こどもの誤飲・窒息事故を防ぐために!自宅でできる対策と緊急時の対処法

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日常生活のなかには危険も多く、特に赤ちゃんや小さなこどもは、思わぬものによって怪我や事故を引き起こします。大人は当たり前だと思う状況のなかにも、こどもにとっては多くの危険が潜んでいる場合もあるので、こどもとの暮らしのなかではさまざまな注意が必要です。

今回は、こどもの誤飲・窒息事故に関する話題をまとめました。子どもはどのようなものを誤飲するのか、誤飲や窒息の対策や対処法を解説します。また、筆者の周りで実際に起こった恐ろしい窒息事故についても、後半でご紹介します。

目次

過去に起こったこどもの誤飲・窒息事故

少し古いデータにはなりますが、平成29年度の消費者庁資料によると、5年間に起こったこどもの窒息死事故は623件。そのうち65%が0歳児です。次いで1歳児が11.7%、2歳児が5.5%、3歳児が2.9%となっています。

窒息の原因で最も多いのは就寝時の173件でしたが、103件が食品、46件が玩具等による誤飲です。平均すると年間30名近くの小さなこどもが、誤飲による窒息により亡くなっていることがわかります。

誤飲・窒息事故の原因となるものは

では、具体的にどのようなものを誤飲し、窒息を起こしてしまうのでしょうか。こどもが誤飲を起こしやすいものは大きく3つです。

小さなおもちゃ

こどものおもちゃの種類はさまざまで、年齢が上がれば上がるほど細かなパーツも増えてきます。ブロックやフィギュア、スーパーボール、人形遊びの道具や戦隊ロボットの武器なども、小さなものが多いですよね。

こうした小さなおもちゃを誤って口に入れてしまうと、窒息だけでなく気管などを傷つける原因にもなります。

ちなみに、子どもの口の大きさは小さく思えますが、3歳児で直径およそ4センチと、意外と大きめです。トミカなどのミニカーもすっぽりと入ってしまいますと、筆者も乳幼児の検診の際に保健士さんからお話を伺ったことがあります。

「これくらいなら大丈夫だろう」と思った大きさのものでも、実は誤飲の危険性がある場合もあるので注意しましょう。

食べ物

食べ物で誤飲をしやすいのは、ミニトマトやピーナッツ、あめ玉などの丸くて口に入りやすい大きさのものです。誤飲して気道をふさぎ窒息につながる場合もあります。

トマトなどは細かく切って提供する、あめ玉や豆類はある程度大きくなってから「あめは座って食べること」「豆類はよく噛んでから飲み込むこと」などのルールを設けてあげるようにすると、事故を防げます。

筆者の自宅でも息子たちへの飴の解禁は4歳から、棒についたタイプのもののみにしましたし、保育園では事故を防ぐため節分にも豆類は提供していません。また、お餅も窒息の恐れがある危険な食べ物なので「よく噛んで!!!」としつこいくらいに言って食べさせるようにしています。

文房具・その他

消しゴムやキャップなどの小さな文房具も、誤飲の危険性があるアイテムです。マーカーペンなどでお絵描きをする際は、必ず保護者の方がキャップを管理するようにしましょう。

このほか、硬貨やボタン、ボタン電池なども手元にあると誤って口に入れ、誤飲してしまう可能性があります。ボタン電池は飲み込むと特に大きな事故につながるので、絶対にこどもの手の届く場所に置かないようにしてください。

誤飲・窒息事故が起こった場合の症状

もしもこどもが何かを誤飲して窒息しまったら、具体的にどのような症状が現れるのでしょうか。異物が気道に入った場合、口に指を入れたりのどをおさえたりと、苦しそうな様子を見せます。

話しかけても声が出ない、苦しそうに呼吸をするなどの症状が見られたら誤飲の可能性が高いです。窒息すると急に顔色が青ざめることも多くあります。

窒息は短時間で死に関わる重大な症状に変わるため、注意が必要です。こどもの様子をよく観察し、適切な対処で命の危険を回避しましょう。

こどもの誤飲・窒息事故への対処法

こどもが異物を誤飲してしまった場合は、迅速に「119番通報」し、救急車を呼びます。救急車を待つあいだには異物を取り出すための応急処置を行ってください。

誤飲による窒息時の応急処置方法を見てみましょう。

背部叩打法

背部叩打法は、背中を強く叩いて異物を除去する方法です。1歳くらいまでの子どもが誤飲した場合には、この方法で異物を取り除きます。

やり方はこどもをうつ伏せにして片腕に乗せ、あごをしっかりと手で押さえます。そして、もう片方の手のひらで、背中を5,6回つよく叩くだけです。これを1セットとし、様子をみながら胸部突き上げ法とともに繰り返しましょう。

胸部突き上げ法

胸部突き上げ法は1歳までと1歳以上のこどもで方法が異なります。1歳までのこどもの場合は片手のうえに仰向けにして寝かせ、首・後頭部をしっかりと持ちましょう。そして心肺蘇生法と同じようなやり方で、胸の部分を5,6回圧迫します。

背部叩打法と繰り返し行う理由は、身体の向きや刺激する部分を変えることで、異物が体外に出やすくなるからです。様子を見ながら救急車が到着するまで、交互に繰り返しましょう。

ハイムリック法

1歳以上の子どもが誤飲による窒息を引き起こした場合には、ハイムリック法で異物を除去します。ハイムリック法は「腹部突き上げ法」ともいい、腹部を圧迫することで誤飲したものを身体の外に出す方法です。

ハイムリック法のやり方は、まず子どもを縦にして背後から両腕を回します。片手を握りこぶしにしてみぞおちに当てたら、もう一方の手をその上に当て、両手で持ち上げるように圧迫しましょう。

1歳以上はハイムリック法、といいましたが、幼児の場合は身体の大きさなどにより背部叩打法や胸部突き上げ法を行ってもかまいません。繰り返しても異物がとれない場合には、別のやり方を試すのも、1つの方法です。

こどもの誤飲・窒息を防ぐための対策

こどもがもし誤飲をしてしまったときには、迅速な対応で窒息死を防ぐことが重要ですが、そもそも誤飲をしないために、日頃から注意したいのはどのような点でしょうか。

口に入る大きさのものは手の届かない場所にしまう

まずは口に入る大きさのものを、こどもの手の届く場所に置かないことです。おもちゃは対象年齢に合ったものをあげるようにし、赤ちゃんや幼児に細かなパーツを渡さないようにしましょう。お菓子や文房具なども、「大丈夫だろう」と何気なく机の上などに置いておくと、少し目を離した隙に口に入れてしまうかもしれません。

こどもの行動は未知数で、大人が予想もしないことをする場合もありますので、高いところに置く、引き出しにしまうなどの工夫をすると安全です。

部屋を整理整頓する

部屋が散らかっていると、細かいものが落ちていても気付かない場合があります。ものが散乱している部屋は誤飲・窒息だけでなくほかの怪我や事故の可能性も高まってしまいますので、部屋を常にきれいに整頓しておくことも大切です。

おもちゃは決まった場所に置く、必要のないものは使わない部屋にしまっておく、足元にはものを置かない、細かなものは鍵のかかる部屋に持っていくなどの工夫で、こどもを危険から守りましょう。

引き出しにはロックをつける

いくら見える場所をきれいにしていても、引き出しの中に無造作にいろいろなものをしまっておくと、子どもが勝手に開けて誤飲をする、ハサミや尖ったものをだして怪我をするといった危険にさらされる場合があります。

引き出しにものをしまっておく場合には必ずロックをつけて、こどもが簡単に開けられないように対策をしましょう。

ちなみに引き出し用のロックは、西松屋やアカチャンホンポのような赤ちゃん用品店はもちろん、最近は100円ショップでも手軽に購入できます。

実際に起きた窒息事故の事例

さまざまな対策で、こどもを誤飲・窒息の危険から遠ざける必要性はご理解いただけたでしょうか?筆者の息子たちは幸い、いろいろなものを口に入れるタイプではなかったので、長男が2歳を過ぎ、次男が生後4か月を迎える頃までは徹底した対策を行っていませんでした。

しかしある日、次男と同じ月に生まれたお友達の赤ちゃんが窒息死をしてしまうという悲しい事件が起こってしまいます。

窒息の原因は、2歳のお姉ちゃんが哺乳瓶でミルクをあげるマネをして、赤ちゃんの口に病院で処方されるボトルタイプの目薬を入れたことによる誤飲・窒息でした。お母さんがミルクを作りにいっている数分のあいだに、ベッドサイドにあった目薬を口のなかに入れてしまったようです。

このときは知り合いのお子さんが亡くなったというショックと同時に、「我が家も対策を徹底しなければ、もしかしたら」という気持ちを抱いたことを覚えています。改めておもちゃを見たところ、おままごと用のスプーンやガチャガチャで当たった人形など、まだ2歳の長男が誤飲してしまいそうなもの、もしも次男の口に入れてしまったら危険なものがたくさんありました。

遅ればせながら我が家も対策を徹底し、よりこどもにとって安全な環境を提供することができました。こうした悲しい事故が少しでも減るよう、これから赤ちゃんを家族に迎える方はもちろん、現在赤ちゃんや小さなお子さまと一緒に生活をしている方も、改めて身の回りのものを見直して頂ければ幸いです。

正しい対策で誤飲・窒息を防ごう

誤飲による窒息は、こどもの命の危険に大きく関わる非常に危険な事故です。こどもの手の届く場所にいろいろなものを置かず、安全な生活環境を用意することで、お子さまはもちろん、保護者の方も「常に見張っていなければ」という緊張感やストレスから少し開放されます。

正しい対策で、悲しい事故を防いでいきましょう。

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

大学・大学院にて日本語学を専攻。日本語教師を経て2018年よりライターに転身。子どもと学べる防災に関心を持ち、日々災害や備えについて勉強中。
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