表面フラッシュとは、衣類に着火した炎が一瞬で燃え広がる現象を呼んでいます。
多くは、ガスコンロの火が、衣類の袖口などに着火して起こるので、ガスコンロ付近では表面フラッシュに用心する必要があります。
表面フラッシュは、一瞬衣類に火が走る現象を呼んでいますが、本記事では「表面フラッシュ=着衣着火」と同じ意味として取り扱っています。
表面フラッシュとは?
冒頭にお伝えしている通り、表面フラッシュとはちょっとした小さな炎が、衣類に燃え移り一瞬で広がってしまう現象のことです。
言葉よりも、実際の映像をご覧頂いた方が分かりやすいと思うので、神戸市が発信している動画をご紹介しましょう。
この動画のように、表面フラッシュとは一瞬衣類の上を炎が走る現象を呼んでいますが、多くの場合、この現象が衣類着火につながり、衣類自体が燃える事故を引き起こしています。
ですから、本記事ではこれ以降「表面フラッシュ=着衣着火」として、お伝えしていきます。
ガスコンロだけでない!たき火・仏壇のローソクやタバコのライターも注意
表面フラッシュを注意するシーンは、ガスコンロだけではありません。
仏壇のローソクや、タバコを吸う時のライターの炎も注意が必要なのです。
中でも、たき火による表面フラッシュは死亡率が第1位となっています。
たき火中の表面フラッシュは死亡率が第1位
総務省消防庁の統計資料によると、先のグラフのとおり「たき火中」に、表面フラッシュが起きて死亡する確率が第1位となっています。
この数字は、平成27年~令和元年までの統計データですが、現在もあまり変わっていないようです。
ですから、たき火中は燃えにくい服を着ることが、最も重要となるでしょう。
仏壇のローソクからの表面フラッシュはお年寄りが多い
仏壇にお参りする風習はやはりお年寄りが多く、その結果、ロウソクの炎による表面フラッシュの事故は、お年寄りに集中しています。
ご家族がいる場合は、危険性をよく伝えてあげましょう。
または、お参りする際にはロウソクは使用しないことも、必要かも知れません。
タバコの火をつける時にライターの炎が揺らぐと・・
現代ではタバコを吸うにも一苦労で、スモーカーの方は大変な状況と言ってようでしょう。
屋内での喫煙はほとんどできなく、外での喫煙となっているはずです。
ライターの火をつけた時に、風が吹いて袖口に炎が近づくと・・
袖口から、表面フラッシュが起きる可能性が十分あります。
表面フラッシュが起こりやすい素材を比較
表面フラッシュについては、起こりやすい素材と起こりにくい素材があります。
ここでは、表面フラッシュが起こりやすい素材を一覧表でお伝えしましょう。
表面フラッシュ発生状況一覧表
とても起こりやすい素材1 | とても起こりやすい素材2 |
綿、キュプラ、 レーヨン | アクリル※1、 ビニロン |
炎を上げて素早く燃え上がる | 融けながら炎を出し て、素早く燃える |
起こりやすい素材 | 起こりにくい素材 |
ポリエステル、 ナイロン、絹、毛 | アクリル系※2、 フェノール系 |
炎の広がりはゆるやかで徐々に燃焼する | 炎に触れている間は燃えるか焦げるが、炎を遠ざけるとすぐ消える |
※1:アクリル繊維は、ポリアクリロニトリルを 85%以上含有する素材です。
※2:アクリル系繊維は、ポリアクリロニトリルの含有率が 35~85%で、塩化ビニルまたは塩化ビニリデンを含有する素材です。
表面フラッシュが起きやすい衣類の形状
表面フラッシュは素材だけでなく、衣類の形状によっても起きる確率が異なってきます。
これらの形状の衣類や、マフラーやスカーフなどは、ガスコンロ付近では要注意となります。
表面フラッシュが起きると死亡するケースもある!
自分にはあまり関係ないと思われがちですが、表面フラッシュによる火傷で毎年100名の方がなくなっているのです。
先のグラフを見るとお分かり頂けますが、直近の令和2年では、95人の方が表面フラッシュが原因でなくなっており、その内77人の方が65歳以上の高齢者となっています。
表面フラッシュを防ぐ重要事項!
ここでは、死亡にも繋がってしまう表面フラッシュについての重要事項をお伝えしましょう。
・火に近づきすぎないようにすること!手を伸ばしたり、かがんだりすると、意図せず体が火に接近する可能性があるので要注意です。
・火力の調節とこまめな消火を心掛ける!調理の際は、炎が鍋底からはみ出さないように気を付けてください。「ながら掃除」などはせず、火のそばで作業をするときは一度消火することが重要です。
・服装に注意する!袖口やすそが広がっている衣服、ストールなど垂れ下がるものは、火を扱う際には身に着けないようにします。また、衣服の表面が毛羽立った素材は、表面フラッシュにも注意が必要です。
・火の周囲にも注意しよう!風が吹くような場所は、着火すると燃え広がり大変危険です。また、引火しやすい液体等が付着したままの服で、火に近づかないでください。
もしも衣類に火がついてしまったら!
注意していても、万一服に火がついてしまったら、どうすれば良いのでしょう。
そんな時に、対処する手順をお伝えしておきましょう。
1:ストップ⇒2:たおれる⇒3:ころがる
袋井市のYouTube動画で確認しておこう
ここで、先の動作を紹介している、袋井市のYouTube動画を紹介しておきましょう。
表面フラッシュと衣類着火は同じだと考えておこう
ネットで検索すると、表面フラッシュでは衣類は燃えず単に発火するだけ。
衣類が燃えるのは「衣類着火」と分けて説明しているケースもありますが、そうではなく「表面フラッシュ=衣類着火」と考えておいた方が良いです。
とにかく、実際に年間100人の方が亡くなっていて、死亡以外でも多くの方が火傷などの治療を必要としています。
たき火・コンロ・ローソク・タバコは、「表面フラッシュ」に要注意ですね。
参考サイト
総務省消防庁 (別添)着衣着火に関するデータ等
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_055/assets/consumer_safety_cms205_211117_02.pdf