みなさんは家庭にて、消火器の備えはされていますか?
特に一般家庭では、消防法によって「消火器を備えないといけない!」とはなっていません。
しかも、消火器本体の色は目立つ赤なので、住宅にむかないと思われている方も少なくないでしょう。
それでも「いやいや準備しておなかいと!」と、いわれる方には、火災の種類に合った消火器を選ばないといけません。
そこで今回は、火災の種類と対応する消火器について解説します。
火災の種類は5種類に分かれる!主なのはA・B・C火災
火災の種類には5種類があり、主になるのはA・B・C火災です。
次に一覧でまとめましたので、参考にしてください。
火災種類別一覧表
火災の種類 | 内容 |
---|---|
A火災(普通火災) | 木材、紙、布など普通の可燃物の火災であり、水で消火が可能 |
B火災(油火災) | 石油類や動植物油など半固体油脂を含めた引火性物質の火災で、水では消火困難な火災 |
C火災(電気火災) | 変圧器、配電盤、コンセント、配線、その他電気設備による火災 |
金属火災 | マグネシウム、カルシウム、ナトリウムなどの火災で、工場で多く発生 |
ガス火災 | 都市ガス、プロパンガスによる火災で、工場で多く発生 |
一般住宅ならA・B・C火災がほとんど
先の表で確認すると、一般住宅で起きる火災はA火災(普通火災)と、B火災(油火災)がほとんどでしょう。
漏電などが原因で起きるC火災(電気火災)もありますが、件数は少ない傾向にあります。
寝たばこや灰皿から起きるタバコが原因の火災は、A火災(普通火災)に分類されます。
金属・ガス火災は工場でよく起きる
金属火災やガス火災は、一般住宅で起きるよりも工場で起きることが多くなります。その理由は、特殊な環境でしか使われない物質が原因となるためです。
ガス火災の原因となる都市ガスやプロパンガスは、一般住宅でも利用されていていますがほぼ起きていません。
ガス火災よりも、C火災(電気火災)の方が件数は多くなります。
令和4年の消防白書で確認!たばこ・ストーブのA火災がトップ
このグラフは令和4年の消防白書で報告された、住宅火災の発火別死者数です。
タバコが原因の火災がトップで、次いでストーブになり、これら2つはいずれもA火災(普通火災)に入ります。
少し驚きなのは、3位にC火災(電気火災)が入っていることです。コンロによるB火災(油火災)の、ほぼ倍となる死者数となっているので、住宅内の電気配線などは要注意ということですね。
出火件数を見るとB火災のこんろが多くなる
今度は死者数ではなく、出火件数を見てみましょう。
出火件数もトップは「たばこ」であり、A火災(普通火災)となっています。しかし、こんろが原因となるB火災(油火災)は3位となり、C火災(電気火災)は第5位になっています。
つまり、油火災よりも電気火災の方が死亡率が高いことが分かります。
恐らくですが、B火災(油火災)は発生件数は多いですが、消火できる件数も多いということで、C火災(電気火災)は気づかない内に火災が大きくなり、消火できないと推測されます。
ただ、現実として死亡率はC火災(電気火災)が多いのは確かなので、電気系統を今一度確認してみましょう。
住宅用消化器はA・B・C火災全てに対応している
火災が起きた際に初期消火ができれば、火災で死亡することなく済みます。
初期消火には消火器が有効であり、住宅用消火器を購入しておけば、A・B・Cのすべての火災に対応できるので便利です。
画像のように、ものものしい「いかにも消火器!」ではなく、おしゃれなデザインの消火器も販売されています。
火災種別と薬剤と特性種別の対応表
先の説明では、住宅用消化器はA・B・C火災全てに対応しているとお伝えしていますが、消火器の中身となる薬剤によって火災種別に対応しているかが分かれます。
次の表をみれば分かりますが、A・B・C火災全てに対応できる薬剤は、粉末系と水系の「強化液または中性強化液」の、3種類のみです。
したがって、住宅用の消火器に使用される薬剤は「粉末系」が多くなっています。
まとめ
今回は、火災の種類と対応する消火器について解説しました。令和4年の消防白書を読み解くと、たばこが原因となるA火災(普通火災)は件数も多く死者数も多いです。
しかし、B火災(油火災)とC火災(電気火災)を見ると、火災件数はB火災(油火災)が多いにも関わらず、死亡者数はC火災(電気火災)が多くなっています。
このことから、気づかない間に火災になるのはC火災(電気火災)であることが分かります。
電気は生活になくてはならないものですから、コンセントやケーブルなど、家中の電気設備を再点検した方がよさそうですね。