警察災害派遣隊の役割は?災害派遣についてまとめて解説

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ライターの永野です!

先日、長男の授業参観日がありました。新しい学年、新しいクラスで算数の筆算を頑張って学んでいる姿に成長を感じつつ、教室を見渡すと図工の授業で描いた卵の絵や、新学期にふさわしい自己紹介カードが。

息子のものを見てみると、好きなこと・得意なことは「ドッジボール」、頑張っていることは「ピアノ」とのこと。そして、将来の夢は「警察官」でした。恐らく「突破ファイル」というバラエティ番組の影響もあるのでしょうが、先日まで「お菓子がたくさん食べられるから駄菓子屋さん」などと申していた長男が、より現実的な職業を目標に掲げていることに驚きました。

ちなみに年長の次男の夢は「仮面ライダー」。自分が小さい頃なりたかったものは何だったかと思い返してみると、セーラームーンやアイドルという非現実的なものから、特に理由もなく「お花屋さん」「パン屋さん」だったり…。最終的には中学で国語教諭、高校生になって日本語学校の先生を目指したいと思い、夢を叶えた末に、好きだった「文章を書くこと」をお仕事にさせていただいています。

私の話はさておき、警察官に憧れる長男ですが、警察官といってもさまざまな仕事がありますよね。

以前に自衛隊災害派遣に関するドキュメンタリーのレビューを書かせていただきましたが、発災直後から復興に向けた取り組みまで、被災地にはさまざまな方が関わっています。警察官も警察災害派遣隊として、被災地に関わる大きな務めがあるようです。聞いたことがある方もいるかもしれませんが、具体的にどういった役割を担うのでしょうか。

今回は、警察災害派遣隊がどういった活動をしているのかを解説します。また、警察災害派遣隊以外の災害派遣について、さらに東日本大震災のときに被災地に行った筆者の身内の話も少しだけお話させていただきます!

目次

警察災害派遣隊とは全国から被災地に派遣される警察部隊

警察災害派遣隊は、全国の警察官が被災地に派遣されるものです。まずは大まかな活動内容や歴史について、解説します。

警察災害派遣隊とは

警察災害派遣隊とは、その名の通り災害時に派遣される警察部隊です。大規模災害が発生した場合、被災地では一般の方はもちろん、警察や消防、役所などさまざまな施設や職に就いている方も被災する可能性があります。

そんなときに、全国の警察から被災地に派遣され、災害への対処などを行う部隊が、警察災害派遣隊です。

警察災害派遣隊の歴史

警察災害派遣隊は、昔から存在したものではありません。東日本大震災の教訓を元に、翌年の2012年に創設されました。

それまでは被災地への警察の派遣がなかったかというとそのようなことはなく、以前は災害対処のための「広域緊急救助隊」や「機動警察通信隊」というものを設置・運用していたそうです。しかし、東日本大震災の経験から危機管理体制を見直し、より広域への部隊派遣態勢を敷くために、部隊を拡充しました。

警察災害派遣隊の隊員は、各都道府県警や警察庁、管区警察局に所属する警察官のなかから選ばれます。派遣後は現地、つまり被災地の警察本部の指揮下に入り、活動するのが基本です。

警察災害派遣隊の即応部隊

警察災害派遣隊は、大きく即応部隊・一般部隊の2つに分けられます。即応部隊がどういった部隊か、被災地でどういった活動をするのかを見ていきましょう。

即応部隊とは

即応部隊は、災害が起こった場合に迅速に被災地に派遣される部隊です。被災地では「自活」が原則で、被災地の警察本部からの支援は受けません。即応部隊は各都道府県警察のなかであらかじめ要員が指定されており、災害が発生したらすぐに被災地へ向かいます。即応部隊1人ひとりの活動期間は3~7日ほどと比較的短期間で、任期を終えると別の即応部隊と交代します。

即応部隊の役割

即応部隊はさらに「広域緊急援助隊」「広域警察航空隊」「機動警察通信隊」「緊急災害警備隊」の4つの部隊に分かれます。それぞれの役割は、以下の通りです。

・広域緊急救助隊:避難誘導、救出、交通の確保、遺体の検視 など
・広域警察航空隊:航空機での状況把握・被災者救出
・機動警察通信隊:通信の確保
・緊急災害警備隊:被災者救出、避難所の警備 など

警察災害派遣隊の一般部隊

続いて、警察災害派遣隊のもうひとつの部隊である一般部隊について、どういった役割なのかを解説します。

一般部隊とは

一般部隊は、被災地の警察機能を補うことを目的とした部隊です。即応部隊は災害が起こったらすぐに派遣され、3~7日ほどで交代しますが、一般部隊は発災から2週間ほど経過した頃に派遣され、1~2週間で交代するのが異なる点でしょう。

一般部隊の役割

一般部隊は即応部隊よりもさらに細かく、8つの部隊に分かれます。それぞれの部隊の役割を簡単にまとめました。

・特別警備部隊:捜索、警戒警ら
・特別交通部隊:交通規制、交通整理
・特別自動車警ら部隊:パトロール
・特別生活安全部隊:被災者の相談対応
・特別機動捜査部隊:初動捜査
・支援対策部隊:補給・受援対策
・身元確認支援部隊:身元確認の資料収集
・情報通信支援部隊:通信施設の復旧

災害派遣は警察以外にも!

災害時には被災地で、さまざまな役割が不足します。警察はもちろん、ほかにも私たちの安全な生活を守るために欠かせない職業の方が、他地域から被災地へ災害派遣されるケースは少なくありません。警察以外の災害派遣について、代表的な4つを見てみましょう。

自衛隊の災害派遣

自衛隊も警察同様、全国から被災地へ多くの隊員が派遣されます。被災地で自衛隊が担う役割は、被害状況の把握から、避難の援助や遭難者の捜索、水防・消防、道路や水路の啓開、応急医療や救護、炊飯や給水など、さまざまです。

陸・海・空によっても役割は異なりますし、部隊によって科せられる任務が変わってきます。自衛隊災害派遣の活動については、「3.11東日本大震災 自衛隊災害派遣 絆~キズナノキオク~」というドキュメンタリー映像で詳しく学べるので、興味のある方はぜひU-NEXTなどで視聴してみてください。

看護師の災害派遣

災害時には怪我を負う方、持病の治療が困難になる方、避難所生活のなかで心身の不調を訴える方などが多く発生します。被災地で看護師として働いていた方も、自身が被災している可能性がありますし、医療設備が災害によって使えないなどといった問題が起こることも。

そんなとき、全国から派遣されるのが「災害支援ナース」です。災害支援ナースは、被災者の健康レベル維持のため、適切な医療・看護を提供します。また、被災した看護職の方々の心身の負担の軽減も目標に掲げているのも特徴です。

災害支援ナースになるには、都道府県看護協会などが主催する研修を受ける必要があります。一定の研修をクリアし、災害支援ナースに登録した看護師は、万一のときに被災地に派遣され、さまざまな看護活動を求められます。

海外からの災害派遣

自衛隊が海外の災害に派遣されるケースもありますが、日本での発災時に、海外から派遣部隊が来ることもあります。海外からの災害派遣は国際緊急援助隊(JDR)が実施しているケースも多く、大規模な災害が発生した際に必要に応じて諸外国から被災地支援のための人員が派遣されるシステムです。

また、各国が抱える軍などが直接被災地支援に関わるケースもあります。東日本大震災ではアメリカ軍が災害救助や救援のために派遣され、被災地復興に大いに貢献しました。

ボランティアで被災地へ行く方も

特別な職業に就いていなくても、被災地で役に立つ活動がしたいという方は、災害ボランティアに行くことができます。災害ボランティアの活動内容は幅広く、被災地復旧のために炊き出しや清掃、支援物資の仕分けや配布などはもちろん、被災者の方の心のケアや託児代行、イベントで活気づけるといったことも。

災害ボランティアは自分のことを自分でする、自分の行動に責任を持つことはもちろん、被災者の方を配慮する気持ちも重視されます。年齢制限などは基本的に設けられていません。下限も上限もありませんが、責任を持ち、自分で考えて行動できる、自分のことは自分でできるといった最低限のラインをクリアできる年齢の方が参加するのがベストでしょう。

災害派遣に行った身内の警察官の話

筆者の身内の1人は、警察官として働いています。地方公務員なので県内での勤務が基本ですが、立場上「何かあれば行く」というのは否めないようです。空港への2年間の出向や、各地で開催されるサミットへの派遣などを経験していますが、東日本大震災の際も、発災から1週間ほどで「被災地に行くことになりそうだ」との連絡がありました。

身内が行ったのは岩手県で、私は同居していたわけではないので実際どれくらいの期間行っていたのかはうろ覚えですが、1ヵ月近く被災地に行っていたような記憶です。被災地での活動については事細かには聞いていませんが、「ご遺体を安置している建物の外で、パトカーのなかで夜通し警備をしていた。そのときに大きな余震が来たときには命の危険を感じた」というエピソードには、いろいろな意味で衝撃を覚えました。

被災地には野良猫が多かったらしく、なかには飼い猫だった仔もいたのでしょうか。人に慣れていて近づいてくることもあったようです。また、さまざまな地域から集まったパトカーが一列に並んだ写真を見せてもらったときは、各地から被災地に集まり必死に復興作業を行っている人が大勢いるのだと実感しました。

被災地への派遣から12年。改めて当時の様子などについても、話を聞けたらと思います。

警察災害派遣隊をはじめ、被災地で活躍する人は多数!役割を知り、被災地を応援しよう

警察災害派遣隊は、東日本大震災以降に創設された警察の部隊です。即応部隊と一般部隊の大きく2つの部隊があり、それぞれが被災地復興のためにさまざまな役割を果たします。

警察以外にも、災害派遣やボランティアなど、被災地や被災者の方の未来や現状をよりよくするために奔走する立場の方は少なくありません。災害は起こらないのがベストですが、大きな災害のときには、被災地で働く多くの方にも目を向けてみてはいかがでしょうか。

編集後記

子どもがいると「災害が起こったときどうするか」「もし犯罪に巻き込まれたら」など、心配やもしものときのシミュレーションは欠かせません。防災新聞というメディアに関わっていなければ、こんなに災害について調べたり、東日本大震災を思い出したりする機会はないなぁと日々実感していますが、執筆を通して得た知識が生活に活きるのは非常にありがたいことです。

子どもの防災・防犯という話でいくと、昔の避難訓練は「地震からの火事でグラウンドに避難」のワンパターンでしたが、最近は不審者が侵入した場合にどうするかといった訓練も行われています。また幼稚園や小学校では「緊急時の帰宅について」を保護者と子どもが一緒に理解するため、「引き取り訓練」なども積極的に実施しています。

子どもの頃から、災害や犯罪を防ぐ意識を養うのは大切なことです。日本の子どもの学力低下なども深刻視されていますが、勉強はもちろんのこと、生きていくうえで必要な知識や技術を備える教育も、欠かせないなぁと思いました。

参考サイト

・Wikipedia「警察災害派遣隊
・警察庁「大規模災害発生時の部隊派遣等について
・警察庁「防災計画・災害対策

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

大学・大学院にて日本語学を専攻。日本語教師を経て2018年よりライターに転身。子どもと学べる防災に関心を持ち、日々災害や備えについて勉強中。
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