災害大国と呼ばれる日本では、1年をとおしてどこかで災害が起きています。台風シーズンに浸水被害や土砂災害が集中しがちですが、春だから安心できる訳ではありません。
火山の噴火はいつ起きるか分かりませんし、地震災害も同じです。そんな、災害大国だからこそ、国が予算をかけてさまざまな防災系のシステムを開発していることをご存じでしょうか?
せっかく国から無料で情報提供してくれているので、知っておかないと勿体ないですよ。
今回は、統合災害情報システム(DiMAPS)をご紹介しましょう。
統合災害情報システム「DiMAPS」とは
先ず、「DiMAPS」とは《ディーマップス》と呼びます。名前の由来は、「Integrated(統合) Disaster (災害)Information(情報) Mapping System(マッピングシステム)」から、災害のDi+マッピングのMap+システムのSを組み合わせて、「DiMAPS」となっています。
この統合災害情報システムは、地震や風水害などの自然災害発生時に、いち早く現場から災害情報を集約して地図上に分かりやすく表示することが可能な、今までにない全く新しいシステムと言われています。
「DiMAPS」はどんな時に利用できるシステムなのか
国土交通省からは、DiMAPSは「今までにない全く新しいシステム」と説明がありますが、どのような時に、どんな使い方ができるのでしょう。
ここでは、DiMAPSの活用方法を解説しましょう。
閲覧できる情報は2つ!事前情報と被害情報
DiMAPSで閲覧できる情報は、事前情報と被害情報の2種類となります。
事前情報とは、文字通り予め把握できている情報のことで、大項目で説明すると次のような情報が表示されます。
1:ハザード情報
2:水位観測所
3:ダム
4:道路
5:自動車
6:鉄道
7:港湾・漁港
8:空港・ヘリポート
9:都市
10:下水道
11:官公庁施設
12:行政区域・人口分布
13:その他施設
大項目はこのように13種類となっています。
ここで気になるのが、「9:都市と10:下水道」です。一体どのような情報になるのか確認してみました。
都市は「都市公園」下水は「下水道関連施設」が表示される
大項目の都市は、都市公園の位置情報を閲覧することができます。
都市公園の情報は、公園のアイコンをクリックすることで、次の5項目が分かります。
都市公園情報を表示した画面
DiMAPS で都市公園の情報を表示した画面は、このようになります。
下水道はポンプ場などが表示される
下水道は、下水道関連施設としてポンプ場などが表示され、格納されている情報は次の5項目となっています。
事前情報で最も利用できる情報は「ハザード情報」となる
DiMAPSの事前情報で最も利用しやすいのは、やはり「ハザード情報」になります。土砂災害危険箇所では、「土石流危険箇所・急傾斜地崩壊危険箇所・地すべり危険箇所・雪崩危険箇所」の4つの危険個所を同時に確認できます。
また、浸水想定区域では、「浸水想定区域(L1)・浸水想定区域(L2)・津波浸水想定区域」の3つの情報を、同時に確認することが可能です。
因みに、浸水想定区域(L1)とは100年に1回起きる降雨による想定であり、 浸水想定区域(L2) は1,000年に1回起きるであろう降雨での想定となっています。
土砂災害危険個所と 浸水想定区域 の情報全てを表示した画面
中項目である土砂災害危険個所と浸水想定区域の情報を、全て同時に表示させるとこのようになります。
ほぼ、ハザードマップと同じ表示となるので、普段から自宅付近の危険度の確認に利用できます。
被害情報は過去の被害情報も確認できる
DiMAPSでは、災害状況をいち早くシステムに表示して、素早い判断ができるようになっていますが、執筆時点では災害が起きていないので、リアルタイムの災害表示は確認できません。
ただ、DiMAPSでは過去の被害状況も確認できるようなので、ここでは「令和3年8月の大雨による被害状況」を確認してみます。
災害のリストも表示される
「令和3年8月の大雨による被害状況」 を見てみると、こんな感じで表示されます。
画面が上部に地図、下部にリストを表示できるようになっていて、上記の画面のリストはこの時の雨で、土石流の被害が起きた個所をリスト表示しています。
何に使えるのか?は、どう感じるか!で変わる
実際に大雨などの時に使用していないので、自分でも実感がわいていませんが、 DiMAPSが何に使えるか考えてみると、災害現場からほぼリアルタイムに情報が上がってきて、その状況を読み取ることができるなら、迫ってくる危険度を察知する情報源として利用できるのではないでしょうか?
雨雲の動きと被害状況を照らし合わせて避難の指針に活用できる
単に「ふぅ~ん」と見ているだけでは、利用価値はあまりないと言えるでしょう。
ですが、台風や爆弾低気圧の通過による被害が把握できるなら、既に通過した場所の被害状況を確認することで「土砂災害警戒区域に近いから、避難しておこう!」と、避難を決める情報にはなり得るでしょう。
また、日本全国の情報を確認することができるので、離れている家族に危険度を知らせることも可能です。
統合災害情報システム「DiMAPS」とは
DiMAPSの情報をどう感じるかで、それぞの利用価値は変わってくるでしょう。
「おっ!今回の雨は結構ヤバいかも!」と感じるか、「自分の住んでところは大丈夫!」と感じるか、同じ情報を見ても人によって感じ方は異なってきます。
ですが、 この統合災害情報システムは、地震や風水害などの自然災害発生時に、いち早く現場から災害情報を集約して地図上に分かりやすく表示することが可能な、今までにない全く新しいシステムと言われています。
せっかくのシステムですから、一度触ってみることをおススメします。
参考サイト
国土交通省 統合災害情報システム(DiMAPS)
https://dimaps.mlit.go.jp/dimaps/index.html