群衆雪崩で立ったまま圧死するメカニズムとは!群衆内での対処法も解説

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先日韓国の梨泰院(イテウォン)で、死者154人、重傷者33人、軽傷者116人(犠牲者数は10月31日現在)となる大惨事が起きました。

群衆雪崩による圧死が原因で、多くの方が立ったまま圧死に至ったとされています。

今回は立ったままでどうして圧死してしまうのか、圧死のメカニズムと、群衆の中で身の危険を感じた時の対処法について解説します。

目次

群衆雪崩にて立ったままでも圧死するメカニズムとは!

基本的には、強い力で押しつぶされて窒息死することを「圧死」と呼んでいるので、地震時に家具や冷蔵庫などの大型の家電が倒れて、下敷きになったりすることをイメージします。

ただ、梨泰院(イテウォン)の事故では、立ったまま圧死していたとのことなので、圧死のメカニズムについて調べてみました。

その1:お腹を押されて横隔膜が上ったままになった

人間が息ができているのは、横隔膜が広がることで同時に肺も広がり、酸素を取り込んで呼吸を繰り返すからです。

横隔膜とはドーム状の薄い筋肉でできている膜で、お腹と胸を仕切ってます。

位置としては肋骨の5番と6番あたりになりますが「肋骨の中にあるのだから、いつでも息はできるのでは?」と思いますよね。

ところが、この横隔膜はお腹あたりを強く押されると、上ったままとなり肺が広がらなくなるのです。

その2:胸部を強く圧迫され肺が広がらなくなった

さらに身動きが取れない状態で四方から身体に強い力が加わったことで、胸部も圧迫されて肺が広がることができなくなり、呼吸能力が低下していきます。

そうなると生存に必要な酸素量を取り込むことができなくなるために、窒息が起きてしまうのです。

その3:全身の血液が心臓に戻ってこなくなり心停止を招く

胸が圧迫されることで血液の循環が悪くなり、全身を循環している血液が心臓に戻りにくくなってしまいます。

その結果、心臓に必要な栄養と酸素が不足することで心停止が起きてしまうのです。

立ったままでも圧死が起きたメカニズムをまとめると!

1:四方を人に囲まれて身動きが取れない状態になった
2:腹部や胸部を押されて横隔膜および肺が広がらなくなった
3:そして、呼吸ができない状況に陥ってしまった
4:これらによって、圧死の状態が完成してしまう
5:さらに、血液の循環が悪くなり心停止を起こしている

群衆雪崩にて圧死を防ぐ方法は、胸部に空間をつくること!

群衆雪崩のメカニズムは詳しく分かっていないようですが、さまざまな大きさと方向を持った力が急に押し寄せてくる状態になることで、群衆雪崩が起きるといわれています。

圧死を免れる方法は胸部や腹部に空間をつくって、横隔膜や肺が広がるスペースを確保することです。

群衆雪崩で転倒した時のスペースの作り方

群衆雪崩などで転倒すると圧死のリスクが高くなるので、次の方法でできるだけ胸部にスペースを作るようにします。

・可能であれば上半身を横にする
・無理なら鎖骨の下あたりに両手のこぶしを持ってくる
・鎖骨の下あたりにバックを挟む
・身体を丸めて空間を確保する

1平方メートル内に5人以上いると危険

1平方メートル内に5人以上の人口密度になると危険な状態となり、将棋倒しが起きるリスクが急激に高まるそうです。

韓国の梨泰院(イテウォン)の事故時には、1平方メートルの中で10人以上の高密度になり、群衆雪崩が起きていたといわれています。

ただ、あまりに人が多すぎて倒れる隙間もなかったために、群衆雪崩が起きたにも関わらず、倒れることも動くこともなくその場で圧死してしまったといわれています。

人が多すぎて危険と感じたらその場から抜け出すことが重要

先ほど圧死を防ぐ方法をご紹介していますが、群衆雪崩にて自分の体の上に複数人が倒れ込んでくると、空間を作る余裕も力もありません。

従って、圧死から逃れる有効な手段は一早くその場から抜け出すことにあります!

抜け出すときは壁沿いに抜け出すことがポイント

群衆雪崩は1方向だけでなく、複数の方向に動こうとする流れがぶつかって起きることが多いようです。

今回の梨泰院(イテウォン)の事故も、イベント会場に向かう人の群れと、逆方向に帰る人の群れが混ざりあって起きています。

このような状態になる前に抜け出すことが重要なのですが、群れの中にいると流れに飲み込まれて自由な動きがとれません。

従って群れの中から抜け出すには、次の方法が有効です。

1:横方向に壁などの物体まで移動する
2:壁沿いに元来た道を戻っていく
3:とにかく早い段階で抜け出すことが重要

身動きが取れなくなってから抜け出すのは至難の業となるので、できるだけ早い段階で引換す判断をすることが、命を守る重要ポイントになってきます。

群衆をコントロールするリーダーが必要!イベントでは必須となる

今回の事故では、群衆をコントロールするリーダーが不在であり、警察の対応が問題となっています。

今回の事故は死者が150人を超える大惨事であるため、世界中が反応しています。恐らく、今回の事故を教訓にイベント開催時には、人の流れをコントロールするリーダーの存在が必須となるでしょう。

日本国内でも過去を遡れば、数多くの群衆雪崩による事故が発生しています。

イベントは人が集まってこそ成り立つ催しですから、主催者は来場者の安全を最優先に考え、集まる私たちもマナーを守ってイベントを楽しむことが求められていると感じます。

参考サイト
Yahooニュース ソウル雑踏事故で多数発生した「圧死」から命を守れるか・・・法医学の医師に聞くメカニズムと救命法
Yahooニュース 【梨泰院の惨劇】「400kgの荷重」と「人間の粒子化」という群衆雪崩のメカニズムを東大教授が解説

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

1963年生まれ、兵庫県在住の防災士&フリーライター 
2014年から本格的にライターを開始!これまで多数の記事を執筆
2017年にひょうご防災リーダー講座を受講し防災士を取得。ハザードマップなど防災業務に長年従事し、防災関連の講演も行っています。
経験を活かして防災に関する情報をできるだけわかりやすく、みなさんへ届けたいとの想いを持って執筆しています。詳しいプロフィールはこちら

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