地区防災計画とは?地域のみんなで防災について考えよう

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防災への興味・関心が高まるなか、地区防災計画にも注目が集まっています。自身で防災セットなどを用意するだけでなく、地域で一丸となり万一に備えることも大切です。

今回は、地区防災計画について計画の内容や計画の手順、実際に地区防災計画を作成した地域での効果などをご紹介します。地域を守る大切な役割を果たす計画を、ぜひ実践してみてはいかがでしょうか。

目次

地区防災計画とは街を守るために立てる防災計画

地区防災計画とは、災害が起こった際に地域の方が一丸となり、自分たちでまちを守るための計画です。日頃からどのような準備をすればよいか、万一に備えた役割分担をどうするか、災害を想定した訓練の内容などを自分たちで考え、実施するために欠かせません。

地区防災計画の重要性

地区防災計画がなぜ必要なのか、理由は大きく3つあります。1つはもし災害が起こった場合、助けてくれるのは近隣の方々だからです。実際、阪神・淡路大震災での救出者の割合を見てみると、一般的に「公助」と呼ばれる消防や警察、自衛隊による助けはおよそ23%で、残りの77%は近隣住民等によるものでした。

2つ目は、災害による被害を最小限に抑えるためです。災害が起こった場合に誰も取り残さず安全に避難するために、行政が「地域防災計画」というものを作っています。しかし、これだけでなく住民同士が話し合い作成する地区防災計画があると、よりきめ細かな救助や避難の方法などを考えることが可能です。

3つ目は、自助と共助の推進です。もしものときに自身の身を守ることを「自助」といいますが、これは1人ひとりの責任・義務として欠かせません。しかし、災害が起こった場合に1人ではどうにもできないこともあります。そんなとき、お互い助け合う「共助」があれば、人とのつながりのなかで不可能を可能にすることもできるのです。

どういった計画をするのか

災害を想定した地区防災計画では、具体的にどのように計画を練ればよいのでしょうか。大きく3つの方法で、よりよい計画を作っていくとよいです。

地区の特性に応じた計画

1つは地区の特性に応じた計画をすることです。自身が住んでいる町の特性を知り、どういった災害リスクがあるのかを把握しましょう。たとえば地震による津波が起こりやすい地域、大雨による土砂災害の危険がある地域、噴火や大雪などの影響を受けやすい地域など、住んでいる場所により特性は異なります。

特性を知ることで、適切な避難方法や救助方法を考えられ、それに向けた訓練や準備を進めることもできるでしょう。

地域コミュニティ

2つ目は地域コミュニティを主体とした取り組みです。災害の種類、そしてそれによる被害が多様化するなか、その地域やそこに住む住人1人ひとりに合わせた計画をするのが望ましいといわれています。

地区防災計画の「地区」の範囲設定や計画の内容は自由です。住民はもちろん、コミュニティのなかにある防災に関わる事業所や福祉施設などと一丸となって計画に取り組み、いざというときの助けをどうするか考えるのも、重要な計画だといえます。

地区防災力を向上させる計画

3つ目は、継続的に地域防災力を向上させられるような計画を進めていくことです。地区防災について地域住民が集まり、話し合うということが重要なので、はじめは大まかで簡単な計画でもかまいません。紙1枚から始めた計画も、訓練や準備を行っていくうちに、「これが足りない」「もっとこうしたほうがよい」という改善点が生まれてきます。

定期的な計画の見直しを繰り返すことで、地区防災計画はより充実したものへと成長・進化していきますので、計画・実行・見直しを怠らないようにしましょう。

地区防災計画の手順

地区防災計画の重要性や、どのように計画を立てていくとよいかがわかったら、具体的な計画の方法を知りましょう。地区防災計画の手順は、大きく5つのステップに分かれます。

対象範囲を決める

まずは「地区」の対象範囲を決めます。小学校区や商店街、マンションの住民同士、町内の方、町内をさらに細かく分けた数世帯など、地区の分け方はさまざまです。

対象範囲の定め方に迷ったら、防災士に相談するとよいでしょう。地域の防災士はこうした相談に乗ってくれますし、いない場合には近隣から防災士を派遣することも可能です。

地区の特性を知る

地区防災計画を立てる際には、はじめに地区の特性を知ることが重要です。特性は過去の災害や今後想定される災害などを見極めた「自然特性」と、住民の年齢層やどのような助け合いができるかという「社会特性」の大きく2つに分かれます。

特性を確認するには、災害図上訓練や防災まち歩き、避難所指定場所の実施確認などが有効です。地図をみながら想定される被災の範囲や危険地域をしっかりとチェックしましょう。

活動内容・役割分担を決める

どういった災害が起こるのかという目星をつけられたら、防災に向けてどういった活動をするか、役割分担をどうするのかを話し合います。活動内容は災害時と平常時の2つを決めていきましょう。

災害時の計画では、救出や避難誘導、応急手当、炊き出し、避難所開設等を誰がするのかという役割分担を決めておきます。実際に災害が起こった場合を想定し、役割を果たすための訓練をすることも忘れてはいけません。

平常時の計画では、防災教育やまちづくり、資材備蓄、さまざまな団体との連携協議などを継続的に見直し、改善を繰り返します。日常的に地域の住民で集まり防災について考え、話し合うことで、連携の取れた組織に向けて結束が強まるはずです。

計画案をまとめ、確認する

地区防災計画について話し合い、実現可能な計画が定まったら、今一度地区住民で確認しましょう。無関係な計画ではなく、自身にも大きくかかわる問題としてとらえ、計画案をまとめていくことが大切です。

市町村防災会議に提出

まとまった計画は、市町村の防災担当課に提出します。突然提出をしても問題があるわけではありませんが、あらかじめ「この範囲の地域で地区防災計画を立てます」といったことを報告、相談し、助言を受けながら計画を進めたり提出したりするとスムーズです。

地区での結束はもちろん、市町村との連携・コミュニケーションも大切にしていきましょう。

計画を作成した地区での効果は…

地区防災計画の作成を進めている地域は徐々に増加しています。実際に計画をした地域での効果には、次のようなものがあります。

地域について考える機会になった

地区防災計画を立てるにあたり、改めて自分の住む地域について見直し、考える機会になったという意見は多く耳にします。過去の災害を知る際には地域の歴史に触れることもあり、地域のよさを発見できることもあるようです。

役割が明確になった

立てられた計画に乗るのではなく、計画を立てる段階から参加することで、自身にどういった役割ができるのかが明確になります。地域住民が集まり話し合うことで、災害時はもちろん、日常的な地域活動の活性化にも結びついたという意見もありました。

安心感につながった

危険な場所を共有し、もしものときにどう助け合うかを決めておくことで、家庭内での備えを見直す機会を得られることもあります。また、困ったときに助け合える環境が身近にあることで安心感を覚えることができるのも、地域防災計画を立てるメリットです。

新しいネットワークが生まれた

同じ地域に住んでいるといっても、なかなか交流をする機会がないというケースも少なくありません。地区防災計画を立てる際の話し合いにより、新たな交流が生まれ、ネットワークの誕生・拡大につながることもあります。

地域全体で防災について考える機会を設けよう

日本防災士会が発行する地区防災計画に関するフリーペーパー

地域防災計画は、災害や災害時のさまざまな対応を「自分事」として捉えるため、そして地域の結束を高め万一のときにも安全な避難、より多くの方の救助を実現するための重要な要素となります。

地域全体で防災について考え、1人ひとりができることを考える貴重な機会となりますので、ぜひ積極的に計画に参加していきたいですね。

地区防災計画については、特定非営利活動法人 日本防災士会が作成の支援を行っています。防災の知識を持った人の助けも借りながら、よりよい計画を立てていきましょう。

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

大学・大学院にて日本語学を専攻。日本語教師を経て2018年よりライターに転身。子どもと学べる防災に関心を持ち、日々災害や備えについて勉強中。
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