土砂災害ハザードマップは、危険な地域を簡単に把握できる防災アイテム!

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みなさんは、土砂災害ハザードマップを見たことはあるでしょうか?恐らくほとんどの方が「見たことはある」と思いますが、一目見てどこが危険かなど状況を把握できましたか?

土砂災害ハザードマップとは、大雨の時などに土砂崩れが起きるであろう危険な個所を示しているマップのことです。

実は、数あるハザードマップの中で、土砂災害ハザードマップほど、多くの情報が記載されていて把握しづらいマップはないのです。

そこで今回は、防災士の資格を持ち、土砂災害ハザードマップを作ってきた経験者の目線から、一目で危険度を把握できる方法と、土砂災害ハザードマップで使われている用語の解説をしておきましょう。

目次

結果から先に!土砂災害ハザードマップは色が重なるほど危険度が高くなる

土砂災害ハザードマップで土砂災害の危険度を簡単に把握する方法。それは全ての色が重なるほど危険度が高いということです。

ここでは阪神淡路大震災の教訓を活かして、一早くWEBハザードマップを構築した「兵庫県CGハザードマップ」を例に解説していきます。

簡単に危険度を把握する方法を、兵庫県CGハザードマップで解説

それでは、兵庫県CGハザードマップの土砂災害の情報を見てみましょう。このマップの中で最も危険度が高い場所は、Aの個所となり、次がBの地点になります。なぜそうなのか、順番に解説しますので先ずはマップをじっくり見てくださいね。

出典:兵庫県CGハザードマップより http://www.hazardmap.pref.hyogo.jp/hazmapap/top/select.asp?dtp=19#

Aは土石流と警戒区域、合計4つの危険個所が重なるエリア

Aについての解説です。1・2・3はそれぞれ土石流が予想される渓流です。青矢印の下に扇型に広がる黄色のエリアが、土石流によって土砂災害が予想される範囲となっています。

つまり1・2・3の土石流が同時に起きた場合、それぞれの黄色のエリアが重なる個所はとても危険な個所になるという訳です。

さらに、4は土石流ではないけれど土砂災害が起きる危険な個所として、黄色のエリアが示されています。となると、先に説明した1・2・3の土石流による土砂災害と、4の土砂災害個所の4つが重なる「A」の個所が最も危険であるといえるのです。

【POINT】

・土石流危険渓流1・2・3が及ぼす土砂災害が重なる個所はとても危険

・さらに通常の土砂災害が起きる4が重なる「A」個所が最も危険な個所となる

・土砂災害ハザードマップでは土石流危険個所が重なる個所はとても危険

土石流が最も怖い土砂災害である理由とは

土石流は大雨によって地盤がゆるみ、大量の雨水と岩・樹木・土砂などが一気に流れ出る現象で、「山つなみ」とも呼ばれています。その怖さは、テレビなどの映像を通して実感されていることでしょう。

時速は40kmから50kmととても早く、土石流が起きると逃げるのは困難といってよいです。ですから、土砂災害ハザードマップで最も注視する点は、土石流による土砂災害のエリアなのです。

Bのエリアが2番目に危険な理由

次にBのエリアの解説ですが、もうみなさんおわかりですよね。5・6の土石流による土砂災害のエリアと、7の土砂災害のエリアの合計3つの危険個所が重なっている個所だからですね。

このように、土砂災害ハザードマップは一見して煩雑で見づらいマップですが、先に説明した要領で見れば、「とにかく危険個所がたくさん重なるところが危ない」と、判断することができるのです。

同じ土砂災害ハザードマップでも作成機関で見せ方が異なる

実は土砂災害ハザードマップは、洪水・津波・高潮ハザードマップと比べると作成した機関で見せ方が異なっています。

どこも基本的には国土交通省による「作成の手引き」に沿って作られるのですが、土砂災害ハザードマップは情報量が多いので、作成機関によって「どのように見せるのがわかりやすいか」の観点から、見せ方が異なっているのです。

これから、先ほどの兵庫県CGハザードマップで解説した同じ個所のマップを比較しますので、みなさんで違いを確認してみてください。いずれもWEB版のハザードマップとなっています。

国土交通省作成 重ねるハザードマップの場合

出典:国土交通省ポータルサイト 重ねるハザードマップより  https://disaportal.gsi.go.jp/maps/?ll=34.866056,134.701867&z=16&base=pale&vs=c1j0l0u0

兵庫県CGハザードマップの場合

出典:兵庫県CGハザードマップより http://www.hazardmap.pref.hyogo.jp/hazmapap/top/select.asp?dtp=19#

姫路市土砂災害ハザードマップ

出典:姫路市ハザードマップより https://www.sonicweb-asp.jp/himeji/map?theme=th_42#pos=134.70507634435413%2C34.86756167404663

重要なポイントは凡例(はんれい)の文言が異なること

連続して「国⇒県⇒市」と異なる作成機関の、土砂災害ハザードマップを見てもらいましたが、重要なポイントは警戒区域の表示色だけでなく、土砂災害の種類を説明している文言がそれぞれ違うところにあります。

これだけ違うと、それぞれのマップで凡例の説明が必要になってきますよね。作成機関それぞれが悩んでいる裏返しとも捉えることができますが、住民としては何を覚えればいいのかわからなくなってしまいます。

各ハザードマップの凡例を比較してみよう

ここで一旦、各ハザードマップの凡例を比較して見ましょう。わかりやすいように、比較表を作成してみました。

重ねるハザードマップ 兵庫県CGハザードマップ 姫路市ハザードマップ
急傾斜地の崩壊

(黄色は警戒区域、赤は特別警戒区域)

急傾斜地崩壊危険個所

急傾斜地被害想定区域

土砂災害警戒区域

(急傾斜地の崩壊)

土砂災害特別警戒区域

(急傾斜地の崩壊)

土石流

(黄色は警戒区域、赤は特別警戒区域)

土砂災害警戒区域

土砂災害特別警戒区域

土砂災害警戒区域

(土石流)

土砂災害特別警戒区域

(土石流)

地すべり

(黄色は警戒区域、赤は特別警戒区域)

地すべり危険個所 土砂災害警戒区域

(地すべり)

土石流危険渓流 土石流危険渓流 土石流の流下方向
急傾斜地崩壊危険個所 表示なし 表示なし
地すべり危険個所 表示なし 表示なし

このように対比すれば、どのマップも同じ危険区域を表示していることがわかります。どれが見やすいのかは、見る側の主観によりますから「このマップがいい」とはいいきれません。

ただ、どれも同じような言葉が使われているので専門的に学んでいないと、理解しがたいといったところは否めませんね。

土砂災害ハザードマップで危険個所を指す用語についてわかりやすく解説

それでは、わかり難い危険個所について噛み砕いて解説しておきましょう。それでも、理解しにくい単語がでてきたとしたらご容赦ください。

急傾斜地の崩壊・急傾斜地崩壊危険個所

30度以上の斜面にて土地が崩れる可能性のある個所で、特別警戒区域(レッドゾーン)と警戒区域(イエローゾーン)の2種類が存在します。

レッドゾーン内では開発制限があり、建物を建てる場合は擁壁など住居を土砂災害から守る施設を作らないといけません。レッドゾーンと呼ばれているので、マップ上では赤色の表示となっています。

警戒区域はイエローゾーンと呼ばれているので、マップ上では黄色で表示されています。

【POINT】

・特別警戒区域はレッドゾーンと呼ばれる

・レッドゾーンでは開発制限がされている

・レッドゾーンなのでマップ上では赤色で表示される

・警戒区域はイエローゾーンと呼ばれている

・イエローゾーンはマップ上では黄色で表示されている

土石流警戒区域・特別警戒区域

土石流によって土砂災害の被害を受ける個所を表示しています。先にお伝えした通り、レッドゾーンは赤色で、イエローゾーンは黄色で表示されます。

土石流危険渓流

土石流が起きる危険のある渓流のことです。ほとんどが、小さな幅の狭い渓流が指定されているのが特徴です。

地すべり・地すべり危険個所

ゆるい斜面の土地が広範囲に崩れる個所です。地面にたまった雨水が原因で、まるですべるように大きなかたまりで崩れていくので、地すべりと呼ばれています。

まとめ

土砂災害ハザードマップについて、わかりやすく解説してきましたがいかがでしたでしょうか。最近では台風でなくても低気圧が発達すると、線状降水帯が発生し記録的な大雨をもたらします。その時に注意しなくてはならないのが、浸水と土砂災害なのです。

土砂災害ハザードマップはわかりづらいため敬遠されがちなので、本記事ではできるだけわかりやすく解説してみました。重要なのは命を守ることです。ハザードマップでご自宅の危険度を確認しておいてくださいね。

 

出典:

兵庫県CGハザードマップhttp://www.hazardmap.pref.hyogo.jp/hazmapap/top/select.asp?dtp=19#

国土交通省ポータルサイト 重ねるハザードマップhttps://disaportal.gsi.go.jp/maps/?ll=34.866056,134.701867&z=16&base=pale&vs=c1j0l0u0

姫路市ハザードマップ https://www.sonicweb-asp.jp/himeji/map?theme=th_42#pos=134.70507634435413%2C34.86756167404663

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

1963年生まれ、兵庫県在住の防災士&フリーライター 
2014年から本格的にライターを開始!これまで多数の記事を執筆
2017年にひょうご防災リーダー講座を受講し防災士を取得。ハザードマップなど防災業務に長年従事し、防災関連の講演も行っています。
経験を活かして防災に関する情報をできるだけわかりやすく、みなさんへ届けたいとの想いを持って執筆しています。詳しいプロフィールはこちら

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