降灰(こうはい)予報とは?火山活動によるその他の影響や対策も知り、危険を回避!

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ライターの永野です!

3連休は父の実家、新潟県に行ってきました。

5年ぶりに訪れた伯父の家は全く変わらず、従兄たちも元気そうで何よりでした。田んぼに囲まれたまさに「ド」のつく田舎で、息子たちは楽しめるのだろうかと心配していましたが、トマトの収穫や犬の散歩、お絵かきなど、テレビやゲームがなくても満喫したようです。

父方の親戚の家には小学校低学年の頃までは毎年行っていたのに、習い事などで忙しくなり20年近く全く足を運ばず。その後は結婚と長男出産の報告で祖父に会いに行ったものの、次に訪れたのは祖父の納骨のときでした。

それからまた5年も空いてしまいましたが、伯父たちは温かく迎えてくれ、息子たちともたくさん遊んでくれました。「忙しい」を理由に、人と会うことを避けてしまうことも多い私。ですが、生きているうちにいろんな人に会ってご縁を大切にしていきたい、息子たちにもさまざまな土地でたくさんの経験をさせてあげたいと改めて思ったのでした。

親戚の家は下越にあり、岐阜県から向かう途中には「妙高山」の近くを通ります。標高2,454mの妙高山は、過去に4回の活動期があった「活火山」です。

前置きが長くなりましたが、今回のテーマは「降灰予報」。火山活動が起こった場合に降る火山灰についての予報です。火山灰の影響や対策とともに、降灰予報に関するさまざまな情報を確認しましょう。

目次

降灰(こうはい)予報とは

降灰予報は、火山噴火に伴いどれくらいの火山灰が降ってくるのかを伝える情報です。平成20年から、気象庁により発表されています。気象庁のサイトでは、日本地図から降灰予報が発表されている火山を確認できます。

こちらは、2023年7月20日14時時点の降灰予報です。火山噴火は起こっていないので、降灰予報の速報はなく、定時予報のみとなっています。定時、速報などの詳しい内容は後述します。

降灰量の階級は大きく3つ

降灰予報は3段階で、火山灰がどれくらいの量降ってくるかによって異なります。以下は、気象庁サイトより引用した階級の表です。

火山灰が降ってきて積もる量が0.1mmの場合は少量、0.1~1mm未満の場合はやや多量、1mmを超える場合は多量です。掲載されている写真からも分かる通り、多量な火山灰が降ってくると視界不良となり、地面は火山灰で覆われてしまいます。

降灰予報の変化

降灰予報の運用が開始されたのは、平成20年3月です。このときの降灰予報は、国内の火山において一定以上の噴火が発生した際に、6時間先までに降灰が予想される地域を発表するというものでした。

当時は地域に関する情報のみでしたが、研究が進み、降灰量についてもある程度予測できるようになってからは、より詳細な情報を伝える現在の形へと変化しています。新たな降灰予報が運用されるようになったのは、平成27年3月です。

新たな降灰予報では、「いつ・どこで・どのくらい」火山灰が降るかが予測されるようになったことに加え、噴火前・噴火直後・噴火後の3段階に分けて予報を発表することも可能となりました。さらに、以前の降灰予報は都道府県ごとの発表でしたが、市町村ごとに予報が発表されるように変化し、地域の方が降灰量について詳しく知り、安全な避難や降灰対策ができるよう考慮されています。

降灰予報情報はどのように発表される?

降灰予報は、「定時」「速報」「詳細」の大きく3段階に分かれています。それぞれどういった内容が、どのタイミングで発表されるのかを見ていきましょう。

定時

定時の降灰予報は、噴火警報発表中の火山に関する情報です。噴火により生活に影響を及ぼす降灰が予想される場合、2・5・8・11・14・17・20・23時の3時間おきに、18時間先までの予報が発表されます。提供される内容は噴火した際の降灰範囲や、小さな噴石の落下範囲です。

速報

速報は、「噴火に関する火山観測報」を受けた際に発表されるものです。定時の降灰予報が発表されている火山の場合は、「やや多量」以上の場合に速報情報も流れます。定時の降灰予報が未発表の火山が噴火する場合は、必要に応じて降灰量が少量と予測されても速報が流れる仕組みです。

速報は、事前計算された降灰予報結果から適切なものを抽出。噴火後5~10分程度と短時間で、噴火から1時間以内の降灰量分布、小さな噴石の落下範囲を発表します。

詳細

詳細な降灰予報は、噴火時刻や噴煙高などから、より細かな降灰予測計算をして発表されるものです。速報が発表された火山は、予測される降灰量に関わらず、詳細も発表されます。詳細な降灰予報は噴火後20~30分ほどで発表されるのが平均的です。噴火発生から6時間さきまで、1時間ごとの予想降灰量分布、降灰開始時刻などの情報が提供されます。

降灰予報が発表されたらどうする?

降灰予報も階級や種類によって、対応が異なります。前述の気象庁の表にも「影響ととるべき行動」が示されていますが、屋内にいる場合はまず窓を閉めましょう。屋外にいる場合はできるだけ屋内に避難すること、その際にマスクをすることなどが重要です。

その後は噴火状況や降灰量に応じて、適切な行動を取ることが求められます。火山噴火から経過した時間に応じて予想降灰量は増える可能性もあるため、気象庁の防災情報をはじめさまざまな災害情報をチェックして、迅速な対応ができるよう準備しておきましょう。

火山活動に関するその他の警報・予報

火山灰は火山が噴火すると降ってくるため、降灰予報の速報や詳細が発表されたら、その他の火山活動に関する警報や予報にも注意する必要があります。発令の可能性がある警報・予報は、大きく2つです。

噴火予報・警報

噴火予報・噴火警報は、火山噴火で重大な災害が起こる可能性がある場合に発表されます。噴火予報は火山活動は静穏なものの、活動状態が変化する危険性がある場合に注意を促すものです。

噴火警報は大きく2段階に分かれます。火砕流などが発生しても、居住地域まで到達することはないと予想された場合は、火口周辺警報や噴火警報(周辺海域)が発令されます。これは「警報」レベルですが、居住地域に到達すると予想された場合は「特別警報」レベルの噴火警報(居住地域)が発表される仕組みです。

火山ガス予報

火山噴火などにより、居住地域に生命を脅かす危険性のある有毒な火山ガスが滞留すると予想されると、「火山ガス予報」が発表されます。運用を開始したのは平成20年3月31日からで、現在も変わらず三宅島のみが対象となっています。しかし、今後ほかの火山も対象となる可能性があるため、油断は禁物です。

火山灰による影響と対策

火山噴火などによって火山灰が降ってくると、さまざまな影響を及ぼします。想定される被害や、火山灰への対策について、改めて確認しましょう。

火山灰による被害

降灰量にもよりますが、火山灰が降ると「交通網の麻痺」「生活への影響」「人体への影響」の大きく3つの被害が予想されます。火山灰が道路に積もると、スリップしやすいため危険です。また、火山灰が降ると昼間でも辺りが暗くなり、視界不良になるため事故が起こりやすくなります。

生活に支障を来す可能性があるのも、火山灰の危険な点です。ライフラインが停止したり、作物の成長に影響を及ぼしたり、家屋が損傷したりと、想定される被害は少なくありません。さらに、火山灰を吸い込んでしまう、目に入るといったことが起こると人体への影響も懸念されます。

降灰前の対策

火山噴火や降灰が起こっても正しい行動を取るには、日頃からの備えが欠かせません。活火山が近くにある方は、噴火の可能性について事前に知っておく必要があります。また、気象庁の噴火予報などもこまめにチェックしましょう。

自宅から出られないことも想定し、1週間分くらいの保存食を用意しておくことも大切だといえます。降灰中の避難も想定し、防災グッズにはマスクやゴーグルなど、火山灰から身を守るグッズも加えておくと安心です。

降灰中の対策

頻繁に噴火が起こっている地域でない限り、火山灰が降ってくる機会はなかなかありません。慣れない状況に慌てることがあるかもしれませんが、降灰中は落ち着いた行動を心がけましょう。

できるだけ外にはでないこと、情報収集を行い待機・避難などの指示に従うこと、コンタクトレンズをしている方は外してメガネに替えることなど、注意したいポイントは多数あります。

降灰後の処理方法

積もった火山灰は、砂やホコリのように風で飛んでいくわけではありません。放っておくとさまざまな悪影響を及ぼすこともあるため、地域の方で協力しての除去が必要となります。

作業時には防塵マスクとゴーグルをすること、複数人で作業すること、集めた火山灰は自治体ごとに決められた方法で処分することなどを意識して、安全に処理しましょう。

火山灰対策に関しては、以下の記事で詳しくまとめていますので、こちらも参考にしてください。

火山灰以外に注意したい噴火による被害

小さな日本のなかには100以上の活火山があります。長年噴火していない火山もありますが、いつまた噴火が起こるかは分かりません。噴火が起こると、降灰以外にもさまざまな被害を及ぼします。火山灰以外に想定される噴火の被害は、以下の通りです。

・噴石:噴火により火口から岩石が吹き飛ばされる
・火砕流:放出された破片状の個体と火山ガス等が混合して地表に沿って現われる
・融雪型火山泥流:火山を覆う雪や氷が火山活動で溶かされ、火山噴出物と混合して流れる
・溶岩流:溶けた岩石が地表を流れる
・火山ガス:火山活動で高温のガスが噴出する など

これらは周辺地域の建造物に影響を及ぼし、人命に関わる被害をもたらすこともあります。火山灰ももちろん危険ですが、さまざまな被害から身を守るためにも、噴火が起こったら外出を控えること、必要に応じて安全に避難することを心がけましょう。

正しい知識を持って降灰予報をチェックしよう

降灰予報は、火山活動により降ってくる火山灰の量や降灰地域を予想し、提供される情報です。定時の降灰予報が発表されている地域の方はもちろんですが、急な火山活動で降灰が起こる可能性も考慮し、近くに活火山がある方は正しい知識を持って情報の確認を行ってください。

安全に待機・避難するための対策についても今一度確認し、もしものときに冷静に対応できるようにしましょう。

編集後記

岐阜県の活火山について調べたところ、御嶽山、白山、乗鞍岳、焼岳という4つの活火山があることがわかりました。どれも飛騨地方といって岐阜県の半分から上に位置しており、3つは長野県との境界に、白山のみ石川県との境界にあるようです。

私は愛知県寄り、地図で見ると右下の地域に住んでいるので直接的な被害はまずないといえます。しかし火山灰はときに数百キロ以上も風に流されるので、もし県内の活火山で噴火が起こったら、火山灰には警戒する必要があるでしょう。

どこか「他人事」のように感じていた自分を反省しつつ、もしものときに備えてゴーグルやマスクぐらいは用意しておかないとなと、改めて気を引き締めるのでした。

参考サイト

政府広報オンライン
・気象庁:主な火山被害
・Wikipedia:降灰予報
・Wikipedia:噴火警報
・Wikipedia:火山ガス予報

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

大学・大学院にて日本語学を専攻。日本語教師を経て2018年よりライターに転身。子どもと学べる防災に関心を持ち、日々災害や備えについて勉強中。
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