長周期地震動は震源より遠くの高層ビルで起きる揺れのこと!

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長周期地震動とは、大きな地震が起きた際に震源よりも遠くにある、高層ビルが揺れる現象を呼んでいます。

震源近くではほとんどの建物が揺れますが、地震の揺れが収まれば建物の揺れも止まります。ところが大きな地震の場合だと、震源より遠くの高層ビルに振動が伝わり、大きく長い揺れが起こります。

2011年に起きた東日本大震災の時も、東京や大阪のビルにて長周期地震動が観測されており、長周期地震動による被害は建物そのものではなく、建物内部に多く発生することも分かっています。

そこで気象庁は2020年(令和2年)9月まで行なってきた実証事件を終えて、2023年2月より緊急地震速報に「長周期地震動の予測」も追加して発表されるようになりました。

今回は、長周期地震動のメカニズムと地震速報への追加内容を解説します。

目次

長周期地震動のメカニズムは地震振動の伝播

気象庁

長周期地震動は「震源の浅い大きな揺れの地震」が発生した時に、より発生しやすくなっています。

東日本大震災では宮城県北部の栗原市で最大震度7が観測され、震源の深さは約24kmと浅めでした。

この地震により、大津波が発生し甚大な被害が発生したことは、みなさんご存じのとおりです。

約770km離れた大阪でも長周期地震動の被害が起きている

東日本大震災では約770km離れた大阪府の「咲洲庁舎」(55階建て、高さ256メートル)にて、長周期地震動が起こり約10分の間ビルが揺れ、最上階の揺れ幅は最大で約2.7mにもなっています。

・エレベーターが停止
・ロッカーや机などが波のように動く
・高い場所の物は全て床に落ちる
・人が立っていられない

ビルの内部では、このような状況が起きていたようです。

大阪と東京での長周期地震動の体感

では長周期地震動ではビル全ての人が、揺れを感じるのかというとそうではないようで、東日本大震災時の大阪の高層ビルでの感想、2004年に起きた新潟県中越地震の東京都内の高層ビルの感想を見てみましょう。

机にしがみついていないと、立っていられなかった!

大阪のビル・高層階にいた人

ほとんど揺れを感じなかった。

大阪のビル・1階にいた人

テレビを付けようとして歩いていたら真っすぐ歩けなかった

東京都内のビル・高層階の人

ほとんど揺れを感じなかった

東京都内のビル・1階にいた人

このように、大阪も東京も同じ震度3を観測していますが、高層ビルにて1階にいた人と高層階にいた人とでは、大きく体感が違うようです。

このことから、気象庁では長周期地震動は、概ね14階~15階以上に影響があり最上階にいくほど揺れの影響が大きいと判断しています。

2023年2月から階級3・4は、緊急地震速報に追加される

2023年2月より、長周期地震動階級3と4となる個所が、緊急地震速報に追加で発表されることが決まっています。

ここでは、長周期地震動階級4段階の内容を紹介しておきましょう。

長周期地震動階級が発表されたらどうする?

長周期地震動階級3および4の個所にて緊急地震速報が発表されたら、震源地から離れていても身を守る行動が求められます。

ロッカーや本棚、冷蔵庫、食器棚などの大型家具から離れて、安全な場所で身をかがめて揺れが収まるのを待つようにします。

具体的には、次のような行動をとることが望ましいとされています。

・火を止める
・机の下などで身を守る
・エレベーターに乗らない

気象庁が公開している長周期地震動階級関連解説表

気象庁

この表の内容を簡単にすると、次のようになります。

  • 階級4:「極めて大きな揺れ」東日本大震災並み⇒緊急地震速報が発表される
  • 階級3:「非常に大きな揺れ」立っていることが難しい⇒緊急地震速報が発表される
  • 階級2:「大きな揺れ」歩くのが難しい
  • 階級1:「やや大きな揺れ」ほとんどの人が揺れを感じる

侮るなかれ、階級3以上が2000年以降33回も発生している

「長周期地震動っていっても、そんなに頻繁におきないでしょ」と侮ってはいけません。

2000年以降、東日本大震災を含めて階級3以上となる長周期地震動は、33回も起きているのです。

従って、従来の震度5弱以上の揺れが予測された際には、長周期地震動が予測される地域にも緊急地震速報が発表されて、高層ビルの中にいる方に警戒を呼びかけるようになっています。

長周期地震動に対する動画をご紹介

ではここで気象庁が公開している「長周期地震動説明ビデオ」をご紹介します。意外に面白い内容に仕上がっていて、とても分かりやすいです。

長くても約2分30秒なので、動画で長周期地震動についてしっかり理解しておきましょう。また、そのほかのニュース番組の動画も紹介しておきますので、ぜひ参考にしてください。

日テレ【気象庁】高層ビルなど大きく揺れる「長周期地震動」の予測情報を緊急地震速報に追加へ

長周期地震動説明ビデオ

このサイトから、長周期地震動説明ビデオをご覧いただけます。なお、動画の改変・転載を禁じられていますのでご注意ください。

シゲネコ

このアドレスのページから、面白い内容のビデオをご覧いただけます!
 https://www.data.jma.go.jp/eqev/data/choshuki/choshuki_eq5.html

2023年2月からは震源地から離れていても緊急地震速報が発表される

今回は「長周期地震動」について解説してきました。

長周期地震動は、震源地から遠く離れていても高層ビルが揺れて、最上階に近いほど被害が大きくなります。

つまり、震源地に近い個所では全ての建物が強い揺れにて被害を受ける恐れがあり、離れた場所にある高層ビルでも長周期地震動によって被害が起きるといった、ひとつの地震で複数の個所で異なる被害が起きることとなります。

こうした状況での地震被害を防ぐために、長周期地震動の階級3および階級4が起きると予想される個所にも、2023年2月より緊急地震速報が発表されます。

「この速報って、間違っているのでは?」と勘違いしないように、このことはしっかり把握しておきましょう。

参考サイト
気象庁 長周期地震動説明ビデオ
気象庁 長周期地震動の特徴
気象庁 長周期地震動階級および長周期地震動階級関連解説表について

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この記事を書いた人

1963年生まれ、兵庫県在住の防災士&フリーライター 
2014年から本格的にライターを開始!これまで多数の記事を執筆
2017年にひょうご防災リーダー講座を受講し防災士を取得。ハザードマップなど防災業務に長年従事し、防災関連の講演も行っています。
経験を活かして防災に関する情報をできるだけわかりやすく、みなさんへ届けたいとの想いを持って執筆しています。詳しいプロフィールはこちら

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