や春スキーを楽しむ方へ!日本雪崩ネットワークを活用しよう
雪山や春スキーを楽しむ方は、日本雪崩ネットワークの公式サイトを活用しましょう。
なんか、いい情報が載っているの?
「バックカントリーの雪崩対策 7つのステップ」が記載されていて、雪山を楽しむ際の「7つの重要事項」を知ることができるんだよ!
雪山は、雪崩などのリスクと隣り合わせだから、ここでのステップを十分に理解して、楽しむようにして欲しいな。
了解です。他には何かあるの?
あるよ!その他にも次の有名なスキー場の「雪崩危険度と傾向」を確認することができるんだ。
へぇ~!それは便利だね。
豪雪地帯では今年は特に雪崩に気を付けよう!
今年は、記録的な積雪となった地域が多くあります。
本稿を執筆している3月30日でも、2m近い積雪が残っている地域が多くあります。
雪解けとともに、雪崩のリスクも高くなっていますから、豪雪地帯では特にご注意ください。
参考サイト
国土交通省 雪崩防止
https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sabo/nadare.html
日本雪崩ネットワーク
https://nadare.jp/