今では「ドローン」は、知らない人はいない程、知名度が上がってきています。テレビ局の現場では必須となっていますし、測量の分野でもドローンでの空中写真測量が取り入れられています。
ただ、測量ではドローンと言わず「UAV(無人航空機)」と呼ぶんですよねぇ。ともあれ、ドローンは今や、防災や災害現場に無くてはならない存在となっています。
今回は、さまざまなシーンで活躍するドローン技術を、防災・災害に絞って解説しましょう。
ドローンを利用するメリット!安価なドローンでも画像は鮮明
ドローンを使えば、人が立ち入ることができない場所の確認も可能になります。
ドローンを使ったことがある方ならお分かり頂けることですが、ドローンで撮影する画像はブレもなく鮮明に映し出されます。初めて実際のドローン画像を生で見る方は、ほとんどの方がそのキレイさに驚きます。
人気なのは4Kカメラ搭載の「DJI PHANTOMシリーズ」
色んなドローンがありますが、企業や自治体でよく使われているのが「DJIのPHANTOM(ファントム)シリーズ」です。現在では、「Phantom 4 Pro V2.0」が使われています。価格は28万円程で、4Kカメラが標準搭載されています。
スペックは優れていて、障害物を自動で避けながら飛行するので、離発着ができれば飛ばすのは意外にカンタンです。
ディスプレイ上で線を描けば自動でルートを飛行してくれる
しかも、GPS機能との連携が可能なのでディスプレイ上に線を描くだけで、その通りのルートを飛行します。
この機能を利用すれば、色々な用途でドローンを使えます。例えば、ディスプレイに地図をセットして、撮影したい個所を予め地図上でルート指定しておけば、自動でそのルートの撮影ができます。
また、何回でも同じルートを飛行することが可能なので、時系列で同一カ所の比較をすることもできて、調査にもってこいです。
災害時に物資を運搬できる!国内最大級の運搬用機の実証実験
2021年3月に、国内最大級の重量物運搬用ドローンの実証実験が行われています。実験は「古河産業」(東京都港区)などが作る任意団体「Future Drone Systems(フューチャー・ドローン・システムズ)」が行っていますが、実験結果は、44kgの機材を積んで300mの区間の飛行に成功しています。
これまで、ドローンによって一度に運搬できるのは約5kgと言われていたので、この成果は大きいですね。がけ崩れなどで孤立した場所に、必要な物資を届けるのにとても役に立つドローンと言えるでしょう。
多言語AIシステム搭載のアナウンサードローン
2021年10月28日付けの日刊工業新聞によると、「アナウンサードローン」が開発されたようです。和歌山県白浜町にあるクオリティソフトが開発した、圧電スピーカーユニットを、双葉電子工業製のドローンに搭載して、スピーカーから人の声で強くアナウンスするシステムです。
AI搭載で、日本語以外に28カ国の言語で話すことが可能。災害時などの避難誘導に利用できるほど、音声出力はアップされているようです。
災害に特化した救助型ドローン
株式会社センチュリー では、災害時の救助に特化したドローンを開発しています。現在の所、次の4つの救助システム用のドローンが登場しています。
それぞれの救助システムが、どのようなものなのか確認してみましょう。
火事災害救助システム 16個の消火弾搭載
火事災害救助システムではドローンに16個の消火弾を搭載して、火災現場上空から投下します。消化面積は128㎡で36倍ズーム撮影システムを搭載。
ヘリコプターによる消火ではフライトに時間が必要なので、初期消火には対応しずらい面がありますが、ドローンなら空中からの初期消火が可能となります。
市街地災害救助システム 消火・救難ハシゴなどを搭載
市街地災害救助システムでは、ドローンに12個の消化弾を搭載して144㎡の面積に対応しています。さらに、ハシゴをビルの壁等に投下して消防隊員の救助活動をサポートする「救難ハシゴモジュール」も搭載。
その他、有毒ガスを検知する「有毒ガス探知モジュール」赤外線を映像化し熱を探知する「赤外線映像モジュール」なども搭載しています。
海難・水害救助システム 8個の救命フロートを搭載
海難・水害救助システムでは、8個の救命フロートを搭載して溺れている人の真上から、浮き輪を投げ入れることが可能です。また、救援ロープを投下することもできるので、遭難者の救助をサポートできます。
災害孤立者救助システム 2個の荷物輸送ケースを搭載
災害孤立者救助システムでは、ドローンに2個の荷物輸送ケースを搭載して救命物資を投下し、遭難者の救助をサポートするシステムです。最大積載重量は25kgとかなり大型なので、水や食料、薬品などを届けることが可能です。
この他、空中から照明で照らして夜間救助をサポートする「空中照明モジュール」や、通信が困難な地域に通信信号を転送できる「通信中継モジュール」3D映像にて被害状況を正確に把握できる「3D撮影モジュール」も搭載しています。
ドローン技術はこれからもどんどん応用されていく
現在のドローン技術では、記事内で紹介した防災や災害に特化したドローンが、次々登場しています。10km以上離れていても操縦可能なドローンも登場しているので、かなり遠い場所まで物資を運んだり、救助をサポートしたりできます。
これからも、ドローン技術はどんどん応用されていくでしょう。みなさんも、情報をチェックしてみると面白いですよ。
参考サイト
Phantom 4 出典:DJI https://www.dji.com/jp/phantom-4-pro
防災ニッポン+ https://www.bosai-nippon.com/biz/article/2674
ニュースイッチ https://newswitch.jp/p/29418