2023年4月現在では、気象庁が発表する「津波警報の種類」には、3段階が設定されています。
これは、2013年3月7日の改正で、特別警報に該当する「大津波警報」が追加されたことで、3種類になりました。
それまでは、「津波警報(津波)」と「津波警報(大津波)」の2種類に区分されていたのです。
これらの改正があったことを知っている方は、実際にはあまり多くありません。
しかし、南海トラフ巨大地震など、大規模な津波が発生する予測がある以上、津波警報の種類はしっかり把握しておくべきでしょう。
そこで今回は、改めてになりますが「津波警報の種類とその内容」について学んでいきましょう。
最新の津波警報の種類と、とるべき行動!
これは、気象庁が公開している津波注意報・津波警報の種類と、その際のとるべき行動を示したものです。
大津波警報は「特別警報」に相当するため、ただちに命を守る行動をとらなければなりません。
津波注意報でのとるべき行動
予想される津波は0.2m~1mです。海の中にいる人はただちに海から上がって、海岸から離れるようにします。また海岸近くにいる方も、早急に海岸から離れなければなりません。
津波警報でのとるべき行動
予想される津波は1m~3mです。沿岸部や川沿いにいる人は、ただちに高台や避難ビルなど安全な場所へ避難しないといけません。特に注意すべきは、海岸でなく「河川付近にいる人」です。津波は沿岸部だけでなく、川を遡上(そじょう)して河川の上流でも越水をおこすので要注意です。
大津波警報でのとるべき行動
予想される津波は5m~10m以上になります。津波が予想されている地域では、ただちに高台へ避難しなければなりません。大津波警報は特別警報に相当するため、命を守る行動を取る必要があります。
津波警報・注意報と避難のポイント
震源が陸地に近いと津波警報・注意報が津波の襲来に間に合わないことがあります。
強い揺れや弱くても長い揺れを感じたときは、すぐに避難を開始しましょう。
津波の高さを「巨大」と予想する大津波警報が発表された場合は、東日本大震災のような巨大な津波が襲うおそれがあります。
直ちにできる限りの避難をしましょう。
津波は沿岸の地形等の影響により、局所的に予想より高くなる場合があります。
ここなら安心と思わず、より高い場所を目指して避難しましょう。
津波は長い時間くり返し襲ってきます。
津波警報・注意報が解除されるまでは、避難を続けましょう。
マグネチュード8を超える巨大地震の場合
「巨大」との言葉を見たり聞いたりしたら、東日本大震災クラスの津波が襲ってくると思っていいです。ただちに、より高い場所に避難することが重要です!
過去2回のチリ地震における津波の高さと到達時間
出典:内閣府 防災情報のページ
これは、2010 年2月のチリの地震と1960年チリ地震による、津波の主な観測点の観測値と第 1波と最大波の到達時間の差を示した図です。
遠く離れたチリ地震でも、このような津波が観測されています。
南海トラフ巨大地震や首都直下地震が起きれば、大変な事態になることは避けられません。
津波警報は今後も改正される?技術革新にて変わる可能性は大きい
津波警報が改正されて約13年が経過しましたが、今後も警報の基準は変わるのでしょうか?
実際には、津波を観測する研究や技術開発が進んでおり、技術革新が進むなかで変更される可能性は高いでしょう。
しかしこれば、良い方向に改正されるはずなので喜ぶべきと捉えています。
ここでは、現在進行形で進んでいる改善事項を紹介しましょう。
【改善1】津波観測技術の向上
津波の発生原因である地震や、津波自体を正確に観測するための技術が、近年大幅に進歩しています。
たとえば、海底に設置された地震計や津波計が、津波の発生を高精度で検出することができるようになりました。
また、人工衛星による海面の監視技術も進歩し、津波の発生や進路をリアルタイムで観測することが可能となっています。
これらの技術の向上により、津波の発生を早期に検出し、正確な情報を提供することができるようになっています。
【改善2】津波警報の速報化
津波の速報化は、津波発生後の時間と被害の大きさに、大きな影響を与えます。
過去には、津波警報を発令するまでに時間がかかり、被害が拡大してしまうことがありました。
しかし、現在は高精度な観測技術の進歩や情報技術の発展により、より早い警報が可能になってきています。
たとえば、日本では「緊急地震速報」が発表されており、地震発生直後に予想される津波の情報を提供することができます。
これにより、避難行動をより早く開始することができ、被害の最小化につながると期待されています。
【改善3】避難情報の充実
津波警報が発令された場合、住民が迅速かつ正確に避難情報を受け取ることが重要です。しかし、過去には情報伝達の問題が指摘されており、改善が求められています。
現在では、自治体や警察、消防などが避難情報を発信するためのシステムや、SNSやスマートフォンアプリなどを活用した情報発信も進んでいます。
また、津波発生時には避難所の設置や運営も重要ですが、そのために必要な施設や備蓄品の整備がおこなわれています。
これにより、被災者の避難生活の支援がより円滑に実施されるようになってきています。
【改善4】国際協力の強化
津波は海を越えて、大きな被害をもたらすことがあるため、国際的な協力が不可欠となっています。
国際的な津波警報システムである「津波警報・注意報発表システム(TWS)」が設立され、国際的な津波警報の発信や情報共有がおこなわれるようになりました。
また、日本を含む多くの国が、地域ごとに津波警報システムを構築し、相互に情報を共有することで、被害の最小化を目指しています。
まとめ
今回は、津波注意報や津波警報について、改めて学んできました。
津波警報が発令された場合に、住民が正確かつ迅速に情報を受け取ることができるよう、情報伝達の改善が重要課題となっています。
今後も技術や制度の改善が進んでいくことで、津波災害の被害を最小限に抑えることができるよう期待されています。
しかし、最も重要なのは自分が住んでいる地域が津波に襲われるのか、ハザードマップで確認しておくことです。
加えて、平時から津波避難所までの経路を確認しておくことが、大津波警報が発表された際に、命を守るカギとなります。