歩行者と自動車が事故を起こした場合、そのほとんどで自動車の方が過失が大きくなります。
その理由は、自動車を運転するドライバーは歩行者の安全を守る義務があるからです。
ところが、歩行者の安全が100%優先されない道路も存在します。
今回は、事故を起こすと歩行者が不利になるケースについて解説します。
歩行者横断禁止の道路は自動車が優先されている
上記の標識のある道路では、横断歩道以外で道路を横断してはいけません。
にも関わらず歩行者が、道路を横断する姿をよく見かけます。
この行為は完全に道路交通法違反に該当し、知らなかったでは済まされないのです。
横断禁止の標識のある場所では2万円以下の罰金又は科料となる
先の「横断禁止の標識」のある道路を横断すると、2万円以下の罰金又は科料が課せられます。
ただ、実際に歩行者が法律に違反して道路を横断しても、違反切符が切られることはほとんどありません。
その場で厳重注意されて終わることがほとんどで、このことが簡単に道路を横断してしまう原因につながっていると考えてもおかしくないのです。
道路交通法第13条で横断の禁止場所が定められている
ここで、道路交通法第13条を確認しておきましょう。
第十三条 歩行者は、車両等の直前又は直後で道路を横断してはならない。ただし、横断歩道によつて道路を横断するとき、又は信号機の表示する信号若しくは警察官等の手信号等に従つて道路を横断するときは、この限りでない。
道路交通法
2 歩行者は、道路標識等によりその横断が禁止されている道路の部分においては、道路を横断してはならない。
道路交通法
このようにしっかり道路の法律によって横断禁止が定められています。
特に、2項はしっかり覚えておくことが大切です。
横断禁止の啓発パンフレットをご紹介
ここで警察署が作成している、横断禁止のパンフレットをご紹介しておきましょう。
横断歩道のある個所でも、斜め横断をすると法律違反となるようです。
横断歩道ではない場所を渡ることを「乱横断」と呼ぶ
みなさんは「乱横断」との言葉をご存じですか?乱横断とは先に解説したような、横断禁止となる道路を渡る行為のことで、検索すると多くの記事を見ることができます。
信号のある横断歩道であっても、信号無視をすれば乱横断に該当します。
乱横断時の事故では歩行者の過失割合が大きくなる
では乱横断をした際に自動車との事故を起こすと、歩行者の過失割合はどのようになるのでしょう。
いろいろ調査してみると、弁護士ドットコムニュースで現役の弁護士が回答している記事あったので、そこからご紹介します。
結果からいうと、乱横断での悪質な横断による事故の場合は、歩行者の過失割合は約50%のようです。
「弁護士ドットコムニュース信号のない道路を横断する「乱横断」 悪質なケース「約50%の過失」になることも」
歩行者が悪くても過失は50%に留まるのはなぜ?
弁護士によると、乱横断での基本過失割合は30%になると回答しています。
原則として歩行者と自動車との事故では、ほぼ自動車の過失が100%に近くなるようなので、このことから考えれば、30%の過失割合は高いといえます。
ただ、渡ってはいけないとの法律に違反して、道路を渡って事故を起こしても過失が最高でも50%なのは、少し納得いかないと感じてしまいます。
高齢化社会になり乱横断は増えるかも知れない
今後の日本は高齢化社会となってきます。人生100年時代といっても、元気にササっと歩ける高齢者はほとんどいません。
高齢者による、アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故の多発、高速道路の逆走など社会問題に発展しています。
今後は高齢者による乱横断も、大きな社会問題になるかも知れません。
参考サイト
兵庫県西脇警察署「その横断 違反です!」
「弁護士ドットコムニュース信号のない道路を横断する「乱横断」 悪質なケース「約50%の過失」になることも」