「災害救助法ってなに?」災害時の法律を考えてみよう

本サイトはプロモーションが含まれています。

東日本大震災や鬼怒川が決壊した関東・東北豪雨災害、西日本の広い範囲で起きた西日本豪雨災害、震度7の揺れを2回も経験した熊本地震災害など、日本で起こるこのような大規模災害では「災害救助法が適用されました」と、必ずニュースで報じられます。

災害救助法は災害が起きて直ぐに適用されるのでなく、被害の大きさによって判断されて被災の基準を超えると災害救助法の適用となります。本記事ではこの災害救助法について、適用されるとどうなるのか、誰が適用を決定するのかなど、概要をわかりやすく解説しています。

目次

災害救助法とは国の責任で救助を行うことを趣旨とした法律

災害救助法は1946年に起きた南海地震をきっかけに、翌年の1947年に施行された法律であり、国の責任において被災した国民を救助する趣旨でできています。食事の提供、避難所や仮設住宅の提供は、災害救助法に基づいて行われているのです。

災害救助法の適用のタイミングと決定権を解説

先ずは災害救助法が適用となるタイミングと、適用を決定するのはどこが行うのかを解説していきましょう。国が決定すると多くの方がイメージしていると思いますが、実は違うのですよ。

適用の基準は2つ!住宅被害と人的被害

災害救助法の適用は災害が起きて直ぐではなく、被害拡大を確認しつつ甚大な被害になったと判断できた時点で適用となります。

つまり、大きな災害が起きないと災害救助法は適用にならないという訳なのです。

住宅等への被害状況

住宅被害については4つのパターンがありますが、「当該市町村区域内の人口に応じて住宅滅失世帯が一定以上であること」が基本となります。ザックリいうと、地震による倒壊、水没などで住宅が壊れた(無くなった)世帯が多くあると適用になるということですね。

生命・身体への危害が生じた場合

今度は人的被害があった場合ですが、この基準はあいまいで「多数の者が生命又は身体に危害を受け又は受けるおそれが生じた場合」と明記されています。

これもザックリいうと、多くの住民が避難所に避難し屋根などで救援を待っている状況であれば適用されるとの解釈になります。

要はとても大変な状況になっていることがわかれば適用となる

法律なので、法規を読むとかたーい言葉で書かれているのでとてもわかりにくい印象を受けるでしょう。

なので、「要はとても大変な状況になっていることがわかれば適用となる」と、覚えておけば問題ないですよ。

決定するのは都道府県・要請は市町村単位

災害救助法の適用を決定するのは都道府県です。ただし、管轄内の市町村から被害情報の報告があり災害救助法の適用申請が行われて初めて適用となります。

【POINT】災害救助法適用の流れ

  • 市町村単位で被害状況をとりまとめる
  • 都道府県に被害状況を報告する
  • 災害救助法の適用申請を市町村が行う
  • 都道府県が災害救助法の適用を決定
  • 内閣府に情報提供を行う

    災害救助法の適用については、このような流れになっています。国が適用を決定するものと思っていればそうではなく、都道府県が適用を決定するのですね

    災害救助法が適用されるといいことがあるの?

    では災害救助法が適用されると、どのようなメリットがあるのでしょう。もし適用されないとどうなるのかも見ていきましょう。

    適用されないと市町村単位で全てを賄うこととなる

    もしも災害救助法が適用されないとなると、災害救援などにかかったお金は全て市町村で賄わなくてはなりません。甚大な災害の場合だと避難所運営だけで相当な予算が必要となるので、市町村の財政を圧迫しかねないのです。

    【POINT】

    • 災害救助法が適用されないと市町村が困る
    • 全ての支出を市町村が賄うこととなる
    • 予算が不足するので全ての住民を助けることができなくなる
    • 財政を圧迫して正常な住民サービスができなくなる

      このように、災害救助法が適用されないと市町村は財政的にとても厳しい状況に陥ってしまうのです。

      適用されると都道府県や国庫から資金が調達できる

      災害救助法が適用されると被災した市町村に対して、都道府県や国庫から支援金がでることとなります。

      【POINT】

      • 避難所の設置にかかる費用 1人=330円以内
      • 炊き出しスタッフの雇い上げ
      • 被災者用の弁当の購入
      • エアコン、扇風機などのレンタル費用
      • 応急仮設住宅の供与など

        これら以外にも被災者支援にかかる費用を支援してくれるので、被災した住民も困らなくて済むのです。

        日常生活が困難な場合は日常必需品も支給される

        住宅が全半壊、全半焼、流失、床上浸水によって生活に必要なモノが無くなり、日常生活に支障をきたす場合は次のモノを給与または貸与してくれます。

        日常生活に必要な給与または貸与品

        • 洋服、作業着、下着、毛布、布団、タオル等
        • 石けん、歯みがき、トイレットペーパー等
        • 炊飯器、鍋、包丁、ガスコンロ、茶碗、皿等
        • マッチ、ライター等

        かかる費用は1人世帯で最高、夏:18,800円・冬:31,200円。4人世帯だと、夏:42,800円・冬:65,700円を限度に支給されます。

        その他障害物の除去費、埋葬費、学用品の給与もある

        災害救助法が適用されると被災した方にとっては、多くの支援を受けることができるます。先の日常生活用品だけでなく、障害物の除去費、埋葬費、学用品の給与までも行われるので、とりあえず当面の生活はできる状況にはなるのですね。

        まとめ

        小規模な災害を除き、多くの被災者がでるような災害では必ず災害救助法が適用となります。甚大な被害がある場合、災害救助法が適用されないと各市町村の財力では住民を守ることができないですからね。

        大きな災害が起きれば数日後には、災害救助法が適用されると覚えておくとよいでしょう。

        備えておこう!おすすめの防災グッズ

        これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

        よかったらシェアしてね!
        • URLをコピーしました!

        この記事を書いた人

        1963年生まれ、兵庫県在住の防災士&フリーライター 
        2014年から本格的にライターを開始!これまで多数の記事を執筆
        2017年にひょうご防災リーダー講座を受講し防災士を取得。ハザードマップなど防災業務に長年従事し、防災関連の講演も行っています。
        経験を活かして防災に関する情報をできるだけわかりやすく、みなさんへ届けたいとの想いを持って執筆しています。詳しいプロフィールはこちら

        目次