毎年なくならない火災では、一体どのような状況になっているのでしょう。
ニュースなどで火災が起きたことを知らされますが、実際に見ていないのでドラマの1シーンのように、どこか他人ごとに思えてしまうのは確かです。
11月9日からは、秋の火災予防運動が実施されます。その前に、火災の現状がどうなっているのか令和3年版の消防白書から、火災予防についてQ&A方式で火災の現状と最近の動向を把握しておきましょう。
目次
2010年から2020年までの火災の推移と傾向
2010年(平成22年)から2020年(令和2年)までの10年間の、火災の推移と傾向を確認してみます。
Q:出火件数と死者数の推移は?
出火件数 2010年46,620件 ⇒ 2020年34,691件と減少傾向(74.4%)
死 者 数 2010年1,738人 ⇒ 2020年1,326人と減少傾向(76.3%)
2020年(令和2年)の出火状況
Q:1日当たりの火災発生率は?
年間で34,691件、1日平均では95件の火災が起きています。
構成比は建物火災が全体の55.8%で最も多く、四季別に見ると春季(3月~5月)および、冬季(12 月~2月)の出火件数が、57.6%を占めています。
Q:出火率は?
出火率(人口1万人当たりの出火件数)は、全国平均で2.7件/万人
都道府県別にみると、鹿児島県が4.1件/万人とトップ
最も低いのは富山県の1.6件/万人で平成3年以降連続して出火率が低いです。
Q:初期消火は行われている?
消火器を使用した初期消火が18.9%の割合で行なわれています。
一方で、初期消火が行われなかった案件が、35.9%と多くなっています。
火災による死者の状況
ここでは2020年(令和2年)の死者数 1,326人の内容を確認します。
Q:放火自殺者はいる?
232人(17.5%)が放火自殺者、放火自殺の巻き添えとなった者、および放火殺人による死者となっています。
火災に巻き込まれて亡くなった方は、1,094人です。
Q:火災での負傷者は?
負傷者数は5,583人となっていますが、対前年比では282人減少しています。
Q:1日当たりの火災による死者数は?
1日当たりの火災による死者数は3.6人となっていて、人口10万人当たりの死者数は全国平均で1.0人です。
火災による死者数が最も多いのは、長野県で2.6人
最も少ないのは沖縄県で0.3人となっています。
Q:1日のうちの時間帯は?
時間帯別の死者数は0時から6時の時間帯で多く、就寝中の火災では死亡率が高くなっていることが分かります。
Q:火災時の死因は?
火災による死因のトップは「火傷」2番目は「一酸化炭素中毒・窒息」となっています。
死者のうち逃げ遅れが、全体の46.9%を占めていて内訳をみると次のようになります。
「避難行動を起こしているが、逃げ切れなかったと思われるもの(一応自力避難したが、避難中、火傷、ガス吸引により、病院等で死亡した場合を含む。)」が全体の 15.9%
「発見が遅れ、気付いた時は火煙が回り、すでに逃げ道がなかったものと思われるもの(全く気付かなかった場合を含む。)」が全体の 15.8%を占めています。
火災による経過別死者発生状況
Q:火災による死者数の年齢別は?
65歳以上の高齢者が69.8%を占めてトップであり、特に81歳以上の階層が全年齢層における平均の3.9倍にもなっています。
Q:建物火災での死者数・負傷者数は?
建物火災による死者数は1,056人で、全体の79.6%を占めています。
建物火災による負傷者は4,718人で、全体の84.5%を占めてします。
建物焼損程度別の死者発生状況をみると、全焼の場合の死者が64.5%と最も多いです。
Q:建物用途別の死者数は?
建物用途別にみると住宅での死者数が973人であり、建物火災による死者数の92.1%を占めている状況です。つまり、住宅火災での死者が最も多いことが分かります。
Q:住宅火災の原因は?
住宅火災の原因は、タバコを発火元とした火災による死亡者が最も多いです。
次いで、電気器具、ストーブとなっています。
また、寝具類に着火した火災での死者が最も多く、次いで衣類、内装・建具類となっています。
火災の出火原因ランキング
Q:火災の出荷原因は?
1位:たばこ 3,104件
2位:たき火 2,824件
3位:こんろ 2,792件
4位:放火 2,497件
5位:火入れ 1,684件
6位:電気機器 1,611件
7位:放火の疑い1,555件
8位:電灯電話等の配線 1,398件
9位:配線器具 1,206件
10位:ストーブ 1,076件
11位:排気管 641件
12位:電気装置 585件
13位:マッチ・ライター 571件
14位:交通機関内配線 358件
15位:灯火 354件
16位:溶接機・切断機 335件
Q:放火の火種と時間帯は?
放火および放火の疑いによる火災では、ライター使用が1,180件と最も多いです。
時間帯は2時から4時の時間帯が最も多くなっています。
Q:コンロが原因の火災の内訳は?
ガスコンロが2,359件と最も多く、消し忘れが1,294件にもなっています。
まとめ
今回は令和3年版の消防白書の中から、火災の現状と最近の同行についての数字を、Q&A方式でお伝えしました。
10年前よりは減少傾向にあるものの、損害額は約1,037億円にものぼっています。また、火災による死者も1,326人と、1,000人以上です。
禁煙が進んでいる現状であっても、住宅火災の原因のトップは「タバコ」となっているところが驚きですね。
住宅火災は、生活する全ての人が火災を起こさないように注意するしかありません。
参考サイト
令和3年版 消防白書