ライターの永野です!
私が好きなアニメの1つに「炎炎ノ消防隊」という作品があります。内容を知らない方は「消防隊」という名前から「火災現場で奮闘する消防士たちの、感動ストーリー」だと思うことも多いようですが…。
実際は「人体発火現象が起こるようになった世界で、発火してしまった人を処理しつつ、その人の魂を鎮魂する」という特殊消防隊の話です。
余談も余談ですが、アニメ1期の冒頭で、毎回主人公が所属する消防隊の大隊長により「人の死因にも色々ある、 老衰、自殺、病死、今この世界で最も多く人々を恐怖させている死因は…焼死だ。」という語りが入るんですね。これが「ONE PIECE」でゾロの声も務めている、中井和哉さんの声でして…。控えめにいって非常にかっこいいです(笑)。
ストーリーも登場人物も魅力的で私は大好きなのですが、アニメ3期を放送するとかしないとか。原作は完結しているし、何度も「制作決定!」のニュースはあったのに、続報が入ってくる気配もなく、もどかしい日々を送っています。
「炎」が作品のメインテーマですが、「大災害」というワードも出てきます。内容的には防災とはほぼ関係ありませんが、今回のテーマが「地震火災」だったので、ご紹介させていただきました(笑)。
というわけで本題へいきましょう。
地震で命が助かっても、その後発生する火災に巻き込まれるということは少なくないようです。原因や対策、もし地震火災が発生したらどのように行動すればよいのかなどを、確認していきましょう。
地震で火災発生!大きな原因は「電気」だった
地震による二次災害は深刻で、東日本大震災では大きな津波が大勢の方の命を奪いました。また、東京ディズニーランドのある千葉県浦安市付近では、地面の液状化なども報告されています。
間もなく発災から100年を迎える関東大震災では、土曜日の昼食時だったこともあり、多くの家屋から出火。地震のあとの火災で、東京や横浜は火の海に包まれました。
100年経つと、さまざまな事情が変わります。現代において地震で火災が発生する原因は何なのでしょうか。
地震による過去の火災発生件数
1923年9月、東京を中心に関東地方を大きな地震が襲いました。倒壊した多くの家屋から火の手が上がり、その数は東京市内15区で記録に残っているだけでも136件あったといいます。
最終的な被害報告では、全焼した建物が44万戸、東京全体の焼損棟数22万を超え、焼損面積は1,785万平方メートルでした。広大すぎて想像がつきにくいですが、1,785平方メートルは、東京ドーム381個分にもなるようです。
長い年月が経過し、1995年の阪神・淡路大震災では地震により293件、2011年の東日本大震災では330件の火災が発生しました。
地震火災の大きな原因は「電気」
「地震による火災」というと、大きな揺れで家屋の倒壊や家具の転倒が起こることで、可燃物が暖房器具やガスコンロなどに接触することが原因だと思われがちです。もちろん、こうした原因で火災が発生する事例も少なくありませんが、昨今の地震火災の大きな原因は「電気」だといいます。
揺れによる被害で電気配線が破損して放電し火災が起こったり、停電から復旧した際に電化製品に通電し、火災につながったりするケースもあるようです。
最近のガスコンロやストーブなどは、揺れを感知すると火が消えるように作られているものも多くあります。もちろんガス関連のものが原因となる火災への対策も欠かせませんが、電気製品が火災を引き起こすとは思っていないという方もいるかもしれません。
大きな揺れのあとの二次災害で大けがをしたり命を落としたりすることのないよう、日頃から知識を蓄え、対策をする必要があります。
地震での火災減少のためにできること
地震のあとに火災が起こらないようにするには、日頃からの意識や努力も欠かせません。事前にできる対策を実行し、地震直後にどう行動するかを知っておくと、地震火災減少に努められるでしょう。
事前にできる対策
地震火災は大きな地震に伴い起こるケースが多い傾向にあるため、過去の発災を踏まえ、多くの注意喚起がされています。事前にできる対策は地震火災はもちろん、大きな揺れのなかでも命を守るために役立つので、ぜひ実践してみてください。
・住居の耐震性に問題がないか確認する
・家具を固定し、転倒防止対策をする
・マイコンメーターを設置し、大きな揺れの際にガスを遮断する対策をする
・ろうそくや蚊取り線香などの使用は、必要最小限に留める
・感震ブレーカーを設置する
・消火器を設置し、使い方も事前に確認しておく
・ストーブなどの周辺はきれいにしておく
・住宅用火災警報器を設置する
地震直後に取るべき行動
地震が起こったあとも、地震火災が起こらないような行動を取る必要があります。事前にどういった動きをすればよいか把握しておけば、緊急時も落ち着いて行動できるのではないでしょうか。
・電気機器のスイッチを切り、電源プラグをコンセントから抜く
・避難する際は、ブレーカーを落とす
・石油ストーブなどがある場合は、油漏れがないか確認する
ライフライン復旧後も注意!
電気やガス、水道などのライフラインが遮断されてしまうと不便なため、復旧後はすぐにでも使用したいと思う方も少なくありません。しかし、ライフライン復旧後に電気やガスを使用する場合も、注意したいポイントがあります。
・電化製品やガス機器などを使用する前には、破損がないか確認する
・通電後には煙や異臭などの異変がないかしばらく注意して見守る
・万一のことを想定し、近くに可燃物を置かないようにする
地域を考慮した行動も検討しよう
地震火災が起こった場合、被害は自宅だけに留まらない可能性があります。近隣の住居も火災に巻き込んでしまうことがあるかもしれませんし、反対に自宅から出火しなくても近所で起こった火災に巻き込まれることも。
大きな地震が起こった場合に、それに伴い発生した火災が地域にどのような影響を及ぼすのかを把握しておくと、地域全体の被害も最小限に抑えられるのではないでしょうか。
消防団やボランティアなどによる自主防災組織が存在する、防災訓練を実施しているという地域は増えています。こうした組織や訓練に積極的に参加すれば、災害時の行動の知識を深め、いざというときに自分自身はもちろん、地域のために行動することが可能です。
訓練などは地域の方同士の交流の場にもなります。お互いに顔を知り、普段から親交を深めていれば、災害時の救助や避難の際にも役立つので、訓練と同時に周辺地域の方との交流も積極的に実施していきましょう。
地震で火災が起こった場合の行動
日常的にどれだけ注意していても、大きな災害の際には予期せぬ事態になることもあります。地震火災が起こってしまった場合には、私たちはどのような行動を取ればよいのでしょうか。
周囲に火災発生を知らせる
地震発生後に何らかの原因で火の手が上がってしまったら、まずは周囲にその事実をできるだけ早く知らせましょう。大きな声で「火事です!」と知らせると同時に、119番への通報も必ず行ってください。
119番では「火事が発生したこと」「出火場所はどこか」「現場の様子」「通報者の氏名」などを伝えます。重要な情報を正確に伝達しないと出動が遅れる可能性もあるので、慌てないように落ち着いて通報しましょう。
可能なら「初期消火」を
周囲に火事の事実を伝えたら、状況によっては初期消火を行いましょう。家庭用消火器やバケツと水などを使いできるだけ早く消火し、火災の被害が広範囲に及ばないように努めます。
自分だけ・家族だけでの消火が難しい場合は、地域の方に協力を求め、消火活動に参加してもらうことも重要です。完全に消化できなくても、火の手が大きくならないようにすることで、被害を最小限に留められます。
消化困難な場合は避難が優先!
消火活動を続けても火が消せない、炎が大きくなっていると感じる場合は、無理に消そうとせず安全な場所に避難しましょう。炎が小さくても、燃えている場所の近くにプロパンガスのボンベがあるなど危険を感じる場合には、早めに離れることが大切です。
いざその場を離れるとなると、「もし大事なものがすべて燃えてしまったら」と不安になり、服装や持ち物を見直したいと思うかもしれません。しかし火災現場の近くに長時間留まるのは危険です。服装や持ち物などにはこだわらず、命を最優先に避難しましょう。
また、一度避難したら消火活動が完了し、安全を保証されるまでは戻らないことも、忘れないようにしてください。
地震火災の際の避難ポイント
地震火災が室内や同じ建物のなかで起こり、外に避難しなければならない場合もあります。最後に、安全かつ迅速に避難するために注意したい4つのポイントを確認しましょう。
①煙を吸わないような対策を取る
火災で発生する煙は高温で、一酸化炭素が含まれています。一酸化炭素は有毒で、吸い込むと意識がもうろうとする、呼吸ができなくなるといった症状を引き起こすため危険です。また高温の煙を吸い込めば、気管や肺などを損傷する可能性もあります。
煙は上にのぼる性質があるので、避難時はできるだけ低い姿勢で避難すること、またハンカチやタオル、服の袖などで鼻や口を覆い、煙を直接吸い込まないようにすることを意識しましょう。
②避難を始めたら戻ってはいけない
前項でも説明した通り、火災が起こっている現場に戻ることは危険です。避難を始めたら、絶対に元の場所には戻らないようにしましょう。
何も持たずに避難して、財布やスマートフォン、預金通帳など大切なものが燃えてしまうという不安に駆られることもあるかもしれませんが、命が最優先です。こうした事態にも必要最低限のものを持って避難できるよう、大切なものを防災グッズと一緒にまとめて保管しておくことも、日頃から意識しましょう。
③エレベーターは絶対に使用しない
建物の高層階にいる方は、エレベーターで避難したほうが早いと感じるかもしれませんが、地震火災のときにエレベーターで避難するのは絶対にNGです。緊急時にエレベーターを使用するとなかに閉じ込められてしまう、高所から落下するなどの可能性があります。
最近のエレベーターは非常時に使えない状態になるものも多く、そもそも乗り込むことができませんが、もし使えそうでも必ず非常階段などを使用してください。
④余震にも注意し建物外へ避難する
地震火災は大きな地震が引き金となっているため、余震の恐れもあります。火災の被害を受けないよう建物外へ避難することが求められますが、避難時は余震にも注意しながら行動しましょう。
高層階にいる方は、建物外が最終目的地ですが、難しい場合もできるだけ下の階まで避難してください。
避難できない場合はどうする?
避難経路が塞がれてしまった場合は、諦めず多少無理をしてでも避難を試みることが求められます。しかし、どうやっても避難が難しいこともあるでしょう。
避難が不可能になったら、自分のいる場所にできるだけ煙が入ってこないよう、ドアの隙間に目張りをします。テープなどがあればベストですが、ない場合は衣類などを使って隙間を埋め、救助を待ちましょう。
ただ救助を待つだけではなく、逃げられない状況に気づいてもらうことも大切です。窓などから救助隊の方、外にいる方に向けて目立つものを振る、大声で逃げられなくなったことを伝えるなどして、早めに助けてもらえるように行動します。
「逃げられない」と思うと、パニック状態から高所から飛び降りる、炎のなかを走って逃げようとするといった行動を取ろうとする方もいるかもしれません。しかし、緊急時こそ落ち着いた判断や行動が求められます。
落ち着いて救助を求められるようにするためにも、日頃から知識を備えることも重要だといえるでしょう。
地震後の火災には要注意!正しい対策と行動で命を守ろう
大きな地震は二次災害を伴うため危険ですが、地震火災は日頃からの対策や地震発生直後の行動で、最小限に留められる可能性があります。万一火災が起こった場合も落ち着いた行動で、自分自身はもちろん1人でも多くの方の命を守れるとよいですね。
編集後記
命に関わるような災害や事故に巻き込まれた経験は、35年ほど生きてきて今のところありません。運がいいというか、当たり前だと思っているけれどありがたいことなんだなぁと、ふと感じることがあります。
どんな災害も恐ろしいですが、火災は地震だけでなく日常生活のなかでも起こる可能性がじゅうぶんにあるものです。日頃から注意してすごさなければと、火災関連の記事を書く度に思います。
子どもたちはまだ火や包丁を使って料理をする年齢ではないし、比較的私の話を理解してくれるのでガスコンロには近づかないしガスストーブに触ることもありませんが…。
いずれは「料理のときの火災」なども心配する日が来るのかと思うと、子育ては子どもがいくつになっても年齢ごとの心配が絶えないし、あっという間にそんな年齢になってしまうんだろうなぁという寂しさも感じます。
さまざまな観点から、当たり前の「今」に感謝してすごさないといけないなぁと、月末に向けて蓄積しつつある疲労で若干センチメンタルな私は思うのでした。
参考サイト
・大阪市「火災における避難方法」
・別海町「地震火災を防ぐ15のポイント」
・北九州市「地震火災を防ぐポイント」
・品川区「地震発生!そのときどうする?」