ライターの永野です!
夏のうだるような暑さとはうって変わって、冬の空気が流れていますね。
北海道や東北地方を中心に、各地で初雪が降ったというニュースも見かけ、「岐阜もそろそろ?」と聞かれますが、私が住む場所は飛騨地方のように雪が降る地域ではないので、いつ雪が降るのかなぁとのんびり構えています。
気温はとても下がりますけどね!
雪は冬の風物詩といった存在ですが、昨今は「雹(ひょう)」についての話題もよく耳にします。雹は私たちの生活に大きな影響を与えることもあるため、注意が必要です。
今回は、そんな雹に関する話題。「雹害車(ひょうがいしゃ)」とは何か、修理の方法や雹害車にならないための対策などを解説します。
そもそも雹(ひょう)とは…
「雹(ひょう)」は、空から降る氷の塊です。直径5ミリ未満の氷の粒を「霰(あられ)」といい、5ミリを超えると「雹」と呼ばれます。氷の塊というと、雪と同じように冬に降ってくると思われがちですが、冬に降るのは日本海側が多く、基本的な雹のシーズンは初夏や秋です。
5ミリ大の氷の塊と聞くと、なんとなくかわいらしい感じに思えなくもありませんが…。日本では大正時代に、埼玉県で直径29.6センチ、重さ3.4キロの雹が降っています。大きなかぼちゃのような氷の塊が空から落ちてくることを想像すると非常に恐ろしいですよね。
筆者もピンポン玉くらいの雹が降ったというニュースを見たことがあります。Wikipediaによると、直径1センチ以下のものが多いようですが、直径5センチ程度までの雹が降ってくることは少なくないので、注意が必要です。
雹で傷や凹み!雹害車の修理に保険は使える?
大きめの雹の落下速度は時速100kmを超えるともいわれています。氷の塊が高速で落ちてくれば、さまざまな場所・ものに被害が及ぶのは想像がつくでしょう。
雹の被害によって車体に傷がついたりガラスが割れたりした車を「雹害車(ひょうがいしゃ)」といいます。雹害車は修理が必要なケースが多いですが、修理に保険は使えるのでしょうか。
保険で修理は基本的に可能!しかし…
多くの保険会社では、雹で受けた車の被害は「物の飛来・落下による損害」に該当し、車両保険を使って修理ができます。ただし、保険会社や加入している保険の内容によっては雹害が対象外となるケースもあるため、詳しくは保険会社に確認しましょう。
保険を使えば修理代を全額負担しなくて済みますが、現在は自然災害のような自己責任でない状況でも、保険を使うと翌年度の等級が下がり、「事故有係数適用期間」が1年加算されます。修理費用の負担は軽くなっても、翌年度の保険料が高くなることを忘れてはいけません。
修理にもらえる保険金はどれくらい?
雹害車の修理に車両保険を使う場合、保険金がどれくらいもらえるのかは気になるところです。基本的に、保険金の上限は「車の時価額」とされており、修理にかかった費用は関係しません。購入から1年未満の新車なら購入金額が設定金額となるのがほとんどですが、年数が経つにつれ時価額は下がります。
よって、支払額は一概に「○万円」とはいえず、車種や年式、型、走行距離、使用状態などによります。
「免責金額」を設定している場合は、修理代から免責金額を除いた金額が受け取れます。たとえば免責金額を5万円としていたら、修理代が5万円以下だと保険金がもらえません。5万円を超えれば、修理代から5万円を引いた額、6万円なら1万円、15万円なら10万円が受け取れます。
請求には期限があるため注意
雹害車の修理に車両保険を使う場合は、請求期限にも注意しましょう。雹に限らず、車両保険の請求金額は損害を受けてから3年です。つまり、雹が降った日から3年以内に請求しなければ、保険金を受け取れません。
また、いくら3年以内といっても雹が降ってから2年以上経って、請求期限ギリギリに申し出ると、雹と車の損傷の関連性が不透明になり、保険金が減ってしまうこともあります。期限は長めに設定してありますが、後回しにすると忘れてしまうこともあるので、請求する場合は早めに行動しましょう。
参考:雹(ひょう)やあられで車が傷ついてしまったら車両保険で修理できる?
保険の話は難しい…!
雹害車の修理方法
天気予報で避けられる可能性はありますが、雹は突然降ってくることもありますし、どれくらいの大きさのものが降るのかも予想はできません。車が雹の被害を受けてしまった場合、修理の方法は大きく3つです。
パーツ交換
雹により、車が甚大な被害を受けた場合はパーツ交換を行います。パーツ交換はフレームの変形がなければ可能で、非常に大きな損傷も高確率で解決できるでしょう。ただし、そのぶん費用がかさみますし、修理にかかる時間も長くなります。
板金塗装
パーツ交換をしなくても何とかなりそうなときは、板金塗装で対処します。へこんだ部分をパテで埋めて再塗装する、パーツを叩いて加工するなど、元通りにするための方法はさまざまです。大きな傷やへこみも、ある程度は板金塗装で修理できます。
デントリペア
デントリペアは、軽微なへこみの際に用いられる修理方法です。板金塗装やパーツ交換といった大がかりな修理は行わず、へこんだ部分だけを修復します。被害があまり大きくなく、修理にかかる費用や時間を最小限に留めたい場合におすすめです。
参考:雹(ひょう)で車にボコボコと傷が…修理に保険は使える?
修理はしなくてもいい?雹害車修理の有無で変わるデメリット
車が雹の被害を受けても、絶対に修理をしなければならないということはありません。修復に多額の費用がかかる場合は買い換えを検討することもあるでしょうし、デントリペアで直りそうな小さな傷やへこみなら、「放っておいてもいいかな」と考える方もいるでしょう。
雹害車を修理すればきれいな状態の車に乗れますし、修理をしなければ修理費用がかからないというメリットがあります。では、修理をするのとしないのとでは、それぞれどのようなデメリットがあるのでしょうか。
雹害車を修理した場合のデメリット
前述の通り、雹害車を修理して保険を請求すると、等級が下がって保険料が上がるというデメリットが発生します。また、修理の内容によっては修復歴のある「事故車」扱いとなり、売りたいと思ったときに相場より安い値段しかつかない可能性があるのも、デメリットの1つです。
修理が大がかりになると、かかる時間も長くなります。雹が降れば被害を受ける車も増えるので、修理依頼が殺到し、納期が非常に遅くなる、整備側が提供する代車が足りなくなることで、生活が不便になる可能性があることも覚えておきましょう。
雹害車を修理しなかった場合のデメリット
傷やへこみが目立っても、機能面に異常がなければ車検はクリアできます。よって、所有者が気にしないのであれば、雹害車の修理をする必要がないケースも少なくありません。しかし、修理をしなければ見た目の悪い車に乗り続けることになります。
また、傷ついたところから錆びてしまったり、見えないところの損傷が大きなトラブルにつながったりすることもあるため、注意が必要です。できるだけ修理をしたくないという場合も、まずは修理工場などに相談し、機能面に問題がないかを確認しましょう。
雹害車にならないために、雹が降ったら注意したいこと
車が雹害を受けると、修理の有無に関わらずさまざまなデメリットが生じるため、できるだけ雹害車にならないように対策をする必要があります。雹が降った際にできる対策、注意したいポイントは大きく4つです。
屋内駐車場に避難する
運転中に雹が降ってきたら、速やかに屋内駐車場に避難しましょう。屋根のある場所なら、雹によって車体が傷つくことを避けられます。運転に支障が出そうな大きさや量の雹が降っている場合も、可能な限り近くの屋内駐車場まで避難するのがおすすめです。
厚手の毛布などで覆う
雹は固い氷の塊が勢いよく降ってくるので、車庫の屋根をつきやぶる可能性もあります。自宅の駐車場には、屋根をつけている家庭とつけていない家庭がありますが、どちらも雹の振り方を見て、車に被害が及びそうな場合は厚手の毛布や布団で車体を覆いましょう。柔らかく厚い布で車体を守れば、被害を最小限に食い止められます。
冠水しそうな場所を避ける
雹が降る際は豪雨を伴うことも多いため、道路が冠水する場合もあります。雹や落ち葉・枝、ごみなどが排水溝につまったうえに豪雨も降ると、短時間で冠水するため危険です。通勤や送迎でよく使う道路が冠水しそうかどうかは、ハザードマップで確認できます。事前に確認し、雹が降ったら冠水の可能性があるルートを避けて走行しましょう。
駐車できない場合は…
雹が降ったときに運転している場合は、前述の通り冠水しそうなルートを避けながら、できるだけ早く屋内の駐車場に避難する必要があります。しかし状況によっては、運転できないくらい雹が降り、近くに避難できる場所もないことも。この場合は無理に運転を続けず減速し、道路の左側に車を寄せて待機します。減速・停止の際は、交通状況を確認することも忘れてはいけません。
雹が降ったときの行動を覚えておこう!
雹害車は修理が大変!雹が降ったら適切な行動を
氷の塊が勢いよく降る雹による被害を受けた雹害車は、3種類の方法で修理ができます。雹害を受けると車両保険を受け取れますが、等級が下がり保険料が上がるので注意しましょう。
雹が降ったら、運転の有無に関わらず車を安全な場所・状態にすることが大切です。大きな雹は屋外にいる人すべてに危険を及ぼす可能性がありますので、迅速な行動が取れるよう備えましょう。
編集後記
「興味のあること以外興味のない人間」なので、「霰(あられ)」は名前のイメージから、コロコロとした形の雪のことだと思っていました。恥ずかしいです。
雹が多い地域は北のほうや日本海側、北関東内陸部らしく、確かに栃木県に住む親戚が、大きな雹が降ったと報告してきたことがありました。この地域で降った記憶はあまりありませんが、昨今の異常気象を見ていると、いつ大粒の雹が降ってもおかしくないのでは、と思います。
「防災新聞」のテーマは、「万が一のために、学んで備える。」です。私も「雹は降らないでしょ~」と思わず、もしものときのために、知識やものを備えておかなければと、改めて思いました。