津波フラッグ|海水浴中に津波がきたらどうする?避難をしらせる赤白の旗

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災害用語を解説する今回のテーマは「津波フラッグ」です。

この旗の意味を知らないと、津波から逃げおくれてしまう危険性があります

一方、津波フラッグをとりいれている海水浴場は「全体の半分」というデータが、先月(2023年5月)気象庁から示されました。

本記事では、津波フラッグとはどんなものか?を解説したのち、導入している市町村数(都道府県別)や、海水浴場のちかくにある避難場所を“スマホでチェックできるツール”もご紹介します。

津波フラッグの意味を知って、夏のレジャーをたのしみましょう。

目次

津波フラグとは

さっそく津波フラッグとはなにか、どのようなときにつかわれるのか解説します。

“赤白”の格子模様の旗で、津波の発生を知らせる

出典:気象庁「津波フラッグ」

津波フラッグは海水浴場において津波発生を知らせるツールで、2020年6月から導入されています。

津波フラッグが振られるのは「津波注意報、津波警報、大津波警報(以下、津波警報等)」が発表されたときです。いずれの発表でもすべておなじ旗でおこないます。

ただし、旗を振る人の安全確保が前提のため、津波の襲来まで時間がないときには避難フラッグが活用されないこともあります。

この点にくわえ、遊泳者が旗にきづきやすくなるよう、津波避難タワーなど高い建物から旗をふる、旗をぶら下げることがのぞましいとされています。 

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海外共通「海からの避難」を伝えるデザイン

津波フラッグのデザインは「赤白の格子模様」と決められています

旗の大きさに指定はありませんが、遠くからでも認識できるためには短辺100㎝がのぞましいとされています。

このデザインは、船舶の通信において「貴船の進路に危険あり」を意味する旗(=U旗:国際信号旗)とおなじであり、海外では「海からの避難」をつたえるものとして住民に周知されているのです。

※国際信号ではU旗と他の旗との組み合わせで、別の意味になることもあります。

かつて「オレンジフラッグ」があった

実は、この津波フラッグが導入されるまえから、海水浴場において旗をつかった避難誘導の試みはおこなわれていました。それが「オレンジフラッグ」です。

東日本大震災(2011年3月11日)発生時、神奈川県鎌倉市の材木座海岸において、ウインドサーフィンショップの経営者がレース用の旗を振って津波の発生を知らせたのです。

その後、鎌倉マリンスポーツ連盟がオレンジ色がもっとも視認性が高いとして、同年3月下旬に採用することを決定したのです。

旗で知らせるときは津波フラッグと決められている

オレンジフラッグは鎌倉市のほか同市と交流のある宮城県七ヶ浜町など、全国各地の海水浴場における避難訓練でつかわれてきました。

しかし、2020年6月津波フラッグ導入にともなって気象庁が発表したガイドラインでは、旗をつかって避難警報等を知らせるときは避難フラッグを用いるとされたのです。

津波フラッグについて書かれたガイドラインより

津波フラッグによる津波警報等の伝達は、気象業務法(以下「法」という。) に定められる「形象」及び「色彩」による伝達に位置づけられる。
法は、津波フラッグによる伝達を義務付けてはいないが、旗により津波警報等を伝達する場合は津波フラッグを用いる必要がある

出典:気象庁「津波フラッグ」による津波警報等の伝達に関するガイドライン 令和2年6月:3頁 
※太字は筆者加筆

なお、それまでオレンジフラッグをつかっていた自治体には1年間の猶予があたえられ、2021年6月まではつかうことができました。

泳いでいるとサイレンの音も聞こえにくくなる

東日本大震災では、聴覚に不自由のある人の死亡率がそうでない人の約2倍となり、その一因には防災無線のアナウンスが聞こえなかったことがあげられています。

これは、海水浴場であってもおなじであり、また聴覚に不自由がない人であっても波や風の音でサイレンが聞こえにくいことがあるものです。

この点を改善するのが津波フラッグであり、それは音による合図から「危険を見える化」したものといえるでしょう。

津波フラッグはまだまだ知られていない?!

しかし、テレ朝newsがつたえた(2023年5月1日)ところによると、海水浴場がある全国407市町村のうち津波フラッグをとりいれているのは210ヶ所だとされています(参考:テレ朝news「情報伝える「津波フラッグ」制定3年でも導入半数」)。

導入している海水浴場は全体の半分(都道府県データ)

この点を気象庁のホームページで確認してみましょう。

津波フラッグ導入市町村数 

出典:気象庁|津波フラッグ「津波フラッグ導入市町村数(都道府県別)」

これは、気象庁が2023年1月31日に調べた状況で、先の津波フラッグを導入している210市町村の都道府県別データでもあります。※海水浴場がない都道府県およびすべての海水浴場で津波フラッグは導入していない都道府県については、数値がかかれていません。

導入から3年が経っているなか、まだまだ津波フラッグは普及していないと言わざるを得ないでしょう。

自治体ホームページで住民におしらせ(神奈川県藤沢市)

神奈川県藤沢市のホームページでは、万が一のときに津波フラッグを掲げる海水浴場ならびに協力施設がおしらせされています(参考:藤沢市「津波フラッグについて」)。

藤沢市ではかつて「オレンジフラッグ」を導入していましたが、市民への周知期間を1年間もうけたのち、津波フラッグを採用しています。

いつおこるかわからない地震(津波)だからこそ、そのリスクにしっかり備えてあることが周知されるのは、私たちが安心してレジャーを楽しむことにもつながるでしょう。 

海水浴中に津波がきたらどこに逃げればいい?

海にいるとき津波がくるとわかったら、いち早く高台へ逃げることです。

そうは言っても、レジャーで行く海水浴場のどのあたりに避難場所があるのかわからないことも多いのではないでしょうか。

あらかじめ海水浴場近くの避難場所をチェックしておくことは「1人ひとりにできる津波への備え」でもあります。

そこでここでは、スマホで避難場所がしらべられる2つのツール、YAHOO!JAPAN「避難場所マップ」と国土交通省「ハザードマップポータルサイト」をご紹介します。

いずれも、災害種別および市区町村をえらんでしらべることができます。ぜひ一度チェックしてみましょう。

YAHOO!「避難場所マップ」

YAHOO!JAPAN「避難場所マップ」では、画面上部に「災害の種類」と「市区町村」があります。

出典:YAHOO!JAPAN「避難場所マップ」

ためしに、じゃらん「全国のビーチ・海水浴場ランキング2023」でトップ1となった水晶浜海水浴場(福井県三方群美浜町)の避難場所を検索してみました。

すると、地図上に避難場所がひとめでわかるように示されています(緑色のマークが避難場所)。

出典:YAHOO!JAPAN「避難場所マップ」福井県三方群美浜町付近の避難場所

万が一のときには各海水浴場で避難誘導がなされるとおもいますが、自分であらかじめ避難場所を知っておくことでより安心できるのではないでしょうか。

国土交通省「ハザードマップポータルサイト」市町村の防災情報

国土交通省「ハザードマップポータルサイト」では、「わがまちハザードマップ」と「重ねるハザードマップ」にわかれており、市町村の防災情報サイトが簡単にチェックできます。

出典:国土交通省「ハザードマップポータルサイト」

市区町村によっては防災お役立ち情報も載っているので、まずはお住まいの場所について調べてみるのもよいですね。

まとめ

出典:公益財団法人 日本ライフセービング協「津波フラッグとは」

海水浴場において津波発生をしらせるのが「津波フラッグ」です。

海水浴は人気のレジャーですが、自然災害をもたらす可能性のある場所であることも事実です。

わたしたちにできることは、あらかじめ避難場所をチェックすること、そして、もしも海で「赤白の旗」が振られているのを見たら、いそいで海からあがり高台に避難しましょう。

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【参考文献】
*気象庁|津波フラッグ
*海上保安庁「国際信号旗とモールス信号」
*気象庁「オレンジフラッグの推進 – 神奈川県の取組み – 令和元年10月29日」神奈川県 
*THE SURF NEWS「津波フラッグ「赤白の格子」デザインへ全国統一」
*テレ朝news「情報伝える「津波フラッグ」 制定3年でも導入半数」
*河北新報オンライン|<311むすび塾>オレンジ旗 普及目指す/第77回ワークショップ@宮城・七ヶ浜笹山地区 

(以上)

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

東北出身&在住フリーライター。
広告代理店・NPO・行政で勤務後、在宅ワーカーに転身。
妊娠中に東日本大震災に遭い、津波から避難・仮設住宅で子育てをする。
本サイトでは「命を守るために知っておきたいこと」「日常に潜むリスクへの備え」などについて発信します。
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