防災新聞のライターをさせていただき長い月日が経ちましたが、実はこのメディアのライターに応募したのはレスキュー関連のボランティア団体に入っているからです。
新型コロナウイルスの影響もありなかなか活動ができていませんが…この度、3年ぶりの普通救命講習に参加してきました!
そこで今回は、普通救命講習での学びや参加させていただいて感じたことなどをお話させていただきます。
普通救命講習とは応急処置の技能講習
全国の消防署や消防本部で実施される応急処置に関する技能講習を、普通救命講習といいます。年間およそ100人が受講する人気の資格で、応急処置に関する知識や技能の普及啓発が目的とされています。
ちなみに、普通救命講習といっても3種類に分かれており、私が受講したのは最も講習数や受講者数の多い多い「普通救命講習Ⅰ」です。
「普通救命講習Ⅱ」は筆記試験や実技効果測定が追加され、さらに上の「普通救命講習Ⅲ」は、新生児や乳児、小児への応急処置や心肺蘇生法を学びます。
さらに上の資格として「上級救命講習」などもあり、医療関係などの仕事に就いている方以外にも、応急処置や救命に興味・関心の高い方が受講することも少なくありません。
2年前の普通救命講習との違い
私が初めて「普通救命講習Ⅰ」を受講したのは2019年12月1日。救命講習は2~3年に一度、定期的な受講が望ましいとされており、2022年2月におよそ2年ぶりの受講予定でした。
しかし、コロナ禍で延期に延期を重ね、結果として開催は4月末となりました。
この2年での世の中の変化はとても大きなものでしたが、救命活動にも新型コロナウイルスによる変化があり、とても勉強になる時間になったと思います。具体的な変化は、次の通りです。
新型コロナウイルスによる座学内容の変化
「普通救命講習Ⅰ」は座学と実技によって構成されています。はじめに基本的な知識を学ぶ座学があり、その後実際に人形を使っての実技を実施するのが一般的な流れです。
座学では、コロナ禍における救命方法の変更点を学びました。新型コロナウイルス感染症の流行・拡により、心肺蘇生法などを実施する場合はすべての人に感染症の疑いがあると仮定し対応することになったそうです。
具体的にどういった方法で心肺蘇生法を実施するのかを、プリントと口頭で説明していただきました。
新型コロナウイルスによる実技内容の変化
実技もコロナ仕様で、意識の確認や胸骨圧迫の際の注意点を、実際の人形を使って教えていただきました。感染リスク低減のため最近は人工呼吸をしないそうで、2年前は人工呼吸の指導や実技がありましたが、今回は行いませんでした。
前回は一連の流れをグループで念入りに行う時間がありましたが、こちらも密を避けるという観点から短縮したものに変更されており、個々での胸骨圧迫を練習する時間が多めに設けられていたのも、異なる点だといえます。
「座学」を通しての感想
座学はビデオを見たあとに、救急救命士の方がテキストからポイントとなる点をお話してくださいました。座学の内容については主催する消防署や救命士さんによってやや異なる印象です。
ビデオは2年前の講習で見たものと同じでしたが、実体験を聞くことで、改めて普通救命講習を受講することの大切さを知る貴重な時間となりました。やはり2年も経つと忘れてしまっていることも多いですし、変わっている部分もあるので、定期的な受講が必要だなと実感しています。
「実技講習」を通しての感想
実技講習では人形を使用し、実際に救命処置が必要になった場合の練習をしました。どの場所をどれくらいの力で、どういう体勢で押すとよいかは、説明を受けるだけではなかなかわかりませんし、こちらも2年も経つと忘れてしまっています。
人形を使用して練習をすることで、万一のときにどうしたらよいのかを、再度確認できたように感じます。今回は人工呼吸の練習はしませんでしたが、胸骨圧迫だけでもじゅうぶんに救命行為ができることを知れたのも、今回の講習の大きな収穫でした。
普通救命講習を受けて感じたこと
普通救命講習を受講するのは今回が2度目でしたが、最も感じたのは「1度の受講では意味がない」ということです。確かに、1度講習を受講すれば普通救命講習Ⅰを終えたという証明はいただけます。しかし、講習で得た知識や技術を日常的に生かす場はなかなかありません。ないに越したほうがよいのも事実です。
そこで、定期的に講習を受けることで、改めて救命行為の大切さを知り、手順を確認する、新たな知識を吸収し、情報を更新するといった行為が必要となってきます。
2~3年に一度の受講を推奨されている普通救命講習ですが、できれば毎年受講し、もしものときに備えられるとよいなと思いました。
コロナ禍で規模を縮小しての開催でしたが、普段出会わない方との出会いがあったのも、よかった点だと思います。看護師さんのグループや男性2人組、救命に興味があって参加をしたような雰囲気のご高齢の方々などがいらっしゃり、どの方も一生懸命話を聞いたり実技の練習をされていました。
今回も前回も、私はおそらく参加者のなかで年齢が低いほうでしたが、もっと若い世代にも救命に興味を持ち、積極的に講習に参加してもらえるような啓発活動をしていければいいな、と思っています。
今後、どのような講習に参加できる?
今後私が参加できるのは、「普通救命講習Ⅱ」「普通救命講習Ⅲ」「上級救命講習」などの講習です。我が家の息子たちはどんどん成長していますが、事故現場などに居合わせた際に、救命行為を必要としている方が必ずしも成人とは限りません。小さな命を救う学びも、していけたらと思います。
また、ボランティア団体での活動には応急手当普及員の資格もあると有利です。自身のスキルになることはもちろん、有資格者に教わるほうが安心という方も少なくありません。こちらの資格も取得し、ボランティア活動に積極的に参加していけるようになれたらいいなと、今回の講習を通して改めて感じました。
講習での学びをさまざまな場面で活用しよう
普通救命講習は、事故や病気で救命行為を必要とする方を助けるための知識や技術を学ぶことはもちろん、非常事態を引き起こさないための情報も提供してくださる貴重な場です。日常生活のなかにひそむ危険や病気について知りそれを回避すること、また万一のときに迅速に対応し命を救える可能性を高めるためにも、ぜひ多くの方に講習に参加してさまざまな知識や技術を身に着けていただきたいと思います。
実際に取得した技術を生かすことは、人生の中で1度あるかないかかもしれませんが、1人ひとりが救命に興味を持ち、「共助」の輪を広げていくことが大切です。その一歩を踏み出すことで、誰かの命が救われるかもしれません。今回の記事が、1人でも多くの方の参考になれば幸いです。