ラニーニャ現象になると日本は大雪になる?過去のデータから検証

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ラニーニャ現象は冬の日本に大雪をもたらすと言われています。

たしかに、昨年末には大雪による立ち往生も発生し、現在(2023年1月)もラニーニャ現象は継続中です。

そこで今回は、気象庁が発表している「ラニーニャ現象の発生期間」と「過去の気象データ」から、降雪量が多かったのかどうかを調べた結果をお伝えします。

さらに、ラニーニャ現象の実況と今後の見通しを知ることができるサイトもご紹介するので、ラニーニャ現象が日本に与える影響を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

ラニーニャ現象とは、ある海域において海面水温が低いこと

調査結果はこちらでお伝えしていますが、そのまえに、ラニーニャ現象の定義を確認しておきましょう。

ラニーニャ現象とエルニーニョ現象のちがい

ラニーニャ現象と似ている用語に「エルニーニョ現象」があります。

どちらも、ある一定の海域における海面水温の変化を捉えた用語であり、「ラニーニャ現象では海面水温が低く、エルニーニョ現象では高い」のです。

気象庁のホームページには、エルニーニョ現象についての定義が書かれています。

そのため、ラニーニャ現象については下記の「海面水温が平年より高くなり」の部分を「海面水温は平年より低くなり」と読み替えてください

エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象です。

引用:気象庁「エルニーニョ現象/ラニーニャ現象とは」より ※太字は筆者加筆

定義を確認したところで、両者のちがいがわかる1つの図をご紹介します。

出典:気象庁「エルニーニョ/ラニーニャ現象とは」

こちらは気象庁ホームページにあるもので、左の図がエルニーニョ現象(1997年11月)、右の図がラニーニャ現象(1988年12月)です。

ご覧のとおり、赤道域の海面水温が明らかに異なっているのが見てとれます。

どちらも海面水温の変化ということですが、では、具体的にどの程度の変化なのでしょう。

ラニーニャ現象は「6か月以上つづけて -0.5℃以下」になったとき

まず、ラニーニャ現象(エルニーニョ現象)の海域をイメージしやすいよう、地図上で確認します。

出典:気象庁「よくある質問(エルニーニョ/ラニーニャ現象)

ラニーニャ現象(エルニーニョ現象)の基準となる海域は、一番右側の四角形が示す「エルニーニョ監視海域(NINO.3)」です。先ほどの気象庁の定義であったとおり、「太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸」になります。

この海域の海面水温が、ラニーニャ現象では「6か月以上つづけて -0.5℃以下」になったときとされています。一方、エルニーニョ現象は「+0.5℃以上」です。

なお、ここでの“1か月”のとらえ方は、通常のものとは異なり「該当する月の“前後2か月を含めた5か月の平均値”(=5か月移動平均値)」となっています。詳しくは、本サイト内「エルニーニョ現象の意味と日本への影響を5つのキーワードで解説!」で解説していますので、よろしければご覧ください。

ラニーニャ現象がおきていると日本は大雪になるのか?

それでは、ラニーニャ現象が発生しているとき降雪量は多いのかどうか、気象庁のデータをもとに調査した結果をお伝えします。

対象地域は新潟県(新潟市・柏崎市)。その理由は、気象庁が発表している「最深積雪ランキング」トップ10のうち、新潟県内の地域が実に7カ所も入っているためです(参考:気象庁「歴代全国ランキング」最深積雪)。

また、対象としたラニーニャ現象は過去およそ10年間に発生したものです。発生した全期間ではないため、今回の結果はあくまでもひとつの参考としてご覧ください。

新潟市の降雪量

はじめに、新潟県の県庁所在地である新潟市の結果です。

一番左にラニーニャ現象の発生期間を示し、その右隣に、その発生期間中の降雪データ(降雪年月・降雪量の月合計・平年値)を記載しています。

「ラニーニャ現象発生期間」および「降雪量の月合計と平年値」

ラニーニャ現象の発生期間 ※1降雪年月 ※2降雪量の月合計(㎝)※2降雪量合計平年値(㎝) ※2
2010年夏~2011年春 2010年12月2519
2011年1月13063
2017年秋~2018春2017年12月1319
2018年1月16063
2020年夏~2021年春 2020年12月919
2021年1月14863
出典:※1および※2のデータをもとに筆者作成 
※1:気象庁「エルニーニョ現象及びラニーニャ現象の発生期間(季節単位)」※2:気象庁「過去の気象データ・ダウンロード」

表では、ラニーニャ現象の発生期間および、平年値よりも降雪量が多かった数値を太字にしています。

その結果、2010年夏から2021年春までに発生したラニーニャ現象の発生期間中については、「1月の降雪量(月合計)は、すべて平年値よりも多い」という結果になりました。

柏崎市の降雪量

次は、柏崎市です。2022年12月に新潟県内で発生した立ち往生では、柏崎市内でも一時800台以上もの車が動けなくなりました。

2021年秋から現在(2023年1月)までラニーニャ現象が続いているため、柏崎市における降雪量も調べてみました。

その結果、2022年12月の降雪量月合計は110で、平年値の34を大きく上回っていました

これらの結果をみるかぎり、ラニーニャ現象の発生中は確かに平年よりも大雪になるときがあるとわかりました。

大雪になると車の立ち往生はもちろん、雪かきも大変になりますね。「ラニーニャ現象はいつまで続くのだろう・・」と気になるのではないでしょうか。

そんなときに役立つ、ラニーニャ現象(エルニーニョ現象)の実況と見通しを知ることができるサイトをご紹介します。

ラニーニャ現象の現況と見通しは「エルニーニョ監視速報」でチェック! 

「エルニーニョ監視速報」とは、気象庁がエルニーニョ現象(ラニーニャ現象)の実況と半年間の見通しを発表しているものです。毎月1回(10日頃)発表されるので、定期的にチェックするのもよいですね。

ここでは、2023年(令和5年)1月11日に更新された内容から、一部を抜粋してご紹介します。

2023年1月~2023年7月の見通し

最新号では、次のように発表されています。

・ラニーニャ現象が続いている。

・今後、ラニーニャ現象は終息に向かい、冬の終わりには平常の状態となる可能性が高く(70%)春はエルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態が続く可能性が高い(80%)

出典:気象庁「エルニーニョ監視速報(No.364)」 ※太字は筆者加筆

長く続いたラニーニャ現象にも終わりがみえていそうですね。

なお、既にお伝えしたとおり、ラニーニャ現象(エルニーニョ現象)でつかう“1か月”は「5か月移動平均値」です。

したがって、下記のように、たとえば2023年1月の値は、2022年11月~2023年3月を平均期間としてだした発生確率となります。

出典:気象庁「エルニーニョ監視速報No.364

このほかにも、エルニーニョ監視速報では海面水温の変化や大気の状況なども発表されています。

まとめ

今回は、ラニーニャ現象のときは大雪になるのかについて調べた結果をお伝えしました。

対象とした地域は新潟県内のみであり、また自然現象なので100%そうなるとは言いきれないでしょう。

ですが、「大雪になるかもしれない」という思いは、備えの行動につながるのではないでしょうか。

日頃天気予報をチェックするように、エルニーニョ監視速報にも目をむけつつ、雪による災害に備えていきましょう。 

【参考文献】
以下、すべて気象庁ホームページより。
「エルニーニョ/ラニーニャ現象とは」
「よくある質問(エルニーニョ/ラニーニャ現象)」
「エルニーニョ監視速報」
「過去の気象データ・ダウンロード」

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(以上)

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この記事を書いた人

東北出身&在住フリーライター。
広告代理店・NPO・行政で勤務後、在宅ワーカーに転身。
妊娠中に東日本大震災に遭い、津波から避難・仮設住宅で子育てをする。
本サイトでは「命を守るために知っておきたいこと」「日常に潜むリスクへの備え」などについて発信します。
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