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チョークサインとは?異物除去には腹部突き上げ法などが有効!
日常生活のなかで、突然命に関わるような事故が起こるケースは少なくありません。交通事故のような大きなものはもちろんですが、食べ物が詰まるといった些細なことも、窒息などを引き起こす可能性があるため危険です。
そんなときに見られるのが「チョークサイン」です。耳慣れないという方もいるかもしれませんが、チョークサインは窒息による事故を防ぐために非常に重要なサインですので、小さなお子さまやお年寄りが身近にいる場合はぜひ覚えておいてほしいものです。
今回は、チョークサインとは何か、身近にいる人が窒息した場合の対処法などをご紹介します。また、小さなお子さま、高齢者の窒息時の対応、窒息防止のためにできることも解説しますので、ぜひ職場やご家庭での参考にしてみてください。
チョークサインとは「窒息時に見られる身振り」
チョークサインとは、気道に異物が詰まり窒息した際に、無意識に親指と人差し指で自身ののどをつかむ様子をいいます。チョークサインの「チョーク」は英語の「choke(チョーク)」です。息が詰まる、呼吸ができない、むせるといった意味があります。
異物がのどに詰まり息ができなくなると、せき込む、呼吸音がおかしくなるといった異変を見せる人が多いです。この場合はまだ気道に若干の余裕がありますが、完全に気道が詰まると声が出せなくなるため、のどをつかみ「チョークサイン」をみせます。
チョークサインは世界共通の「窒息のサイン」ですので、覚えておきましょう。
窒息時の特徴
窒息時にはチョークサインを見せる、せき込むなどのほか、以下のような異変が見られることもあります。
- 少し前まで普通に話していたのに急に静かになる
- 急に動作が止まる
- 胸を叩いて苦しそうな様子を見せる
- 顔色が悪くなる
- ぐったりとして意識を失う
窒息した場合は迅速に窒息を解消し、呼吸ができるようにしなければ生死に関わることもあります。窒息が疑われるような異変が見られた場合には、救急車を呼び、到着までにできる対処をするようにしましょう。
窒息時には腹部突き上げ法を
窒息が疑われる場合には、まず意識があるかどうかを確認します。意識があり、自分で咳をしているときは、できるだけ自身で咳をしてもらいましょう。咳は気道に詰まっている異物を除去するのに有効です。
意識はあるものの、気道に完全に異物が詰まり咳も呼吸もできない様子であれば、腹部突き上げ法を試します。
腹部突き上げ法の手順
腹部突き上げ法の手順は以下の通りです。
- 窒息している人を背後から両手で抱きかかえる
- 片方の手をグーにし、親指側をみぞおちの少し下に当てる
- もう片方の手でグーにした手を握る
- 内側斜め上に突き上げるイメージで押す
腹部突き上げ法の注意点
腹部突き上げ法をする際は、窒息の様子や意識の有無を見ながら必要に応じて6回から10回程度行います。また、腹部突き上げ法は内臓を損傷する可能性もありますので、実施した場合は救急隊員にその旨を伝えるようにしてください。
ちなみに、腹部突き上げ法を小さな子どもや妊婦さんにするのは危険です。また、肥満の人は腹部突き上げ法を試しても効果が薄いこともありますので、このような方々の場合は背部叩打法を試すことをおすすめします。
難しい場合は「背部叩打法」も試そう
腹部突き上げ法ができない方が窒息している、また腹部突き上げ法をしても異物が除去できないといった場合には、背部叩打法も行います。背部叩打法の手順は以下の通りです。
- 窒息している人を前かがみにさせる(立っても座ってもよい)
- 「背中を叩いて異物を除去します」と伝える
- みぞおちの裏側辺りを手のひらの下部分で強く、何度も叩く
突然うしろから強く叩かれるとびっくりしてしまうので、必ず背中を叩くことを伝えましょう。背部叩打法は異物が取れるまで続けますが、背部叩打法でも取れない場合は腹部突き上げ法も交互に試します。
意識がない場合は
窒息した人の意識がない場合や、腹部突き上げ法、背部叩打法を試しているあいだに意識を失ってしまったときには、心肺蘇生法をします。
もし人工呼吸や胸骨圧迫の途中で口から異物が出てきた場合は、素早く取り除きましょう。見えない場合には、無理に口のなかに手を入れ書き出す必要はありません。
意識がない場合は救急車が到着するまで、心肺蘇生法、必要に応じてAEDも使用します。心肺蘇生法の詳しい方法については、応急処置の方法に関する記事もご参照ください。
子どもが窒息した場合はどう対処する?
小さな子どもは気道も大人より狭いため、ものが詰まり窒息しやすいです。子どもが窒息した場合は1歳を超えているかどうかで対処法を変えます。ただし、成長には個人差がありますので、体の大きさによっても臨機応変に対応を変えるようにしましょう。
1歳未満の乳児の窒息時の対応
1歳未満の乳児の場合は、腹部突き上げ法はせず、背部叩打法のみ行います。乳児の背部叩打法の方法は次の通りです。
- 椅子に座り、乳児を片腕にうつ伏せにしてのせる
- 頭を低くし、手のひらであごを支える
- もう片方の手で背中の中心を強く叩く
乳児の場合も意識がない場合は、心肺蘇生法に切り替えましょう。
1歳以上の子どもの窒素時の対応
1歳以上の子どもには大人と同様、腹部突き上げ法、必要に応じて背部叩打法を行います。
子どもは大人以上に腹部突き上げ法で内臓を損傷する恐れがありますので、異物が取り除けても必ず病院を受診するようにしてください。
子どもの窒息防止のためにできることは
子どもが窒息を起こす1番の原因は「食べ物」ですので、窒息を避けるために食べ物の工夫をすることも大切です。以下のような丸いものや飲み込みづらいもの、噛み切りにくいものなどは小さくする、与えないといった選択肢もあります。
- キャンディ
- ラムネ
- 落花生などの豆類
- ぶどう
- ミニトマト
- さくらんぼ
- こんにゃく
- いか
- りんご
- もち
- だんご
- パン
- おにぎり など
また、ミニカーほどの大きさのおもちゃは、子どもの気道にすっぽりはまってしまいます。小さなお子さまが誤飲する可能性のあるおもちゃも、窒息の危険があることを覚えておきましょう。
高齢者の窒息時はどうする?
高齢者が窒息した場合には、腹部突き上げ法、背部叩打法の両方で異物を除去しますが、高齢者は骨や内臓が弱っていることも多いので、できれば背部叩打法を優先的に行うとよいです。
また、入れ歯をしている高齢者は、可能であれば異物除去の前に入れ歯を外しておくと、入れ歯を誤飲してしまう恐れを解消できます。
高齢者の窒息を防止するには
東京消防庁のデータによると、窒息した高齢者のうち、3割近くは重篤な状態になったり死亡したりと、命の危険にさらされています。高齢者の窒息の原因は食べ物以外にも薬や入れ歯、食べ物の包み紙、洗剤と非常に幅広いため、多方面に注意が必要です。
食べ物関係の窒息を防ぐためには細かく刻む、とろみをつける、お餅を食べさせないといった工夫をします。また、薬も服薬ゼリーなどで飲みやすくすると、窒息を避けることができるでしょう。
食べ物以外の誤飲による窒息を避けるためには、こまめに部屋を掃除する、手の届く場所にいろいろなものを置かない、入れ歯の管理などを代わりにするといった生活の工夫も必要です。
チョークサインを見逃さず、大切な命を守ろう
チョークサインは世界共通の「窒息のサイン」です。チョークサインをしている人を見たら救急車の手配や意識の確認などを行い、必要に応じて腹部突き上げ法や背部叩打法を試します。
小さな子どもや高齢者が身近にいる場合は、窒息を起こさないための環境や食を実現するための工夫をし、安全に生活ができるようにしましょう。