台風が襲来すると暴風や大雨にて、幾度となく災害が起きています。台風がやってくるとなぜ、暴風や大雨になってしまうのでしょう。
台風がそういうモノだからといってしまえばそれまでなのですが、実は台風には大雨を降らすメカニズムが存在していて、中心から約400km~最大1,200kmまでが、雨を降らす積乱雲の塊なのです。
今回は、オリジナルで台風の断面図を作りながら、大雨が降るメカニズムを勉強してみました。
日本気象協会のサイトを教科書にして、台風の大雨被害について一緒に学んでいきましょう。
オリジナルとなる台風の断面図を作成!先ずは、構造から学んでいこう
いろいろな文献や図解を元に、オリジナルとなる台風の断面図を作成してみました。先ずは、この断面図を利用して台風の構造を学んでいきましょう。
台風の目は直径約20km~200kmにもおよぶ
台風の中心にはみなさんご存じの通り「台風の目」があり、その直径は約20km~200kmにもおよびます。
台風の目の周囲では上昇気流が発生していますが、目の中では下降気流がみられ、雲もなく風も弱まり時には日差しが見られるほど穏やかです。
一般に、台風の目が小さくハッキリ見えるほど、勢力は強くなるといわれています。
アイウォールは積乱雲の壁のこと
台風の目の周りには、アイウォール(eyewal)と呼ばれる、積乱雲による壁が作られています。この分厚い積乱雲の壁によって、中心に気流が侵入することができないので、穏やかな台風の目ができあがるのです。
つまり、台風の目はこのアイウォールによって作られているのです。
スパイラルバンド(内側降雨隊帯)の下では激しい雨が降り続く
アイウォールの外側にあるのが、スパイラルバンドと呼ばれる内側降雨帯です。このスパイラルバンドの下では、激しい大雨が連続的に降り続きます。
台風による大雨被害は、このスパイラルバンドの下になると起きると考えてよいでしょう。
アウターバンドは台風の中心から約200km~600km付近に存在
スパイラルバンドの外側には、アウターバンドと呼ばれる降雨帯があります。アウターバンドは台風の中心から約200km~600km付近に存在していて、この下では断続的に激しいにわか雨や雷雨、時には竜巻も起きるのです。
先ほどのスパイラルバンドに続いて、このアウターバンドの下でも台風の大雨被害は起きています。
雲の頂上では、時計回りに空気が発散されている
台風の衛星写真を見ても、雲は反時計方向に巻いているのが確認できます。これは、台風が反時計回りに回転しているからなのですが、実は雲の上の空気は時計回りに発散されているのです。
これは、今回勉強して初めて知りました。みなさんは、ご存じでしたでしょうか?
台風の大きさと強さについて
台風の勢力は、大きさと強さを組み合わせて表現されています。気象庁では10分間平均の風速をもとに、台風の大きさと強さを次のように表現しています。
台風の強さの階級分け
階級 | 最大風速 |
強い | 33m/s(64ノット)以上~44m/s(85ノット)未満 |
非常に強い | 44m/s(85ノット)以上~54m/s(105ノット)未満 |
猛烈な | 54m/s(105ノット)以上 |
最も低い「強い」でも風速は33m/sなので、いかに台風は風が強いか改めて分かります。
台風の大きさの階級分け
階級 | 風速15m/s以上の半径 |
大型(大きい) | 500km以上~800km未満 |
超大型(非常に大きい) | 800km以上 |
なるほど、天気予報でよくいわれる「大型で強い勢力の台風〇号が・・」との内容は、「半径が500km以上~800km未満で、風速が33m/s以上~44m/s未満」の台風を意味しているのですね。
「強い台風」の表現が行われる時は、「半径が500km未満で、中心の最大風速が33~44m/s未満の暴風域」の台風の場合になります。
これまでの台風による大雨の被害を確認しておこう
ここでは、これまでの台風でどのような大雨の被害が起きていたか、再確認してみましょう。
平成30年7月の豪雨の被害状況(内閣府防災)
6月28日から7月8日までの総降水量が四国地方で1800ミリ、東海地方で1200ミリを超えるところがあるなど、7月の月降水量平年値の2~4倍となる大雨となったところがあった。
また、九州北部、四国、中国、近畿、東海、北海道地方の多くの観測地点で24、48、72時間降水量の値が観測史上第1位となるなど、広い範囲における長時間の記録的な大雨となった。
これらの影響で、河川の氾濫、浸水害、土砂災害等が発生し、死者、行方不明者が多数となる甚大な災害となった。また、全国各地で断水や電話の不通等ライフラインに被害が発生したほか、鉄道の運休等の交通障害が発生した。
※上記、「引用」首相官邸サイト 大雨・台風では、どのような災害が起こるのか
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/taifu_ooame.html
台風と前線によって「線状降水帯」が発生した
この豪雨は忘れられません。九州から中国地方まで、広く西日本全体が被害に遭った大雨です。台風7号と、梅雨前線などの影響で線状降水帯が発生して、各地で甚大な被害になりました。
その時の線状降水帯の様子です。
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/a2/Kawabou_XRAIN_Chugoku-Shikoku_2018-07-05to07.gif
台風の大雨被害は土砂災害が最も怖い!キキクルで危険度を確認しよう
出展:西日本新聞me 大雨の危険度、ひと目でわかる気象庁「キキクル」 避難の目安に
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/759371/
台風は暴風と、大雨を降らせます。大雨による河川の増水や決壊によって、河川が氾濫し家屋が浸水被害に遭うケースが多くあります。ですが、それよりも怖いのは土砂災害なのです。
土砂災害は最悪、家が押し流されてしまう
ひとたび土砂災害が起きると、最悪の場合家を押し流して人命までも奪ってしまいます。もちろん浸水被害も恐ろしい災害ですが、命の危険性からいえば土砂災害が最も怖い災害といってよいでしょう。
キキクル(危険度分布)で土砂災害の危険を察知しよう
土砂災害を防止する手立ては、無いといってよいでしょう。土砂災害からはとにかく、逃げるしか命を守る方法はないのです。
台風で大雨が降っていたら、キキクルで自宅の危険度を常にチェックしましょう。地図上の自宅の位置が紫色になっていたら、直ぐに避難しなければいけません。
オレンジ色になっていても、警戒して避難しておくことをおススメします。土砂災害には、早めの避難が命を守る最も有効な手段となります。
キキクルとは、気象庁が公開する大雨洪水警報の危険度分布の呼び名です。
台風の大雨被害はスパイラル&アウターバンドが引き起こす
今回は台風による大雨被害について、台風の断面図を使って学んで見ました。台風が大雨を降らすのは、スパイラルバンドとアウターバンドの下となります。
これに、前線などが絡むと複雑になってきますが、台風単体の場合は、ほぼスパイラル&アウターバンドが原因と考えてよいでしょう。
ウターバンドを含めた影響範囲の直径は、約400kmから最大1,200kmにもなります。これだけの範囲が影響するので、被害も大きくなるのはうなずけます。
台風の大雨時には、キキクルで自宅とその周辺の状況を常に確認して、早めの避難を心がけてくださいね。
参考サイト:首相官邸サイト 大雨・台風では、どのような災害が起こるのか
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/taifu_ooame.html
西日本新聞me 大雨の危険度、ひと目でわかる気象庁「キキクル」 避難の目安に