今回は、地震に関する用語「マグニチュード」と「震度」の違いについてお伝えします。
それぞれの意味を調べてみると「地震のエネルギー・揺れの大きさ・規模」という似たような言葉が・・・。
そこで、本記事ではこれらの違いを例をあげて、わかりやすく解説します。さらに「震度の違いは生活(ライフライン・鉄道・住宅)にどのような影響をもたらすのか」についてもお伝えしているので、ぜひ参考にしてみてください。
地震が多い日本では、頻繁に流れてくる地震情報だからこそ、用語の意味を理解して正しく情報を入手しましょう!
マグニチュード(M)と震度の違いとは?
Mは「地震そのものの大きさ」震度は「地震による揺れの強さ」わかるようで・・・
マグニチュードと震度の違いについて、気象庁では次のように説明しています。
震度は、ある場所での地震による揺れの強さをあらわし、マグニチュードは地震そのものの大きさ(規模)をあらわします。
気象庁ホームページ「震度・マグニチュード・地震情報について」より引用
マグニチュードと震度は、「地震そのものの大きさ」と「揺れの強さ」ということですね。
何となくわかるものの、ちょっとわかりづらくないでしょうか?「大きさ」と「強さ」は、同じような意味にも感じてしまいます。
「声の大きさ」と「聞こえ方」に例えてみる
そこで、筆者なりに次のような例えで、考えてみました。
Aさんが「大声」をだしました。
Aさんのすぐ近くにいたBさんは、ものすごくうるさく感じました。
その一方で、
Aさんから離れたところにいたCさんは、それほどうるさく感じませんでした。
この例を、マグニチュードと震度の意味をもちいながら、まとめてみましょう。
Aさんは「大声(地震そのものの大きさ=マグニチュード)」を発しましたが、その声の「聞こえ方(揺れの強さ=震度)」は、Bさん・Cさんの場所によって違いがあります。
地震情報がでると、マグニチュードは「マグニチュード5.0」のように一つですが、震度は震度別に「震度4 ○○市」「震度1 △△市」などと伝えられますね。
マグニチュードと震度の違いが、少しはイメージできたでしょうか。
では、マグニチュードと震度について、もう少し詳しくみていきましょう。
マグニチュードが1つ大きくなると地震のエネルギーは約32倍
はじめは、マグニチュードについてです。
私たちは「震度1」と「震度4」の違いは体感としてわかりますが、マグニチュードはイメージしにくいのではないでしょうか。
マグニチュードはその値が1つ増えると、地震のエネルギーが約32倍になるとされています。たった一つ数が増えるだけで、こんなにも変わるのですね。
マグニチュードは「地震そのものの大きさ」のことでしたが、下のイラストからイメージをふくらませてみましょう。
これは「マグニチュードと地震エネルギーの関係」を示したもので、円の大きさが地震のエネルギーをあらわしています。
マグニチュードは値が1つ増えると、エネルギーが約32倍でしたね。
ということは、「マグニチュード(M)7.0」は、「マグニチュード(M)6.0」の約32倍のエネルギーがある地震ということになります。「マグニチュード(M)8.0」にいたっては、約1000倍(32×32=1024)です。
マグニチュードの値に相まって地震が大きくなるのはわかっていても、これほどまでに違いがあるのですね。
もっともマグニチュードが大きかった地震「トップ3」
では、世界ではどれくらい大きな地震が発生しているのでしょうか。
気象庁ホームページ「地震について」によると、「トップ3」は次のようになっています。
◆世界でもっともマグニチュードが大きい地震(※1900年以降に発生した地震について)
1位:マグニチュード9.5(チリ)1960年5月23日発生
2位:マグニチュード9.2(アラスカ湾)1964年3月28日発生
3位:マグニチュード9.1(インドネシア、スマトラ島北部西方沖)2004年12月26日発生
1位の地震は「チリ地震」として、日本でもとりあげられることがある地震です。この地震では、発生から約22時間半後に東北地方のリアス式海岸を中心に津波が押しよせ、139名の方が命を落としたのです。(参考:防災科研 自然災害情報室「チリ地震津波」)
南米大陸に位置するチリで発生した地震の影響が、約17,000kmも離れている日本におよんだのです。いかに、大きな地震だったか想像できるのではないでしょうか。
なお、東日本大震災をもたらした東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日発生、最大震度7)は、「マグニチュードは9.0」で第4位(1952年11月5日に発生したカムチャッカ半島と同位)です。
ここまで、マグニチュードと震度の違い、そしてマグニチュードについて詳しくお伝えしました。
では次に、震度についてみてみましょう。
地震計による観測のまえは「体感・被害の状況」で決定
現在日本では、地震計による観測によって、震度は10段階(震度0~震度7。震度5と6は強・弱)に分けられています。
地震計による観測は1996年(平成8年)4月からであり、それ以前は『体感や周囲の建物被害の状況などから気象庁職員の判断により決定』されていたといいます。(参考:防災科研「マグニチュードと震度」)
今は体感ではないものの、「どのくらいの震度のときに、どういった影響がでるのか」を私たちが知っておくことも大切でしょう。そうすることで、より地震への備えが具体的にイメージできるのではないでしょうか。
そこで次に、震度の違いは私たちの生活にどう影響するのかお伝えします。
震度の違いはライフライン・鉄道高速道路・木造住宅にどう影響するのか
ここからは、気象庁ホームページ『気象庁震度階級関連解説表』をもとに、お伝えします。
この『気象庁震度階級関連解説表」とは、震度別の現象や被害を「人の体感・行動、屋内外の状況」「木造・鉄筋コンクリート造の建物」「地盤・斜面等」「ライフライン・インフラ等」「大規模構造物」の5項目について、それぞれ表で示したものです。
ここでは「ライフライン・鉄道高速道路」と「木造住宅」についてお伝えします。なお、気象庁ではこの情報の使用にあたって留意事項を掲載しています。下記に一部を掲載しますが、詳しくは上記ホームページをご確認ください。
・地震の揺れは、地盤や地形に大きく影響されます。
・同じ市町村であっても場所によって震度が異なることがあります。
・同じ建物の中でも、階や場所によって揺れの強さが異なります。
でははじめに、「ライフライン・鉄道高速道路」についてみてみましょう。
ライフラインは「震度5弱」、鉄道高速道路は「震度4」程度以上
ライフライン(水道・電気・ガス)、インフラ(鉄道・高速道路)は、どのくらいの震度で影響がでるのでしょうか。
以下はいずれも、気象庁ホームページ「気象庁震度階級関連解説表」からの引用(※下線は筆者による)です。
◆断水・停電の発生
震度5弱程度以上の揺れがあった地域では、断水、停電が発生することがある※。
◆ガス供給の停止
安全装置のあるガスメーター(マイコンメーター)では震度5弱程度以上の揺れで遮断装置が作動し、ガスの供給を停止する。さらに揺れが強い場合には、安全のため地域ブロック単位でガス供給が止まることがある※。
※震度6強程度以上の揺れとなる地震があった場合には、広い地域で、ガス、水道、電気の供給が停止することがある。
◆鉄道の停止、高速道路の規制等
震度4程度以上の揺れがあった場合には、鉄道、高速道路などで、安全確認のため、運転見合わせ、速度規制、通行規制が、各事業者の判断によって行われる。(安全確認のための基準は、事業者や地域によって異なる。)
これらによると、水道・電気・ガスは「震度5弱程度以上」、鉄道・高速道路は「震度4程度以上」の揺れによって影響がおよぶことがわかります。
日本では2021年(令和3年)に発生した地震のなかで、「震度4以上の地震が54回」「震度5弱以上の地震が10回」発生しています。いつ地震によって、ライフラインや鉄道が影響をうけてもおかしくはない状況といえるでしょう。(参考:気象庁「令和3年(2021年)の地震活動について」)
では次に、木造住宅の耐震性についてみてみましょう。
耐震性が低い木造住宅は「震度5強」程度以上
耐震性が低い木造住宅では、「震度5強」で『壁などにひび割れ・亀裂がみられることがある』とされています。
それに対して、耐震性が高い住宅は「震度6強」で同様の状況がみられるとされています。※地震の継続時間などによって変わってくる面があります
ひび割れや亀裂があると、地震が多い日本では「今度地震がきたら大丈夫かな」と心配になることもあるでしょう。
国土交通省のホームページ「住宅・建築物の耐震化について」には、耐震化に関するさまざまな情報が掲載されているので、ぜひ参考にしてみてください。
ここまで、震度の違いが私たちの生活にどう影響するのかについて、お伝えしました。今回の「気象庁震度階級関連解説表」は、おなじく気象庁の『リーフレット「その震度 どんなゆれ?」』で、イラスト入りで解説されています。震度別の状況がわかりやすくまとめられているので、こちらもぜひ参考にしてみてくださいね。
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今回は、地震に関する用語「マグニチュード」と「震度」の違いについてお伝えしました。
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