2023年2月6日にトルコで起きた大地震から、もうすぐ2か月が経とうとしています。
死のデッドラインとされる72時間を超える、地震後100時間を超えての救出や、296時間経過後に救出された「奇跡の生還」が起きて驚いています。
生死を分けたのは、運なのか偶然なのか・・いずれにしても無事に救出されたことは、喜ばしい出来事に違いありません。
今回のトルコ地震では「パンケーキクラッシュ」によって、多くの建物が倒壊したことで、甚大な人的被害が発生しています。
そこで、今回は「パンケーキクラッシュ」に、スポットを当ててみましょう。
パンケーキクラッシュとは?
まずは、パンケーキクラッシュとはどのような状況なのかを、解説しておきましょう。
上階から次々に落ちてパンケーキのような形に潰れる
建物は柱や壁に支えたれて建っており、上階を支えるのも柱や壁です。
これらの支えるモノが破壊されると、どうなるでしょう。もちろん、上階では重力によって天井が床に落ちてきて、この現象が次々に繰り返されます。
上階から順番に落ちて、最終的には地上にてパンケーキのような形に潰れてしまうのです。このような建物倒壊を、パンケーキクラッシュと呼んでいます。
日本ではパンケーキクラッシュは起きない!
では地震大国と呼ばれる日本では、このようなパンケーキクラッシュが起きるのか?と聞かれると、答えはノーです。
日本ではトルコのような「パンケーキクラッシュ」は、起きないのです!
これまでの歴史上、パンケーキクラッシュは起きていない
パンケーキクラッシュが起きる建物はビルであり、近年になってからが対象になってきます。
そこで、1995年(平成7年)1月17日に起きた、阪神淡路大震災を振り返ってみましょう。
この地震では、甚大な被害が発生し多くの方が家具の下敷きや、倒壊した家屋の下敷きによる圧死が原因で亡くなっています。
しかし、次の被災時の建物写真を見る限り、建物が傾いたりはしていますがパンケーキクラッシュにはなっていません。
また、2011年(平成23年)3月11日に発生した、東日本大震災では阪神淡路大震災を超える甚大な被害が発生しています。
しかしながら、その多くは津波による被害でありやはり、パンケーキクラッシュは起きていないのです。
日本の建物、ビルは縦揺れに強い
日本の建物、特にビルは地震に強い、耐震強度と免震力を備えています。
そもそも、重力に逆らった建築方法が成されているため、ビルなどは縦の揺れにはとても強くなっています。
そして最近では、横揺れも免震装置によって軽減されるなど、揺れに関してはさまざまな対策が施されています。
これらのことからも、日本のビルにてパンケーキクラッシュは、起きないとのことが分かります。
2000年(平成12年)6月1日以前の建物は危険は本当か?
ここまでで、日本ではパンケーキクラッシュは起きないとお伝えしました。
しかし、ネット上では「2000年(平成12年)6月1日以前の建物は危険!」との意見も散見されます。
これは一体どういうことなのでしょう?
2000年の改正建築基準法は木造住宅に関する耐震基準
2000年(平成12年)6月1日以前の建物は危険というのは、1995年の阪神淡路大震災を受けての、改正建築基準法を指しています。
この法改正にて新しい建築基準法が定められて、耐震性が強化されたのです。
しかし、この時の改正は木造住宅が対象であり、パンケーキクラッシュが起きる鉄筋コンクリート造りのビルは対象ではありません。
したがって「2000年(平成12年)6月1日以前の建物」であっても、パンケーキクラッシュは起きないのです。
まとめ
今回はトルコ地震で注目された「パンケーキクラッシュ」に、スポットを当ててみました。
その結果、日本ではパンケーキクラッシュは起きないことが分かりました。
それなら安心だと、油断してはいけません。確かにパンケーキクラッシュは起きませんが、激しい横揺れによってビルの内部はシェイクされます。
そして、家具や家電が凶器となって襲い掛かってくるのです。
ビル自体の耐震は大丈夫でも、部屋のなかについては個人の防災努力が必要です。
もっとも簡単なのは、何も落ちてこない、何も飛んでこない「セーフティゾーン」を作っておくことです。
「備えあれば患いなし」昔の人は、現代を見抜いていたのかも知れませんね。