「やっと無事だってわかった」。これは筆者の友人の言葉です。
東日本大震災で連絡がとれず心配がつのるなか、友人は災害用伝言板のことを思い出し、筆者が登録していたメッセージを確認してくれたのです。
このように災害用伝言板は災害時の連絡手段として欠かせないものですが、今回ご紹介する「j-anpi(安否情報まとめて検索)」もさらに便利なツールです。
災害時の連絡手段はひとつではなく、複数のツールを知っておくことも大切です。ぜひ一緒に学びましょう。
「j-anpi(安否情報まとめて検索)」は点在する情報源のデータを一括検索できる
j-anpi(安否情報まとめて検索)とは、携帯電話会社や自治体などの各情報源がもっている安否情報を集約・提供しているシステムです。
私たちはそれぞれの情報源にアクセスしなくても、j-anpi(安否情報まとめて検索)をつかうことで一度に検索し、安否情報を確認することが可能になるのです。
一方、安否情報の登録は各情報源にすることになります。
そこではじめに、この情報源について簡単にみていきましょう。
主に4つの情報源のデータを検索できる
j-anpi(安否情報まとめて検索)では、次の情報源からの安否情報が検索できます。
➀ WEB171
➁ 災害用伝言板
③ Googleパーソンファインダー
④その他(J-anpiと協定を締結している自治体・企業など)
ではそれぞれの情報源についてみてみましょう。
WEB171・災害用伝言板
「WEB171」はNTT東・西日本が、「災害用伝言板」は各携帯電話会社が災害発生時に提供しているものです。
「WEB171」はサイトにアクセスし、電話番号をつかって伝言を登録(または確認)することができます。
「災害用伝言板」も同じく電話番号をつかいますが、専用のアプリまたは携帯電話からアクセスします。近年では、スマートフォンを購入したとき、すでにインストールされているので、一度チェックしてみましょう。
◆「WEB171」「災害用伝言板」について、詳しくは本サイト内の記事をご覧ください。
Googleパーソンファインダー
「Googleパーソンファインダー(安否情報)」は、その名のとおりGoogle(グーグル)が提供しているサービスです。
「人を探している」と「安否情報を提供する」にわかれており、名前または電話番号で利用することができます。
Googleパーソンファインダーは他のツールと比べてより多くの言語に対応しています。
WEB171は「日本語・英語・韓国語・中国語」、災害用伝言板では「日本語・英語」対応のため、それ以外を母語とする方は、こちらを使うのがよいかもしれませんね。
連携している自治体は8ヶ所(2023年2月5日時点)
情報源である自治体・企業等に、個人が安否情報を登録することはできませんが、j-anpi(安否情報まとめて検索)の仕組みを理解するには必要と思われるので、自治体をとりあげて解説します。
j-anpi(安否情報まとめて検索)と協定を締結している自治体は、ホームページに検索窓を設置したり、災害時に避難者の安否情報等を提供します。
東日本大震災では、家族の安否をもとめて「避難所を何カ所も歩き回る」ということがありましたが、j-anpi(安否情報まとめて検索)で安否がわかれば、このようなことも少なくなるでしょう。
また、避難者の情報がわかるということは、「無事を確認」するだけでなく「安否不明な方の捜索活動につなげる」という側面もあるのではないでしょうか。
協定を締結している自治体は、次のとおりです(2023年2月5日時点)。
東京都、千葉市、兵庫県猪名川町、千葉県市川市、千葉県流山市、兵庫県西宮市、大阪府河内長野市、神奈川県横浜市
ここまで、j-anpi(安否情報まとめて検索)で検索することができる情報源についてみてきました。
「j-anpi(安否情報まとめて検索)」の使い方を体験!
ここからは、実際の画面を確認しながら、「j-anpi(安否情報まとめて検索)」の使い方をみていきましょう。
安否を知りたい人の「名前」か「電話番号」で検索
下の画像は、執筆時点(2023年2月5日)体験版として提供されているものです。
安否を知りたい相手の「名前」または「電話番号」で検索します。
では、体験版をつかって解説します。
登録日時・名前・登録情報・情報元がわかる
ためすことができる相手の名前は、“安否 一郎”となっているので、まずは“安否”で検索してみました。
すると、1件の安否情報(登録日時・お名前・登録情報・情報元)が表示されました。
次に、平仮名“あんぴ”で検索してみるとどうでしょう。
条件の絞り込み検索ができる
平仮名で検索したところ、画面上部に3件の情報(おおよその住所と年齢)が表示されました。
この情報だけで判断できるかもしれませんが、さらに絞り込み検索(名前/かな・漢字、電話番号、住所、性別、年齢、メールアドレス)が可能になっています。
安否を知りたい相手の名前が漢字でわからなくても、このように絞り込んで検索できるのも、j-anpi(安否情報まとめて検索)の便利な点といえるでしょう。
使い方などは下記の動画でも解説しているので、ぜひご覧ください。
◆ j-anpiについて詳しくはこちら
J-anpiのご紹介(ご利用方法)(約4分40秒)
◆ 自治体・企業の方はこちら
J-anpiのご紹介(自治体様・企業様向け)(8分40秒)
◆ j-anpi(安否情報まとめて検索)の概要やご利用条件などは、こちらから確認できます。
まとめ|j-anpi(安否情報まとめて検索)で災害時の不安を減らそう
今回は、災害時に安否情報がまとめて検索できる「j-anpi(安否情報まとめて検索)」についてお伝えしました。
「WEB171」など災害時に安否情報を登録(または確認)する各ツールもそれぞれに役立つものですが、「複数の情報源にある安否情報をまとめて知ることができる」のが、j-anpi(安否情報まとめて検索)の便利なところです。
一方、スマートフォンの操作が不慣れなど、それらの各ツールに自分の安否情報を登録することができない(または難しい)という方もいます。そのようなとき、自治体が提供する避難者の情報は、ご本人そしてご家族の安心へとつながります。
このような点からも、より多くの自治体・企業等が、j-anpi(安否情報まとめて検索)と連携することが求められるでしょう。
本記事をとおして、より多くの方が「j-anpi(安否情報まとめて検索)」について知り、災害時の不安を少しでも減らす取り組みへつながることができれば幸いです。
(以上)