自衛隊への災害派遣要請はすぐできる!素早さは市町村のトップ判断

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災害大国日本で頼りになるのが、自衛隊の存在であることは多くの方が知っていることでしょう。

ただ、災害が起きれば自衛隊の判断で、自動的に駆けつけてくれる訳ではありません。

被災地には頼もしい救世主も、市町村のトップ判断が遅ければ現れてくれないのです。

今回は、災害時に頼りになる自衛隊への災害派遣要請について、分かりやすく解説します。

目次

自衛隊への災害派遣は都道府県知事が要請する

陸上自衛隊災害派遣の仕組み

このように、自衛隊への災害派遣は都道府県知事が、防衛大臣に要請し派遣命令が出されて被災地に自衛隊が支援に向かいます。

都道府県知事以外に要請できるのは、海上保安庁長官・管区海上保安本部長・航空事務総長の3人だけです。

どうして被災地の市町村長が要請できないのか?

ではどうして、実際の被災地である市町村長が直接災害派遣を要請できないのかというと、要請するルートが多くなり適確な派遣ができなくなるからです。

例えば、同じ県のA市とB市が10日に派遣要請したとします。この時に災害規模や救助内容などを伝えて、災害規模に見合う人員を配置するので、早ければ10日には対応する人員がA市とB市に派遣されます。

そこことを聞いたC市が「じゃあうちもお願いしよう!」と11日に要請し「じゃあうちも」と、D市が12日に要請します。

このように、市町村単位で要請をすると多くのルートができてしまい、情報が整理できなくなるので都道府県でまとめて要請することとなっています。

被害状況の把握は市町村が確実に行って都道府県に報告する

現代では情報技術が発達しているので、地震と津波被害以外は概ね事前に予測がつきます。

これまでに経験したことのない「警戒レベル5」でさえも、相当の被害が起きることは予想可能です。つまり、台風などによる風水害では「被害が出るだろう」と予測して、台風が過ぎ去ってから直ぐに被害の確認ができるようになっています。

被害を確認したら現場は忙しくて手が回らない

被害を確認したら現場では、その対応に当たらないといけません。ですから、被害状況を災害対策本部に連絡したら本部長(市町村長)が、被害情報を集約する必要があるのです。

もちろん、本部長自らが行うのでなく秘書課など予め、市町村の防災計画で定められている情報取集担当班が現場の状況を整理して、本部長に報告します。

断水や下水道の破損は水道局員・下水道局員が行う

断水は一般的に庁舎が停電していなければ、水道局の管理システムで破損個所が直ぐに分かるようになっています。

停電している地域には現地に職員が出向き、道路が寸断されていない限り1時間以内で確認が完了するはずです。

下水道もシステム化されているので、破損個所の確認はそう難しくありません。一般の方が考えている以上に、インフラを守るシステムは年々進化しているので、破損個所の確認は意外に簡単に完了します。

ただし、確認は直ぐにできても復旧が直ぐにできるとは限らないので、その辺は誤解しないでくださいね。

生活に支障をきたす被害には災害対策本部は必ず設置される

市町村で災害が起きた場合は、必ず災害対策本部が設置されます。ただし、地区の一部分で道路が崩落し周囲の住宅に影響がないなら、このようなケースでは災害対策本部は設置されません。

断水が続くような災害や、下水管が破損してトイレや排水ができないなど生活に支障をきたす被害が発生した際には、必ず災害対策本部が設置されるよう、防災計画で定めてあります。

給水車の派遣は本部長が指揮をとる!

断水が起きて復旧の目途が立たない場合もしくは、復旧までに時間がかかる場合は給水車の手配が必要です。

個人で災害用の備蓄を呼び掛けていますがあくまでも努力義務であって、備蓄をしないといけない法律はありませんから、住民への飲料水の提供は行政の仕事になります。

「最低3日分の飲料水を備蓄しているはずだから、3日は持つだろう」などと、行政が勝手に考えることは先ずあり得ません。

この時の指揮も本部長、もしくはそれに代わる権限を持つ者が行うこととなっています。

いかに被災状況を素早く整理して、災害派遣要請を都道府県にお願いするかがカギ!

自衛隊への災害派遣要請は都道府県知事が行いますが、現場の市町村長がいかに早くお願いするかがスピード要請のカギとなります。

人命にかかわる事態であれば、防衛大臣は要請を拒むことはありません。逆に、東日本大震災のような大災害が起きれば都道府県知事の要請を待たずに、防衛大臣が自主派遣することができます。

実際に東日本大震災の時には、関係する知事からの要請前に防衛省内に災害対策本部が設置されて、情報収集のための航空部隊を現地に派遣しています。

市町村長の判断が遅いと、自衛隊の災害派遣は送れる

2022年9月23日から24日に台風15号が通過した静岡市では、24日午前3時に災害対策本部を設置。その後、6:30には災害救助法を前日23日付けで適用することを決定したにも関わらず、26日午前10:25分まで災害派遣要請は行っていません。

災害救助法を適用しなければならないほど、甚大な被害を確認しているならどうして自衛隊派遣をためらったのでしょう。

防災に携わる者としては、どのような経緯があったのか詳しく公開して欲しいです。自衛隊の給水支援と1自治体が行う給水支援とでは雲泥の差があります。

それは、毎日訓練をして多くの被災地で活躍している自衛隊と、滅多に災害現場に立ち会わない行政の職員とでは、機動力の差は歴然です。現場の職員が、市役所にある給水車をフル稼働されても、6万世帯を超える断水に対応できる訳がないのです。

その結果、断水の復旧が見込めていない約6万世帯超の家庭では、飲料水の確保がやっとであり、トイレや浸水被害の処理ができず不衛生な環境下となってしまっています。

2日以上のロスは、被災住民にとってはかなりの痛手です!

同じ静岡県熱海市での土砂災害は要請まで約1時間半だった

静岡市では今回被害を確認してから、自衛隊の派遣要請まで約2日と4時間かかっています。静岡県の担当者は「市町側の意向を確認していた」と報道関係者に話していることから、静岡市と川根本町との連携が上手くいかなかったよに伺えます。

しかし同じ静岡県でも、熱海市の土砂災害では市からの要請を直ぐに了承して、約1時間半後には自衛隊への災害派遣が行われています。

トップの判断の遅れが自衛隊の災害派遣を遅らせ、地元住民の被災生活に大きく影響することが知れ渡る案件になってしまいました。

参考サイト
朝日新聞DIGITAL 大雨被害の静岡県、自衛隊への災害派遣要請まで2日間 担当者は

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

1963年生まれ、兵庫県在住の防災士&フリーライター 
2014年から本格的にライターを開始!これまで多数の記事を執筆
2017年にひょうご防災リーダー講座を受講し防災士を取得。ハザードマップなど防災業務に長年従事し、防災関連の講演も行っています。
経験を活かして防災に関する情報をできるだけわかりやすく、みなさんへ届けたいとの想いを持って執筆しています。詳しいプロフィールはこちら

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