液状化、液状化現象とは、大きな地震時にて起きることがほとんどで、道路など普段は硬い地盤がドロドロした液状になってしまう現象を呼んでいます。
地震後のニュースなどで報道されているので、多くの方がご存じでしょう。
今回は、液状化が起きるメカニズムと、液状化を防ぐことは非常に難しいことを解説しましょう。
液状化が起きる条件を解説
大きな地震が起きると、どんな場所でも液状化する訳ではありません。
液状化するには条件があり、大抵の場合、次の条件が揃った時に液状化が始まるとされています。
液状化する3条件
海岸や河口付近、埋立地、河川の扇状地などが該当。
専門的な言い方をすると、地盤の硬さを示す「N値」が20以下で、土の粒の大きさが0.03mm~0.5mmの砂地盤の個所であること。
地下水が地表面から10m以内で、地下水位が浅いこと。
ただし戸建て住宅は軽いため、地下水位が地表面から3mより深ければ、液状化の発生による建物自体の被害は生じにくいと考えられます。
震度5以上の地震の揺れが起きること。
揺れの時間が長くなる程、液状化が進み被害が拡大します。
東日本大震災時には、震度5を記録した地域で大規模な液状化が起こっています。
揺れの長さはマグニチュードに比例するので、マグニチュードの大きな地震では揺れる時間が長くなり、液状化が発生する可能性が高くなってきます。
また、揺れの時間が長い地震は、震度4でも液状化する可能性はあります。
つまり、まとめると!
震度5以上の地震が起きた場合、砂地盤の個所で、地下水が地表面から10m以内に存在している場所は、液状化が起きる可能性が極めて高い、と言うことになります。
液状化が起きるメカニズム
では、先の3つの条件が重なった場所では、どのような状況で液状化となるのか、建築で有名な大林組の公式サイトに分かりやすい画像があったので、この画像を使って液状化のメカニズムを説明しましょう。
地震時に圧力が高くなった地下水は、「噴砂」や「噴水」として地表面に噴き出してきます。
液状化が酷い場合は、地上にある建物などの重いものは沈降し、地下の水道管などの軽いものは浮上する、逆転現象が起こります。
液状化を防ぐことは非常に難しい
さて、ここまで液状化が起きるメカニズムを解説してきました。
重要なのは、大きな地震が起きたから必ず液状化が起きるのでなく、条件が揃わなければ液状化は起きないと言うことです。
ですが、実際に東日本大震災時には東北地方各地や、遠く離れた千葉でも液状化が起きています。
液状化を防ぐ方法はあるのでしょうか?
既にインフラが整備されているので対策は難しい
液状化って、地下水が10m未満で砂地盤が原因でしょう。なら、どちらかを変えれば、液状化しないのでは?
確かに、原理的にはそうだけど・・できると思う?
ITとかAIとかすごいじゃん!何とかしたらできると思うけどなぁ!
なかなかカンタンじゃんないんだよ!道路の中には、水道管や下水道管、ガス管とかいろいろ埋まっているからね。
それに、地盤を全て入れ替えるのは不可能だし、土壌改良して砂地盤を変えることもムリ!地下水に至っては、現在の位置を変更なんてできないからね!
そうなの・・じゃぁ、液状化は防げないってこと?
新しい道路とか、河川改良とか、大きな建物を建てる際には、土壌改良や部分的に地下水の流れを変えたりはしているけど、全国の土地を改良するのは不可能だね。
そっか、仕方ないのか・・
そうだね。だから、大きな地震が起きると、津波が発生するかも知れない!ことと同じように、液状化するかも知れない!って考えていた方がいいだろうね。
自分の家やその周辺が、液状化するのか分からないのかな?
自治体によっては、「液状化マップ」を作成しているところもあるよ。ただ、かなり少ないけどね。「○○市 液状化マップ」で検索してみると、作っているか分かるよ。
液状化するかは地震が起きないと分からないのが現実
自宅や職場、その周辺など、生活圏内で液状化が起きるのか知りたいですよね。
でも、現実的に予め知る由はほとんどありません。
埋め立て地であれば、ほぼ高い確率で液状化は起こりますが、それ以外の陸地において確実に「液状化します!」とは言い切れないのです。
ですから、液状化は地震が起きてみないと分からないのが、残念ながら現実なのです。
液状化に関する、よくある質問
- 液状化は、どこで起きるのですか?
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・緩い砂地盤 海岸や河口付近、埋立地、河川の扇状地などで多くみられます。
・地下水の位置 地下水位が地表面から10m以内で、地下水位が浅いほど液状化が起こりやすくなります。
・大きな地震の揺れ 震度5以上といわれています。
この3つの条件が揃った場所で、液状化は起きると言われています。 - マンションに住んでいます、液状化したらどうなりますか?
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マンションの場合、建物下部にある杭が地盤の性状に合った状態で、液状化する層の下の強固な地盤まで届いていれば、建物は傾かないことが多いです。ただ、敷地内は液状化の影響で地表面が凸凹になり、建物と建物外周(舗道や植栽など)との段差が、非常に大きくなることがあります。
- 埋め立て地は液状化しますか?
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埋め立て地は元々海を埋め立てた陸地なので、多くの水分を含んでいます。なので、大きな地震が起きると、高い確率で液状化が起こってしまいます。