活動火山対策特別措置法は2度改正!法律を理解し、備えと正しい行動を

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ライターの永野です!

7月20日は、小学校と幼稚園の終業式。幼稚園児は夏休みに向けたありがたいお話を聞き、「楽しい夏休みにしてね」と先生に笑顔で見送っていただきました。小学生は通知表という一大イベントがありますが、1年生の頃と比べて成績が上がっていたようなので、保護者としても安心。我が家は成績が下がるとSwitchを没収されるので、息子も必死です(笑)。

というわけで、40日間の地獄の夏休みがスタートしました。7時には猛暑なので、「できるだけ早起きして外で遊ぼう」ということになりましたが、(私が)起きられるのか…。たくさんの宿題をこなしながら、来月末のピアノの発表会に向けての練習もして、合間に友達と遊んだり出かけたりと、なんだか忙しい1ヵ月になりそうです。

もちろん、学童や幼稚園の預かり保育を利用するという選択肢もありましたが、毎朝お弁当を作るのも、夕方から宿題を見るのも大変だという理由で、子どもたちは自宅で見ることにしました。「自分が仕事の時間をずらせばいい」というのが在宅ワークのありがたい点ですが、そういうわけにもいかない多くの働くママたちには、頭の下がる思いです。

とはいえ、年の近い同性の兄弟は仲よくしていると思った次の瞬間には小競り合いが始まるので、家にいる時間が長くなればなるほど、私の怒りのボルテージも上がっていきます。大爆発しないよう、穏やかに過ごすのが、永野のこの夏の目標でもあります。

というわけで(?)、「火山のように噴火しない」という無理矢理なこじつけで選択した今回のテーマは「活動火山対策特別措置法」。2度の改正が行われている法律に定められているのは、どのような内容でしょうか。周辺地域の方や活動火山への登山者が意識したい防災とともに、ご紹介します。

目次

活動火山対策特別措置法とは

活動火山対策特別措置法は、火山噴火が起こった際に避難する施設や防災営農施設などの整備、火山灰の除去などについて定めた法律です。「活火山法」と略されることもあります。

法律の概要

活動火山対策特別措置法は、火山噴火などにより著しい被害を受ける地域での避難施設緊急整備、降灰除去、火山現象の研究観測体制の整備などについて規定した法律です。第一章から第五章まで、全三十一条が定められており、法律の目的や基本的な指針、整備や措置などに関する詳細な内容が記されています。

この法律は昭和47年の鹿児島県・桜島南岳の噴火による被害を契機に、昭和48年に制定されました。三十一条まですべての内容を記載するのは難しいので、詳しい内容を知りたい方は「e-GOV法令検索」をご参照ください。

平成27年の改正について

昭和48年、制定当初は「火山活動周辺地域における避難施設等の整備等に関する法律」と名付けられていた、活動火山対策特別措置法。その後、御嶽山噴火の教訓などを踏まえ、平成27年に法律が一部改正されています。

新たに、登山者が迅速に避難できるよう必要な手段を講じるよう努める規定が定められたほか、火山周辺の一部施設では、避難確保計画の作成等が義務づけられるようになりました。。

令和5年の改正について

この記事を執筆している令和5年にも、火山対策特別措置法の一部を改正する内容が発表されています。新たな改正は富士山の噴火や桜島での大規模噴火の可能性を踏まえて行われました。改正内容には以下のものがあります。

・避難所確保計画作成等に係る市町村長等による援助等(追加)
・登山の期日、経路等の情報の提供を容易にするための配慮等(追加)
・迅速かつ適格な情報の伝達等(追加)
・火山現象に関し専門的な知識又は技術を有する人材の育成及び継続的な確保等(追加)
・火山調査研究推進本部の設置(新規)
・火山防災の日制定(新規) など。

既存の法律に追加される内容がメインですが、新たに定められる法律もあります。尚、改正後の法律は令和6年4月1日から施行される予定です。

火山災害警戒地域には49火山が指定

火山噴火が起こると、周辺地域にはさまざまな被害が及びます。被害を最小限に抑えるために、特に警戒避難態勢を整備するべき地域を「火山災害警戒地域」といいます。

活動火山対策特別措置法第3条とは

火山災害警戒地域は、火山対策特別措置法第3条に基づいて内閣総理大臣が指定する地域です。第3条によると、「火山の爆発による人的災害を防止するために警戒避難体制を特に整備すべき地域」がその対象で、火山災害警戒地域に指定する場合、内閣総理大臣はあらかじめ中央防災議会や関係都道府県知事の意見を聞く必要があります。

指定火山一覧

令和3年5月31日現在、100以上の活火山のなかで上記の法律に基づき内閣総理大臣が「火山災害警戒地域」に指定したのは、49の火山です。一覧で確認しましょう。

山名都道府県市町村
アトサヌプリ北海道清里町・弟子屈町
雌阿寒岳釧路市・足寄町・白糠町
大雪山上川町・東川町・美瑛町
十勝岳富良野市・美瑛町・上富良野町・中富良野町・南富良野町・新得町
樽前山苫小牧市・千歳市・白老町
倶多楽登別市・白老町
有珠山伊達市・壮瞥町・洞爺湖町
北海道駒ヶ岳七飯町・鹿部町・森町
恵山函館市
岩木山青森県弘前市・鰺ヶ沢町・西目屋村・藤崎町・板柳町・鶴田町
八甲田山青森市・十和田市
十和田青森市・弘前市・八戸市・黒石市・五所川原市・十和田市・つがる市・平川市・藤崎町・大鰐町・田舎館村・板柳町・鶴田町・中泊町・七戸町・六戸町・おいらせ町・三戸町・五戸町・田子町・南部町・新郷村
岩手県二戸市・八幡平市
秋田県能代市・大館市・鹿角市・北秋田市・小坂町・藤里町
秋田焼山鹿角市・仙北市
岩手山岩手県盛岡市・八幡平市・滝沢市・雫石町
秋田駒ヶ岳雫石町
秋田県仙北市
鳥海山由利本荘市・にかほ市
山形県酒田市・遊佐町
栗駒山岩手県一関市
宮城県栗原市
秋田県横手市・湯沢市・羽後町・東成瀬村
蔵王山宮城県蔵王町・七ヶ宿町・川崎町
山形県山形市・上山市
吾妻山山形県米沢市
福島県福島市・猪苗代町
安達太良山福島市・郡山市・二本松市・本宮市・大玉村・猪苗代町
磐梯山会津若松市・喜多方市・北塩原村・磐梯町・猪苗代町・会津坂下町・湯川村
那須岳下郷町・西郷村
栃木県那須塩原市・那須町
日光白根山日光市
群馬県沼田市・片品村
草津白根山中之条町・長野原町・嬬恋村・草津町
長野県高山村
浅間山群馬県長野原町・嬬恋村
長野県小諸市・佐久市・軽井沢町・御代田町
新潟焼山新潟県糸魚川市・妙高市
長野県小谷村
弥陀ヶ原富山県富山市・上市町・立山町
焼岳長野県松本市
岐阜県高山市
乗鞍岳長野県松本市
岐阜県高山市
御嶽山長野県上松町・王滝村・木曽町
岐阜県高山市・下呂市
白山石川県白山市
岐阜県白川村
富士山神奈川県相模原市・小田原市・南足柄市・大井町・松田町・山北町・開成町
山梨県富士吉田市・都留市・大月市・上野原市・身延町・西桂町・忍野村・山中湖村・鳴沢村・富士河口湖町
静岡県静岡市・沼津市・三島市・富士宮市・富士市・御殿場市・裾野市・清水町・長泉町・小山町
箱根山神奈川県箱根町
伊豆東部火山群静岡県熱海市・伊東市・伊豆市
伊豆大島東京都大島町
新島利島村・新島村・神津島村
神津島新島村・神津島村
三宅島三宅村
八丈島八丈町
青ヶ島青ヶ島村
鶴見岳・伽藍岳大分県別府市・宇佐市・由布市・日出町
九重山竹田市・由布市・九重町
阿蘇山熊本県阿蘇市・高森町・南阿蘇村
雲仙岳長崎県島原市・雲仙市・南島原市
霧島山宮崎県都城市・小林市・えびの市・高原町
鹿児島県霧島市・湧水町
桜島鹿児島市・垂水市
薩摩硫黄島三島村
口永良部島屋久島町
諏訪之瀬島十島村

活動火山周辺地域の防災

活火山、特に火山災害警戒地域に指定されているところに住んでいる方は、日頃から噴火を想定した備えを意識する必要があります。ここからは日頃の災害対策、もしものときの行動について解説します。

火山噴火による想定被害

火山噴火が起こると、噴石や降灰、溶岩流、火山ガス、火砕流、火山泥流などで、周辺地域に甚大な被害が及ぶ可能性があります。それぞれどういった現象なのかは、過去に公開した記事で詳しく説明していますので、こちらも参考にしてください。

火山噴火への備え

知識の備えとしては、近くの活火山の噴火予測などを日常的にチェックすること、噴火が起こった場合の避難経路や避難先、行動について確認しておくことが求められます。自宅内での長期間の待機も想定し、最低3日、できれば1週間分の備蓄食料があると安心です。

家族と一緒に住んでいる方は、家族全員分の非常用グッズを用意するとともに、情報の共有も行っておきましょう。

火山噴火が起こった場合の行動

噴火が起こったら、できるだけ迅速に建物のなかに避難してください。避難時は火山灰や噴石から身を守るために、マスクやゴーグル、ヘルメットを着用します。

情報収集もこまめに行いながら、自宅に留まるべきか、避難するべきかを判断しましょう。また、状況が落ち着いてくると火山灰の処理などの作業も必要です。地域の方と協力し、安全に配慮しながら作業を行ってください。

活動火山への登山はしっかりと対策を

登山が趣味という方は、登る山が活火山かどうかを事前に必ず確認しましょう。活火山の場合は、事前の手続きや登山のための装備を整える必要があります。

情報収集と手続き

活火山に登る場合は、噴火警戒レベルや火山防災マップをチェックします。登山者向けの情報は、気象庁も提供しています。

登山届制度が導入されている場合は、登山届(登山計画書)の提出も忘れてはいけません。登山計画書があれば、噴火が起こった場合はもちろん、下山予定時刻を大幅に過ぎた場合にも、家族などに連絡が入ります。

必要な装備

活火山に登る際は、通常の登山の装備に加えて、火山防災マップやゴーグル、ヘルメットなども忘れずに持っていきましょう。登山には予備電源やヘッドライト、雨具、タオル、非常食、コンパスなども欠かせません。荷物が多すぎるのも登山の際に不便ですが、いざというときに必要なものがないのは危険です。忘れ物のないよう、早めに準備をして登山に備えてください。

登山中の注意点

噴火予報がなかったからといって、登山中に油断するのはよくありません。登山中も、気象庁などの情報は頻繁にチェックし、状況に応じて避難をしてください。避難場所は火山防災マップに記されていることが多いので、事前に確認しておくとよいでしょう。また、噴気孔や噴気地帯を見かけても、絶対に近づいてはいけません。安全な経路で登山をするのも、身を守るための大切な行動です。

活動火山対策特別措置法について知り、防災に生かそう

火山噴火は頻繁に起こるものではないと思っている方もいるかもしれませんが、2017年から2019年にかけて、国内で5回の噴火が起こっています。また、1度噴火が起こると、周辺地域に甚大な被害が及ぶため大変危険です。

活動火山対策特別措置法は、そんな火山噴火の際に周辺地域の安全を確保するための重要な法律です。来年には改正された法律が施行されることも決定しており、よりよい内容になることが期待されます。詳しい内容も確認し、噴火に対する防災に生かしていけるとよいのではないでしょうか。

編集後記

インドアな私は当然登山とは無縁ですが、こうした記事を書いていると、より「山コワイ」「海コワイ」「川コワイ」という気持ちになります。とはいえ、「飛行機に気をつけろと占いでいわれたから引きこもっていたら、自宅に飛行機が墜落した」という都市伝説的な話もあるので、「絶対的に安全な場所」などどこにも存在しないのかなとも思います。

アクティブな人を見ると羨ましく思いますが、残り数十年の人生のなかでも、本格的に山に登ることはないでしょう。しかし息子たちが成長して私が「危険」だと思う場所やアクティビティを好んでも止めることはしたくないので、少しでも安全に楽しむための助言ができるよう、たくさんの知識を備えておきたいなと思う次第です。

参考サイト

活動火山対策特別措置法の一部を改正する法律案(平成27年)
活動火山対策特別置法の一部を改正する法律の概要(令和5年)
・Wikipedia:火山対策特別措置法
・内閣府:火山への登山のそなえ

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

大学・大学院にて日本語学を専攻。日本語教師を経て2018年よりライターに転身。子どもと学べる防災に関心を持ち、日々災害や備えについて勉強中。
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