「家庭外避難」という言葉を、聞いたことがあるでしょうか。反対語は「家庭内避難」と呼ばれています。これは災害時の避難行動の種類を指す言葉で、自宅ではなく避難所などに逃げることを指しています。
そして家庭外避難とその反対語である家庭内避難とでは、備蓄品に大きな違いがあるのです。南海トラフ巨大地震の発生がささやかれている昨今では、備蓄品は7日間×家族分と言われています。
ですが、家庭外避難を選択した場合はリュックに収まる程度の備蓄で、大丈夫になってくるのです。どうしてそんなに差が出てしまうのか、本当に7日間分備蓄をしなくてもよいのか、家庭外避難について詳しく見てみましょう。
家庭外避難の定義は自宅以外に避難すること
先ずは、家庭外避難の定義を確認しておきましょう。家庭外なので自宅以外となります。避難は「難を避ける」ことで、逃げる意味をもっています。
ですから、「自宅以外のところに逃げる」というのが、家庭外避難の定義といってよいでしょう。
避難所だけじゃない!ホテルや親戚宅、友人宅など安全な場所に逃げることも大切
自宅以外なので多くの方は、避難所に逃げることを選択してしまいます。ですが、自宅外なので避難所に限らないのです。
ホテルや親戚宅、友人宅など、とにかく安全な場所に逃げることが大切になってきます。
避難所ではダメなの?プライベートな事情がある場合はホテルも有効
避難所に逃げることができれば、食料や飲料水の配給もあるので先ずは安心できますね。最近ではパーティションや段ボールベッドなども備蓄されている場合もあり、随分と避難所生活も改善してきました。
それでも、大勢のところに長時間いることができなかったり、小さな子供さんがいたりして避難所生活ができない事情を抱えている方もいるのです。そんな方は、ホテルや親戚宅に避難する方が安心できるでしょう。ただし、ホテルはお金がかかりますし、被災しない安全な場所が条件となりますから交通費もかかってしまいます。
ですから、それぞれが普段から「自宅以外ならどこに逃げるか」を決めておく必要があるのです。
備蓄品は本当に7日分なくていいの!?
南海トラフ巨大地震の発生がささやかれる以前では、備蓄品は最低3日×家族分でOKでした。ですが、現在では最低7日×家族分が良いといわれています。
その理由は、南海トラフ巨大地震の被災地が静岡県から九州までと超広範囲になると想定されて、支援物資がなかなか届かないであろうということからなのです。ですから、家庭外避難を選択した場合は本当に7日分でなくてよいのかと、不安になりますよね。
自宅以外に逃げるとき、7日分の食料は持てないから
では7日分の食料など備蓄する必要がないことを解説していきましょう。先ず、7日分の備蓄が必要になるのは、家庭内避難で自宅に留まる場合です。
水の備蓄を例にイメージしてみましょう。大人1人が1日に必要な水は3リットルといわれています。7日分だと3リットル×7日=21リットル。夫婦だけで考えても42リットルとなり、なんと2リットルのペットボトル21本にもなるのです。
【POINT】
- 大人1人1日3リットル水の備蓄が必要
- 7日分だと21リットル
- 夫婦だけで42リットル
- 2リットルのペットボトル21本備蓄が必要
- 持って逃げるのは不可能
これ、避難所まで持って逃げることできませんよね。水だけでこれだけ必要なので、食料や着替えなどなど7日×家族分の備蓄品を持って逃げることは不可能なのです。
逃げやすくするため!ひとりリュック一つ分の備蓄品でOK
避難時に大切なことは安全に逃げることです。ですから両手が塞がっていてはよくありませんし、重たすぎる荷物を持って逃げるのもNGとなります。
家族ひとりに、リュック一つ分の備蓄品を持って逃げるのが理想ですね。子供も一緒なら子供分は子供さんのリュックに入れておきましょう。
【POINT】
- 家族ひとりにリュック一つの備蓄品
- 着替えなどを分けておけば避難先でも便利
- 子供さんも自分の着替えなどは子供用のリュックに
それぞれのリュックに着替えなどを分けておけば、避難先でも荷物を広げることがないので衛生的で便利なのです。ただし、あまり重たくしないことがポイントとなりますよ。
リュック一つ分の備蓄品!食料や水は1日程度で大丈夫
それではリュック一つ分の備蓄品について解説しておきましょうね。リュック一つといっても具体的に何を備蓄しておけばよいかわかりませんものね。
缶詰・レトルトは3食分あれば十分
食料を備蓄するなら缶詰やレトルト食品となります。仮にカレーを食料の備蓄に選んだとしましょう。
- ご飯のレトルトパック(約200g)×3個:600g
- カレーのレトルトパック(約250g)×3個:750g
- ご飯+カレーで一人約1,350g
3食分でこれだけの重さになりますが、これくらいだと大丈夫ですね。ただし、缶詰を選んだ場合はもう少し重たくなりますよ。
水は500mmのペットボトル2本か3本
水は500mmサイズのペットボトルを備蓄する方が良いです。2リットルサイズの方が値段は安いのですが、持ち運びや飲む時にコップが必要になるなど避難所では扱いづらくなってしまうのです。
【POINT】
- 500mmペットボトル×3本:1,500g
- 値段は高くなるが持ち運びに便利
- 飲みきりサイズなので衛生的
着替えや、あれば便利なモノで5kgから7kgまでに抑えよう
- 懐中電灯 1個
- ライター 1個
- 軍手、皮手袋 1組
- 救急セット 1セット
- レジャーシート 2枚
- 断熱シート 1枚
- 簡易トイレ 10枚
- タオル 4枚
- ポリ袋 10枚
- トイレットペーパー 1巻
- ウエットティッシュ 1個
- ガムテープ 1個
- 油性マジック 1個
- 筆記用具 1セット
- 着替え(下着) 2日分
これらは家族が共通して持っていた方がよい備蓄品になります。個数は全て1人分だと計算してくださいね。子供さんの分は親御さんのリュックに分けて、できるだけ軽くしてあげてください。
リュックの重さは10kgを目安にしよう
逃げる時にリュックが重すぎるとふらついたり、転んだりする原因となるので危険ですよ。おおむね10kgを目安にしておくことをおススメします。
【POINT】
- 男性=体重のおおむね40%以下
- 女性=男性制限の60%以下
腰を痛めないリュックの重さはこのようにいわれています。例えば体重が60kgの男性だと24kg以下となり、体重50kgの女性だと「50kg×0.4×0.6=12kg」となります。
まとめ
家庭外避難を選んだ場合は、備蓄品は逃げる時に持てるリュック1つ分で大丈夫です。たくさん備蓄していても持ち出すには限界がありますからね。
逃げる時にサッと持ち出せるように、いつも中身を点検してスタンバイOKの状態にしておくことが大切になります。リュックの重さも標準的な数値をお伝えしていますが、男性も女性もそれぞれ無理のない重さに自分で調整しておきましょう。
逃げる時に重要なのは、とにかく命を守ることを第一に考える!ことですからね。