春一番の基本を学ぶ|風がもたらすダメージと押さえておきたいポイント

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春一番とは、春を迎える頃に吹く暖かい強風のことです。その語源は江戸時代の海難事故に由来するとされ、春という言葉がもつ穏やかなイメージとは裏腹に、私たちの生活に影響を与え被害をもたらすこともあるため、注意が必要です。

そこで今回は、春一番とは「いつ・どこで吹く・どの程度の風?」といった基本から、「語源となった出来事」「春一番の影響と注意点」についても詳しく解説します。

寒い冬から暖かな春へと季節が変わる、この時期こそ必要な備えについて、学んでみませんか?

目次

春一番の定義|時期・風速・発表される地方

気象庁では、春一番を「冬から春への移行期に、初めて吹く暖かい南よりの強い風」と定義しています。

ここではより詳しく、春一番とは「いつ・どこで吹く・どの程度の風」なのか、「なぜ風が強くなるのか」についてお伝えします。

立春より早くても春分より遅くてもだめ

気象庁のいう「冬から春への移行期」とは、「立春から春分までの間」を指しており、暦のうえでは、2月4日頃から3月20日頃にあたります。

したがって、いくら風が強くても、その年の立春より早かったり、逆に春分を過ぎていた場合には、春一番と呼ぶことはできないのです。

2022年(令和4年)には、2月5日に北陸地方で春一番が観測され、全国で最も早い発表となりました。一方、北陸地方では2000年(平成12年)や2006年(平成18年)には春一番の発表はされませんでした。

「強い風」の基準はおおむね風速8m/s 

春一番の条件となる「強い風」の基準は、実は各地方で異なります。具体的には、風速7m/s(メートル毎秒)~10m/s(メートル毎秒)と幅があります。

たとえば、2022年最も早く春一番が観測された北陸地方の基準は、10m/s(メートル毎秒)です。風速10m/s(メートル毎秒)というと傘をさしているのも大変になる程です。

春一番の発表がない北海道・東北・沖縄地方

風速以外にも前日との気温差など、春一番の条件は各地方の特性に応じて決められています。
そのため春一番の発表は、気象庁が用いる下記の予報区分にもとづいて、それぞれの地方ごとにおこなわれています。

春一番を発表する地方
関東甲信、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州北部、九州南部・奄美

北海道・東北・沖縄地方では、春一番の発表がありません。その理由は、春一番の時期であっても北海道・東北地方では冬の気候がまだ続き、一方、沖縄県ではすでに春のような暖かい状況にあるためとされています。

「日本海にある低気圧」に風が吹き込むため強風になる

では、なぜ強い風が吹くのかというと、「日本海にある低気圧」に南からの温かい風が吹き込むためです。
春一番では、この日本海に低気圧があることが一つのポイントになります。低気圧は風を引き込む特徴があるため、低気圧が大きければ大きいほど強い風になります。

春一番がきた次の日は寒くなる

この「日本海にある低気圧」は東に移動して、今度は冬型の気圧配置と言われる「西高東低」、つまり、西に高気圧・東に低気圧という配置になってきます。そうなると今度は、北からの寒気によって寒くなるのです。

温度差を示す例を一つあげてみましょう。
2022年(令和4年)2月15日に春一番が吹いた北陸地方の福井県では、地上気象観測データによると前日との気温差が約7度もあり、急激に気温が下がりました。

◆福井県の最高気温(2022年)
2月15日 10.1度 / 2月16日   2.6度 

参考元:goo天気「福井の過去の天気」2022年2月

春一番で暖かさを感じたからと言って、冬物のコートをしまうのはまだ先にしておいたほうが良さそうですね。

春一番の語源となった海難事故|海の事故は「118番」へ!

春一番の語源は諸説ありますが、江戸時代の1859年(安政6年)3月17日、現在の長崎県壱岐市で起きた海難事故が由来とされています。この日の強風によって、漁にでた船が転覆し、漁師さん53名が亡くなったのです。

もともと漁師さんの間では、春に吹く強風は「春一」や「春一番」と呼び警戒されていたのですが、この海難事故をきっかけとして、春一番という言葉が広く知られるようになったと言われています。

この事故から150年以上たった今でも、春一番は警戒すべき風であることに変わりはありません。

現在では「海の事件・事故」の緊急通報用ダイヤルとして、海上保安庁が「118番」を運用しています。海難事故などを目撃、または自身が海の事故にあってしまった場合には、「118番」と覚えておきましょう。

春一番がもたらす日常生活への影響と注意点

春一番による強風は、私たちの身近なところにも影響を及ぼします。

どんな影響があり、何に気をつけたら良いのか。
ここでは、日常生活における5つのポイントをお伝えします。いつも以上に気をつけて、春一番による被害を生まないようにしましょう。

①交通機関の遅れ・運休~閉じ込めにも備える

強風の影響で、電車などの交通機関が遅れたり運休になることがあります。運行していても、強風にともない速度を落としていることもあるため、時間に余裕を持って行動しましょう。

また、走行中に基準以上の強風が観測された場合は運転を見合わせることも。電車内に長時間、閉じ込められる可能性も念頭におき、携帯トイレや水分・栄養補助食品などをバッグに入れておくのも良いでしょう。 

②火事の延焼~出火原因になるタバコ・コンセントのほこり

強風時の火事は、燃え広がりやすくなってしまいます。

タバコの後始末、料理時の火の扱いなど、いつも以上に注意して火事を起こさないよう気をつけましょう。火事の原因には家電製品からの出火もみられます。コンセントにほこりがたまっていないか、コードの上に物が乗って断線している危険はないか、などにも注意をはらいましょう。

③強風による飛来物~帽子が飛ばされても慌てない

春一番による強風は、風速10m/s(メートル毎秒)近くになり、傘をまともにさせない程です。外出の際には、看板などが飛ばされてくる危険もあるため、周囲の状況に気を配りながら歩きましょう。

また、帽子など自分の物が飛ばされたときの対応にも注意が必要です。飛ばされた物を取りに行こうと慌てて走り出してはいけません。車や自転車と接触してしまう危険性があります。

④停電・断水への備え~防災用品を再点検

強風によって停電、それに伴い断水する可能性があります。携帯電話・スマホの充電や水などの備蓄品は十分あるか、懐中電灯の電池は切れていないかなど、災害時の備えを点検しておきましょう。

⑤自宅周りの危険物~他人に危害を与えないために

家の外に置いてあるもので、飛ばされそうな物は室内に取り込む、またはロープなどで固定しましょう。物干し竿などはもちろん、強風によって飛ばされた意外な物が人にケガをさせてしまう可能性もあります。「これくらい大丈夫だろう」と過信せず、用心するに越したことはありません。

春一番についてQ&Aで確認してみよう!

それでは最後に、これまでお伝えした内容を「Q&A」にまとめてみました。
ぜひチェックしてみてくださいね。

春一番とは何ですか?

立春から春分の日の間で、はじめて吹く暖かい南寄りの強風のことです。

春一番の風はどのくらいの強さですか?

各地方によって、風速7m/s(メートル毎秒)から風速10m/s(メートル毎秒)と基準は異なりますが、おおむね風速8m/s(メートル毎秒)と言うことができます。

春一番はどこで吹きますか?

8地方(関東甲信、北陸、東海、近畿、中国、四国、九州北部、九州南部・奄美)で春一番の発表があります。
北海道・東北・沖縄地方での発表はありません。

春一番はなぜ強風になるのですか?

日本海にある低気圧に、南からの暖かい風が吹き込まれるためです。

春一番の特徴はどんなことですか?

春一番が吹いた翌日は気温が下がり、寒さが戻ることです。

なぜ「春一番」と呼ばれているのですか?

昔から漁師さんたちの間で、春に吹く強い風を「春一」や「春一番」と呼んで警戒していました。そして、江戸時代に今の長崎県壱岐市で起きた海難事故をきっかけとして、「春一番」が広く知られるようになりました。

日常生活への影響や気をつけることはありますか?

強風による交通機関の遅れや運休、停電とそれにともなう断水が起こることがあります。電車への閉じ込めや、強風による飛来物、火事の延焼、自宅周りの危険物などに注意が必要です。

強風とは、具体的にどの程度の風ですか?

気象庁では、強風は「風が強い状態の総称」としています。
下記の記事では、「強い風」と「非常に強い風」の違いや、強風による歩行者や車への影響などについて解説しています。

あわせて読みたい
爆弾低気圧の被害は広範囲~強風による影響を詳しく解説! 「冬の台風」「春の嵐」とも呼ばれる爆弾低気圧。過去の事例や強風への備え、歩行者・自転車・車への影響について詳しく解説します。

いかがでしょうか。
地域・期間限定の「春一番」ですが、言葉のイメージにとらわれず、強風がもたらすダメージをしっかり理解して対策をとり、どうぞ日常生活を安全にお過ごしくださいね。

【参考文献】

気象庁:天気予報で用いる用語「風」https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/kaze.html

日本気象協会:北陸で「春一番」昨年より5日早い観測https://tenki.jp/forecaster/deskpart/2022/02/15/16122.html

気象庁「予報区分の一覧表」https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kisetsu_riyou/division/kubun.html

goo天気「福井の過去の天気」2022年2月 https://weather.goo.ne.jp/past/616/20220200/

一般社団法人 壱岐市観光連盟「春一番の塔」https://www.ikikankou.com/spot/10128

海上保安庁:海の「事件・事故は118番」https://www.kaiho.mlit.go.jp/doc/tel118.html

京急電鉄「京急線における、悪天候や地震のときの運行について」https://www.keikyu.co.jp/ride/pdf/akutenkou.pdf

MBS NEWS:【解説】『春一番』は実は危険な風!?気象予報士がテレビより少~し長く解説します! https://www.youtube.com/watch?v=cChFDAd4b5c

YAHOO!ニュース「春一番 地域で異なる定義とは?」

(以上)

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

東北出身&在住フリーライター。
広告代理店・NPO・行政で勤務後、在宅ワーカーに転身。
妊娠中に東日本大震災に遭い、津波から避難・仮設住宅で子育てをする。
本サイトでは「命を守るために知っておきたいこと」「日常に潜むリスクへの備え」などについて発信します。
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