避難所運営ゲームはHUG(ハグ)とも呼ばれていて、Hinanzyo Unei Gameの頭文字を併せて「HUG」となっています。
「なんだ、そのまんまじゃん!」っていわれると思いますが、その通りそのまんまです。ただ、ハグには抱きしめるとの意味があるので「避難者を優しく受け入れる」とのイメージも持ち合わせています。
避難所運営ゲームは恐らく防災の講習会などを受講しないと、体験することのないゲームです。
そこでせめて、どんな内容なのかをイメージしてもらいたくて記事にしてみました。
机上で行う体験型シュミレーションゲーム
避難所運営ゲームは、机上で行う体験型シュミレーションゲームです。
チームを組んで実際に避難所を運営する立場にて、さまざまな課題を想定してクリアするための対処法を考えていきます。
このゲームは、2007年(平成19年)に静岡県が開発したゲームで、現在ではいろんなアレンジが加えられて、全国の防災関連団体で使われています。
ゲームにはアイテムが必要
避難所運営ゲームにはアイテムが必要で、画像にあるように避難者カード、避難所の図面、敷地の図面などの道具が必要です。想定する災害や避難所によって、図面やカードも変わります。
ここではHUGの生みの親でもある、静岡県中部地域局が公開している動画を参考に説明を進めます。
会議用の長机を3つ並べてホワイトボードも必要
図面はA1サイズと大きいので、会議用の長机を3つ並べるのが基本となります。
ホワイトボードは掲示板代わりに使用して、付箋などを貼り付けてゲームの進行状況が分かるようにします。
マジック・付箋・白紙を用意
マジックはゲーム中に図面に書き込む際に使用して、白紙はチーム内の意見交換をする際にメモを取るために使います。
付箋は、ホワイトボードに貼りだす際に使用します。
チームは6~8人程度で編成して行う
ここまででHUGの準備が整いました。次にチーム分けを行いますが、6~8人程度で2グループ以上がベストです。
ゲームの最後にはチームごとに発表するので、複数のグループがあれば振り返にて、自分たちでは気づかなかった点を共有できます。
進行役はチームをほったらかしにしない!
HUGにはチームをほったらしにしないように、進行役が必要です、HUGのスケジュールやゲームの方法、ゲームの条件を参加者に分かりやすく説明しないといけません。
HUGのタイムスケジュールの一例
HUGにはタイムスケジュールが決まっていて、進行役はスケジュールに沿ったアナウンスを行います。ここでは、HUG全体のタイムスケジュールの一例を紹介します。
- HUGの説明 20分
- 自己紹介など 10分
- ゲーム開始 60分
- 発表や質疑応答 20分
- 総評 10分
- 片づけ
ここでは約2時間のスケジュールを説明していますが、内容は自由に調整可能です。
避難者カードには避難者の情報が記載されている
それではゲームを開始します。まずは避難者カードを手に取ると、カードに避難者の情報が記載されています。
- カード番号
- 世帯番号
- 住所
- 自治会の班名
- 苗字
- 年齢
- 被災状況
- 世帯情報
- 本人や家族の持病など
そして、カードの大きさは縦2.0m×横1.5mの大きさとして、避難者が必要とするスペースを表してします。
これは1世帯分のカードで、避難者はひとりだけでなく世帯全員で避難してくることもあります。
体育館の図面で通路を確保する
避難者を受け入れる前に、体育館を避難所として設営する必要があります。
まずは通路の確保を行うために、図面に通路を記入します。
一般的な体育館の広さは20m×30m=600㎡です。避難者ひとり当たりの必要なスペースは2.0m×1.5m=3.0㎡なので、計算上では200名が避難できる状況です。
ただしゲーム上では、通路の面積や脱衣所、授乳室などの確保が必要として、約120人を定員として行います。
避難者カードを読み上げて避難者を受け入れる
ゲームが始まったら、避難者カードが進行役によって読み上げられます。
たとえば、先ほどの突風さん世帯が避難してきた場合、体育館のどの位置に避難させるかを素早く検討します。
進行役は避難者が次々とやってくるように、途切れることなく読み上げます。
各人が避難者カードの内容を読み取って、適切な位置への配置を行わないといけません。
ここは、チーム内のコミュニケーションが重要で、素早く対応しないと遅れてきます。
イベントカードではそのイベントに対応する
避難者カードをそれぞれの状況に応じて配置している途中に、イベントカードが読み上げられます。
イベントカードとは突如として行われるイベントが記入されていて、この例では「受付を作る」ことが求められます。
また、停電した・余震が起きた・犬が入り込んだなど、さまざまなイベントが起きるので、避難者を誘導しながらイベントに対応することとなります。
ホワイトボードには共有情報を貼る
ホワイトボードは実際の避難所における掲示板の代わりなので、避難所で共有すべき情報を付箋に記入して貼りだします。
たとえば、喫煙所の場所・物資の到着時間・仮設トイレの使用開始の有無などを記載することとなります。
校庭の使い方も必要
体育館だけでなく校庭の使い方も重要であり、ペット同伴で避難した方のペットの避難場所や、仮設トイレの設置場所、テント避難したい方のテントスペースなど、あらゆる避難状況を想定した配置をする必要があります。
HUGには正解はない!どんなことを考えて行ったかが重要
HUGには、100%の正解はありません。
実際自分たちが避難所を運営する立場として、避難してきた方の配置や手当、突然起こるイベントへの対応など、自分が避難所運営に対してどのように考えたかが重要になります。
参加者全員でゲームを共有するのがHUGの魅力
HUGの最大の魅力は、ゲーム後の各チームの報告(振り返り)です!
たとえば、突然停電が起きたイベントへの対応をどうしたのか報告すれば「うちのチームと一緒だ」「そういう考えもあったのか」「それは現実的じゃないな」など、避難所での状況を全員で共有できます。
避難所運営ゲームHUGの動画を紹介 5:37
ではここで、実際に小学生が行っている避難所運営ゲームHUGの動画を紹介しますので、どのようなゲーム内容なのか参考にしてくださいね。
機会があれば避難所運営ゲームHUGを体験しておこう
避難所運営ゲームHUGは、記事内で説明したように道具と広い場所が必要です。
したがって、自治体の危機管理課などが主催する訓練や講習でしか体験することができません。
もしも地域で避難所運営ゲームHUGが開催されるなら、ぜひ一度体験しておくことをおすすめします。