【つなぐ 防災の話をしよう】イオンが紗栄子さんと考える、これからの支援・これからの防災。

 災害大国・日本。いつ起こるかわからない災害に備え、一人ひとりが防災意識を持つことが求められています。流通グループ大手・イオン株式会社(以降イオン)は、長年にわたりさまざまな被災地支援や防災・減災活動を展開しています。

 9月1日の防災の日を前に、イオンで総務部長を務める忌部守人さんと一般社団法人「Think The DAY」を立ち上げ被災地支援や防災活動を行うタレント・紗栄子さんが災害への備えや被災地支援について話しました。

※本企画は西日本新聞・北海道新聞・東京新聞・中日新聞 3社4紙連合の防災企画です。

イオン株式会社  総務部長 忌部 守人さん

1996年ジャスコ(株)(現イオンリテール(株))入社。
2018年~イオンリテール(株)東北カンパニー(現イオン東北(株))人事総務部長として東北エリアの防災、被災地支援に尽力。2024年からは、イオン(株)総務部長としてイオングループ全体の防災活動に携わる。

イオン株式会社  総務部長 忌部 守人さん

モデル・タレント・女優  紗栄子さん

宮崎県出身。モデル・タレント・女優として活躍し、アパレルやコスメを中心にさまざまな商品プロデュースも手掛ける。2020年8月に拠点を栃木県大田原市に移し、NASU FARM VILLAGEの運営にも参画。2010年より支援活動を始め、2019年10月に一般社団法人Think The DAYを設立。二児の母。

モデル・タレント・女優  紗栄子さん
目次

一日も早く、一人でも多くの人を救うために

忌部:イオンの基本理念の中に「小売業は平和産業である」とあり、岡田卓也名誉会長相談役の戦後の実体験から、小売業の存在こそが平和の象徴であるとの想いがあります。

この平和には戦争がないだけでなく、災害からの復興や日常生活の維持も含まれていることから、有事の時も含めて地域のライフラインとして機能することが弊社の使命だと考えています。

紗栄子:イオンさんのお考えやこれまでのお取り組みに敬服いたします。「困った人を助けたい」という根底の想いは、私たちと共通していると感じます。

忌部:紗栄子さんはタレントとして多くの人の憧れの的でありながら、精力的に災害支援活動に取り組んでいます。きっかけは何だったのでしょうか。

紗栄子:幼稚園の時、両親から買い物のお釣りを貰って赤い羽根共同募金の募金箱に寄付したのが最初の寄付体験でした。本格的に支援活動に携わったのは、2010 年に出身地・宮崎県で発生した口蹄疫の支援から。

翌年の東日本大震災や16年に台風で甚大な被害を受けた熊本・大分に募金、17年の九州北部豪雨でボランティアとして活動しましたが、取り組みを公表することで偽善・売名といった誹謗中傷を受けました。それでも私だからできることがあると思いますし、有事の際こそ芸能人が持つ発信力を最大限に使うべきとの思いもあります。

19 年 9 月の東日本台風の際、SNS を通して皆さんに支援物資を呼びかけたところ、 2 日間で 4 トントラック 15 台分もの物資が集まり、一人ひとりの力が大きな力になると実感しました。

忌部:SNSの投稿から、被災地で何が起こっているのかをわかりやすく伝えていると感じました。 法人化もされているのですね。

紗栄子:行政では個人からの物資を受け入れてもらえないことがあると知り、一般社団法人「Think The DAY」を設立しました 。経験を重ねていくうちにより良い方法が見つかったり、個人で感じていたもどかしさも解消しつつあります。

SNSでの発信も今や多くの芸能人が行っており、支援の輪の広がりに手応えを感じています。イオンさんの被災地支援についてご紹介いただけますか?

紗栄子さんの被災地支援の様子

忌部:先ほどご紹介した基本理念をもとに、私たちは地域の命と暮らしに寄り添ってまいりました。東日本大震災を例にあげますと、震災直後に一部の店舗が一時避難所となり、まずは地域住民や従業員の安全確保につとめました。店頭販売や仮設店舗での販売など被災地の早期営業再開を最優先し、地域のライフラインとして機能しました。

紗栄子:多くの被災者が不安を抱えて避難生活を送っていらっしゃる中、見慣れたイオンが営業したことで多くの方が安心したと想像します。

忌部:復興と自立創生支援としては「にぎわい東北」をスローガンに、全国各地の応援の声を届けるべく緊急支援募金や特産品フェアを実施しました。また、全住民が避難を余儀なくされた福島県・広野町や浪江町に新たに店舗を開設し、雇用創出と生活支援による地域産業の活性化にも取り組みました。

さらに「心をつなぐプロジェクト」と題し、被災地での植樹活動やボランティア派遣、交流型の支援活動を行うなど、グループを横断した支援活動を行っています。

紗栄子:特に「にぎわい東北フェア」を 実施し、生産者とお客様をつなぐ役割を担っていらっしゃる部分に共感しました。私も 石川県の特産品をSNSなどで紹介するなど、生産者支援活動に力を入れてきたので、共通する想いがあるように感じます。

忌部:今年元日の能登半島地震では、これまでの経験や訓練を生かし、発災直後に店舗に避難されたお客様の安全確保に注力し、防寒具の提供なども行いました。過去震災で生活必需品不足の経験を活かし、水・食料品・簡易トイレ・ポリタンクなどの早期手配と販売を実施。

石川県、新潟県、珠洲市、輪島市、穴水町などからの要請により、緊急性の高い支援物資約137万点・総額2億円相当の支援を行いました。また、移動販売車による買い物が困難な地域の支援を行いました。

能登半島地震の際のイオンの移動販売

紗栄子:地域に寄り添ったきめ細やかな支援活動が印象的ですね。小さいお子さんや女性、高齢者など、誰一人取りこぼさず支援したい想いは私も同じです。移動販売車の導入は、被災地での買い物難民を救うために素晴らしい取り組みだと思いました。

地域や人を思う気持ちが防災意識の高まりに

紗栄子:これまでの取り組みから、災害時の対応力の高さが伺えます。こうした支援活動の実行力はどのように確立されているのでしょうか?

忌部:イオングループ全体で総力を挙げて対応することを基本としています。過去の経験から、有事にはより早い対応をすることがお客様の安全安心に直結すると学びました。私どもの強みの一つは多様な業態・事業があり、さまざまなニーズに対応できる柔軟性があること。各事業会社が地域のニーズを汲み取りながら協力し合い、迅速に対応する体制を整えています。

紗栄子:緊急時以外でも、防災・減災活動にも力を入れているとお伺いしました。

忌部:イオングループは東日本大震災以降、BCP(事業継続計画)に基づき、被災地域を含む全国各地で防災対策を実施してきました。災害時対応や防災・減災の知見を集約する専門部署を設置し、外部連携、施設・商品・物流の強化、情報設備の構築とともに、防災訓練等にも力を入れてきました。

設備的な部分では、 防災機能を強化した新店舗を福島県いわき市小名浜にオープンし、避難所として機能するため津波を想定した構造・電源配置としました。また、各自治体と包括連携協定や防災協定を結び、地域との連携体制を整えており、その数は1,100を超えています。

紗栄子:ものすごい数ですね!

忌部:自治体によって抱えている問題も違いますし、支援のポイントも違います。対話しながら弊社としてできることを都度検討しています。

紗栄子:被災地支援といっても、実際には各地でレギュレーションが違ったり課題点も違いますよね。それぞれに対応していくのは私も毎回苦労しています。

忌部:地域の皆さまと防災・減災を学んで意識を高めるため、全国で防災訓練・防災イベントを実施。訓練を通じて従業員への意識づけはもちろん、地域や各企業と連携しながら「地域の防災拠点となるショッピングモール」を目指しています。

イオンモール幕張新都心での防災訓練の様子

紗栄子:こうした防災啓蒙活動は、全国各地に拠点のあるイオンさんだからこそできる取り組みだと思います。私たちも被災された人のお話から着想を得て、予防支援に重きを置いた活動をしており、携帯できる簡易防災セットや家に置きたくなる防災リュックを提案しています。今まで防災アイテムに興味のなかった人も、防災を意識する入口になればいいなという想いで作りました。

提供:一般社団法人 Think The DAY
提供:一般社団法人 Think The DAY

忌部:防災の大切さを伝えたい想いは、被災地支援を多く経験したからこそ説得力がありますね。

紗栄子:災害が多い国にも関わらず、防災意識はなかなか高まらないことにもどかしさを感じています。防災は一人一人の意識と行動が大切です。何から始めていいかわからない人は、まずは自分の備えをしっかり行った上で、周りの大切な人に防災の大切さを伝えるところからスタートするのがいいかもしれません。

ギフトとして防災アイテムを送る人も増えています。私も折に触れて防災の大切さも発信するようにしていますが、これからもThink The DAYを通じて、引き続き災害支援活動、そして防災啓蒙活動に取り組んでいきたいと思います。

防災アイテムを開発・販売しているという紗栄子さん

忌部:本日の紗栄子さんのお話から、改めて被災地支援の大切さと防災への備えの大切さを再認識しました。私どもと同様、さまざまな苦難を乗り越えながら支援活動を行っておられる紗栄子さんに共感しますし、今後何か一緒に取り組んで行けたらいいですね。

イオンは今後も、地域のニーズに応じた支援活動を展開し、使命を果たしていきます。今日はありがとうございました。

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