自分自身が災害に巻き込まれたときの対処法や備えなどについては考える方が増えていますが、「別の場所で災害が起こった時の支援」については、考えたことがあるでしょうか。被災地や被災者の方を支援する方法の1つに、災害ボランティアがあります。
今回は、災害ボランティアはどのような活動をするのか、どういった準備が必要なのかをご紹介します。災害ボランティア以外の被災地支援方法についても解説していますので、自分にできる支援について考えるきっかけになれば幸いです。
災害ボランティアとは被災地の復興・復旧のための支援活動
被災地が1日も早く元の状態に戻る、被災者の方がよりよい生活を送るためのお手伝いをすることを目的としているのが、災害ボランティアです。被災地支援といっても活動内容は非常に幅広く、さまざまな役割があります。
具体的なボランティア活動の内容
災害ボランティアの具体的な活動内容を見てみましょう。
・泥だし
・がれきの撤去・分別
・室内清掃
・引越しの手伝い
・炊き出し
・物資や衣類の仕分け
・イベント支援
・心のケア
・災害ボランティアセンター運営のお手伝い
がれき撤去などの力仕事はもちろん、裏での事務作業、被災者の方の心のケアまで、活動内容の種類は豊富にあります。体力がなければボランティアはできない、と思う方もいるかもしれませんが、体力に自信がないという方でも被災地のためにできることは多いです。
災害ボランティアとして活動するには
災害ボランティアとして活動するには、どういった手続きが必要なのでしょうか。4つのステップについて、1つずつ見ていきましょう。
①災害ボランティアセンターで受付
まずは、災害ボランティアセンターで受付をします。災害ボランティアセンターとは、災害が起こった際に社会福祉協議会を中心となり開設されるものです。被災地でのボランティア活動がスムーズに行われるための拠点となる場所で、個人ボランティアの受付をしています。
ここで、個人ボランティアとして登録を行うと、被災者のニーズに合った個人ボランティアが割り振られる仕組みです。災害ボランティアは、被災者はもちろん、登録者にとっても重要な役割を果たしているといえます。
②オリエンテーションを受ける
個人ボランティアとして登録し、被災地へ行くことが決定したら、活動内容に関するオリエンテーションを受けます。被災地での活動の注意事項について詳しい話を聞けますので、しっかりと説明に耳を傾けましょう。
地図や道具が用意されることもあります。
③現場で活動
オリエンテーションが終わったら、いよいよ現地での活動です。割り振られた仕事内容や役割をしっかりと果たせるよう、病気やケガなどに注意しましょう。
現地での活動で最も注意したいのは「被災者に寄り添った支援を行う」ということです。自身の経験での判断を押しつけるのは、被災者の方のためにはなりません。被災者の方がいまどういった立場で、どのような気持ちでいるのか、そのうえでどんな支援を求めているのかを考え、行動するようにしてください。
また、被災地にいって、体調不良や事故で被災地に負担をかけることは避けましょう。熱中症対策や寒さ対策を行うこと、事故の内容安全に作業をすること、もし不調などになったら早めに活動を切り上げることなども、被災地支援のためには必要です。
④活動後の報告も忘れずに
ボランティアは現地で活動をしたら終わり、ではありません。活動内容や被災地での活動の進捗はもちろん、被災者の様子、ボランティアを通して気づいたこと、感じたことなどをボランティアセンターのスタッフの方に報告するまでが、ボランティアです。
こうした報告は自身の経験を記録として残すことはもちろん、その後のボランティア活動にも活かされる重要なものになります。
被災地へ行くための準備
災害ボランティアとして活動したいと思ったら、被災地へ行くための準備を進めます。持ち物はもちろん、情報についてもしっかりと収集しておくと、現地での活動がスムーズです。
情報収集
まずは、被災地の状況について確認しましょう。何も情報を入手しないまま現地に駆けつけても、ボランティアを受けつけていない、まだまだ危険な状況で被災地から戻れないなどのトラブルにつながりかねません。
災害ボランティアについては全国社会福祉協議会のホームページやSNSで情報を発信していますので、被災地の状況を把握するとともに、ボランティア募集情報についても調べるようにしてください。
ちなみに、被災地の自治体に直接連絡するのはNGです。被災地では多くの方の命や安全を守るため、職員の方が日々緊急対応をしています。被災地に迷惑や負担をかけることになるので、必ず社会福祉協議会を通してボランティアを行うようにしましょう。
持ち物の準備
災害ボランティアとして被災地に行くことが決まったら、持ち物の準備を進めましょう。被災地に行くために必要な持ち物には、次のようなものがあります。
・着替え
・マスク
・タオル
・軍手、ゴム手袋
・ヘルメット、帽子
・長袖、長ズボン(作業用)
・防寒具や暑さ対策のアイテム
・常備薬、バンドエイドなど
・雨具
・アルコールジェルやシート
・スマートフォン、充電器
・ハブラシ、コップなどのエチケット用品
・メガネやコンタクトレンズ
・(女性)生理用品、化粧品
・筆記用具
・食べ物や飲み物 など
通常の宿泊に必要なグッズに加え、ボランティアの作業に必要なアイテムも忘れないようにしましょう。また、炊き出しや救援物資は被災者の方のためのものですから、自身の食糧は自分で用意することも、ボランティアにとって重要です。
宿泊先や交通手段、保険の加入も自分で行う
被災地へ行くための交通手段や現地での宿泊先についても、自身で手配する必要があります。こうした情報収集も、準備の1つであることを忘れてはいけません。
また、ボランティア活動中に怪我をしてしまう、余震などの二次災害に巻き込まれてしまう可能性も考慮し、保険加入もしておきましょう。保険加入のためには社会福祉協議会への登録が必要ですので、地域の社会福祉協議会に確認し、出発前日までに加入手続きを済ませておきます。
ちなみに加入した保険は年度内有効で、保険料は350円から710円くらいです。詳しい内容はこちらでチェックできます。
現場だけじゃない!被災地を救うボランティア
現地での災害ボランティアでしか被災地や被災者の方の支援ができない、と思うかもしれませんが、そんなことはありません。被災地へ足を運ばなくても、物資を送ることで被災者の方の生活を支えることもできます。
救援物資を送る際には、どういった点に注意すればよいのでしょうか。
救援物資を送る際の注意点
救援物資は何でもかんでも送ればよいというわけではありません。水が足りない、毛布や防寒具がほしいなど、被災地で必要なものは季節や被災した地域、被災状況などによっても異なります。救援物資を送る際は、現地で何を求めているのかを理解したうえで送るものを決めることが大切です。
救援物資として送られたものは、被災地で開封・仕分けが行われ、必要としている場所へ運ばれます。仕分けの手間がかかることはもちろん、物資を保管したり処分したりするのにもお金がかかることを念頭に置き、送るものを考えましょう。
具体的な救援物資が思いつかない場合には、現金での支援をするのも1つの方法です。無理に送れそうなものを探すのではなく、被災地を支えるために本当に役立つものは何かを考えてみてくださいね。
具体的な救援物資の内容
具体的にどういった救援物資が被災地で必要とされているのかを見てみましょう。
・食料品:おにぎり、パン類、カップ麺、飲料水、粉ミルク、缶詰、菓子類、お茶、飲料水など
・生活必需品:毛布、紙おむつ、生理用品、哺乳瓶、タオル、肌着、食器類、固定燃料、トイレットペーパー、ゴミ袋、ティッシュぺーパー、歯ブラシ、カセットボンベなど
このほかにも、季節や被災状況などで必要なものは異なります。現地の状況などを理解したうえで、支援物資を決めましょう。救援物資に関してはこちらで届け方や注意点などをご紹介していますので、チェックしてみてください。
災害ボランティアに関するQ&A
災害ボランティアについてさまざまな情報をお届けしました。最後に、災害ボランティアでよくある3つの質問をご紹介します。
被災地でのボランティアに年齢制限はある?
災害ボランティアには年齢制限は設けられていません。ボランティアをしたいという気持ちがあれば、誰でもボランティアとして活動できます。しかし、交通手段や宿泊費、食糧の調達などは自己負担・自己責任ですのでこれらをクリアできる人が、災害ボランティアに参加できると考えましょう。
年齢制限はないとはいえ、小さなこどもの参加は難しいです。災害ボランティアは年齢的には15,6歳以上、できれば大学生以上の方が参加すると、被災地にも迷惑が掛からず支援を行えるのではないでしょうか。
ボランティアの情報はどこで収集すればよい?
災害ボランティアに関する情報は、社会福祉協議会を中心に発信されています。このほか、テレビやラジオなどを使い、被災地の自治体が情報を発信していることもあります。
SNSやインターネットにもボランティア情報が掲載されていることもありますので、「災害 ボランティア」「●●市 災害 ボランティア」などのワードで検索してみるとよいのではないでしょうか。
ボランティアの際に心掛けたいことは?
災害ボランティアに行くときには、以下の6点を心掛けましょう。
・自分の身は自分で守ること
・被災者の立場に立った活動をすること
・自分で考えて行動すること
・集団行動のルールを守ること
・できないことを安請け合いしないこと
・お礼については災害ボランティアセンターに相談すること
被災地での行動は自己責任です。自身の身を守りながら、被災者の方の自立を支援する行動を考えましょう。また、できないことを安請け合いすると、トラブルに発展することもありますので、断る勇気を持つことも大切です。
災害ボランティアはあくまでもボランティアですので、被災地の方に「お礼をしたい」と言われても、独断で受けてはいけません。まずはお礼や報酬は必要がないことを説明し、それでも、という場合には災害ボランティアセンターに相談するようにしてください。
自分にできる支援で、被災地を助けよう
地震をはじめ、国内では多くの災害が起こっています。被災した地域や住民を支援するための災害ボランティアは、人々の生活を再建するために重要な役割を果たしますので、興味のある方はぜひ調べ、ボランティアに参加してみてください。
災害ボランティアだけでなく、救援物資や募金などでも被災地支援は可能です。被災地のために自分は何ができるのか、今一度考えてみてはいかがでしょうか。