虐待とはむごいあつかいをすること~親ができる虐待予防策とは?

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生涯にわたり影響をおよぼすこともある子どもへの虐待。

虐待をうけている子どもの日々は、日常といえども過酷な時間を過ごしています。 

今回は「児童虐待」をとりあげて、虐待とはなにか?どのような行為が虐待になるのか?具体例をあげながら解説します。

また、相談員として勤務経験のある筆者が『虐待してしまった(虐待しているかもしれない・・・)』と悩む方にむけて、「虐待を止めるヒントになるかもしれないこと」をおつたえします。

ぜひ最後までご覧ください。

目次

虐待とは単に「ひどい」だけの行為ではない

虐待とは、どのように定義されているのかコトバンクで調べたところ「残酷に取り扱うこと」「むごい扱いをすること」とありました。

つまり、虐待とは単に“ひどい”のではなく、それよりはるかに大きなダメージを相手に与える行為と言えるでしょう。

子どもから大人まで・動物も対象

虐待が問題となっているのは、子どもだけでなく高齢者や障害者でも同様です。さらに、人間だけでなく、動物にもおこなわれているのです。

対象は異なるものの、どのような行為が虐待にあたるかに大きなちがいはありません。動物虐待の場合、言葉による虐待はないものの、世話をしなかったり体を傷つける行為が虐待にあたるのは人間と同様です。

これらは、それぞれ法律(通称:児童虐待防止法、高齢者虐待防止法、障害者虐待防止法・動物愛護法によって、虐待行為が禁じられています

虐待の定義を確認したところで、次は赤ちゃん(子ども)に対する虐待について見ていきましょう。

児童虐待とは~4つの種類ごとに具体的行為を解説~

虐待という言葉を聞いたとき、「赤ちゃん(子ども)への虐待」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。赤ちゃん(子ども)への虐待は児童虐待とよばれ、児童虐待防止法で禁止されています。児童とは、18歳に満たない人のことを指しています。

虐待で1年間に亡くなった赤ちゃん(子ども)は77人

虐待によって子どもが亡くなったことが、テレビやニュースで取り上げられることがあります。

事実、2020年(令和2年)4月1日から2021年(令和3年)3月31日までに、心中をふくむ虐待で亡くなった赤ちゃん(子ども)の数は「77人」にものぼっています。

【参考文献】厚生労働省:(速報値)令和3年度児童虐待相談対応件数:8頁

それでは、児童虐待とはどのような行為なのか、その4つのパターンを解説します。なお、お伝えする順番は、令和3年度に児童相談所が対応した件数が多いものからとなっています。

「心理的虐待」精神的苦痛・DVをみた

心理的虐待とは、子どもの心を傷つける行為であり、子どもに精神的苦痛をもたらします

「いなくなれ!」「死ね!」など、大人がカッとなって言ってしまったとしても、自分の存在を否定されたと感じた子どもの心(精神)は、深く傷つきます。

さらに、子どもがDV(ドメスティック・バイオレンス)を見ることは、脳にダメージをもたらすことがわかっています。

心理的虐待の例

・言葉や刃物によって脅し恐怖を与える

・自尊心を傷つける言葉をくり返す

・子どもを拒否したり無視する

・兄弟間でいちじるしく差別する

・子どもの前で家族に暴力をふるう(子どもがDVを目撃) など

「身体的虐待」愛のむちはない

身体的虐待とは、子どもの身体を傷つける行為のことです。虐待している親のなかには「子どもが悪いことをしたから、躾(しつけ)として叩いている」と話す人もいます。昔はあたりまえだったかもしれませんが、現在では、子どもへの暴力は成長によくない影響を与えることが、科学的データによっても明らかになっています。

厚生労働省は「愛の鞭(むち)ゼロ作戦」をすすめ、暴力せずに子どもを育てるポイントなどをリーフレットで示しています。

身体的虐待の例

・叩く、殴る、蹴る、首を絞める

・タバコやアイロンを体に押し付ける

・熱湯をかけやけどさせる

・おぼれさせる

・外に閉め出し家に入れさせない など

「ネグレクト」必要な世話をしない

ネグレクトとは、子どもにとって必要な世話をしなかったり、危険な状態を避けて守らない(保護しない)といった育児放棄のことです。

子どもを「暑い車内に閉じ込めたまま親がパチンコ」をしたり、「家に置き去りにして外出する」などもネグレクトにあたります。また最近ニュースなどで取りあげられる「ヤングケアラー」の背景にネグレクトがあることも指摘されています。
※ヤングケアラーについては、こちら(厚生労働省のサイト)から確認できます。

ネグレクトの例

・衣服や体を不潔な状態のままにする 

・食事を与えない

・子どもを自動車や家に置き去りする 

・治療の必要があるのに病院へ連れて行かない(医療ネグレクト) など

「性的虐待」プライベートゾーンは触らせない

性的虐待とは、子どもに性的行為をすることだけなく、写真などの被写体にすることも含まれます。

性的虐待は表面化されにくく、とくに年齢が小さい子どもの場合には、性的虐待にあたるとわからないこともあります。そのため、小さい頃から「プライベートゾーン(水着で隠れる部分と口)は他の人に触らせない」ことを教えるなど、性教育の充実が必要といえるでしょう。

性的虐待の例

・子どもへ性的行為をする

・子どもに性器を触らせたり、性行為を見せる

・性的な目的で写真や動画を撮る など

ここまで、児童虐待における4つのパターンをお伝えしました。虐待は、どれかひとつだけとは限らず、いくつか重複しておこなわれる場合もあります。

高齢者虐待や障害者虐待の場合には、このほかに「経済的虐待」が加わります。経済的虐待とは、金銭や財産を同意がないのに勝手に使ったり、本人がそれらを使うことを理由なく制限することです。

では次に、「虐待してしまった」「虐待してしまいそう・・」と悩んでいる人にむけて、虐待を止めて(防いで)子どもと自分を守るためにできることは何か、を考えてみたいと思います。

虐待はダメな行為だけど、子育ての大変さは相談していい 

虐待はやってはいけない行為です。

ですが「なぜ虐待をしてしまうのか、してしまったのか」を紐解いていくと、そこには虐待している親だけでなく虐待していない親にも理解できる『共通の子育ての悩み』があることもあります。また、虐待している親自身が育ってきた環境が影響していることも

虐待している・していないに関わらず、子育てに必要なサポートはうけていいのです。

共感・サポートしてくれる人はいる

そのサポートとは、子どもに関することだけでなく、親のメンタルや生活に関わるサポートでもよいのです。

市町村(市役所・役場)や児童相談所には、そのための情報がたくさんあります。もしかしたら、そのサービスを利用したら、今の大変さが半分になるかもしれないのです。だから、市町村や児童相談所では、子育て中の人にむけて“気軽に相談して”と必死に訴えているのです。

「相談しても無駄」とあきらめない

子育て相談に限ったことではありませんが、勇気をだして相談したものの「自分が思っていたような答えや、サポートが受けられなかった」という場合があるかもしれませんね。

そんなとき、「やっぱり相談しても無駄」とすぐにあきらめないでほしいと思うのです。

子育て中の人をサポートしようと活動している人は、市町村や児童相談所だけでなく、民間団体・NPOにもたくさんあります。

また、第一印象が悪くても、何度か話をしているうちに打ち解けてくることもありますし、それでもダメなときは「ほかの人の意見も聞きたい」などと言って別の相談員に話してみるのはどうでしょう。または、ほかの団体に連絡してみるのもよいですね。

子どもがすぐ引き離されるとはかぎらない

虐待している人のなかには、それが知られてしまうと「子どもが(児童相談所に)連れていかれるのでは・・」と心配する人もいます。

ですが、虐待の通報をうけたとき児童相談所が(48時間以内に)しなければいけないのは、子どもの状態を確認することであって、一時保護ではありません(状況によってはすぐに必要な場合もあります)。一時保護されることを懸念して、相談するのをためらう必要はないのです。

ダイヤル「189」都合がよいときいつでも電話

児童相談所には虐待の対応専用ダイヤル「189(いちはやく)」があります。

この番号は、虐待の通報先としてだけではなく、「子育てがつらい・・」「虐待をしてしまいそう」と悩んでいる親自身も利用できるものです。

24時間対応のため、自分の都合がよい時間に電話をかけることができます。「こんなことくらいで・・」などと思わず気軽に利用するとよいでしょう。

児童相談所 虐待対応ダイヤル
 189(いちはやく)通話料無料・24時間対応

相談ではなく「遊ぶため」に通いつづける

ここまでは「相談すること」を前提に話をすすめてきました。

ですが、自分が困っていることや悩みを、人に話すのに抵抗がある人もいます。また「相談に来てって言われると、逆に行きづらくなる・・」という人もいるのではないでしょうか。

そういった場合は「子育て支援センター(※地域によって名称はさまざま)」や「児童館・児童センター」に遊びに行ってみるのも良いでしょう。何気ないおしゃべりから子育ての悩みを話すことができるかもしれません。そして、通いつづけることによって、スタッフが子どものいろいろな面に気づき、親御さんの話をより理解しやすくなるでしょう。

虐待通報をうけて自宅にやってきた人は子どもと親を守る人たち

児童相談所が対応した虐待の相談件数(全体)は、年々増加しています。それには「虐待されているのでは?」と通報する人が増えたことも関係していると言われています。

一方で、親の立場からすると、子どもが大声で泣いていただけで「虐待していると思われるかも知れない」と気になり、「泣かせないようにしよう」といったストレスを生んでしまうこともあるでしょう。

ましてや、通報をうけた市町村・児童相談所の職員が自宅をおとずれてきたら、自分の子育てを否定されたような気持ちになったり、もし虐待していた場合には、それを隠そうという気持ちが沸くのが自然かもしれません

ですが、その人たちは子どもと親を守る人たちです。おとずれた人たちが職場にもどれば、さらにもっとたくさんの人が子どもと親をサポートしようと働いています。

最悪な出会いと感じるかもしれませんが、長い子育て期間をいっしょに走ってくれるパートナーになる可能性をもっています。ただ追い返すより、ちょっとでも、子育てのグチをぶつけてみるのも悪くないかもしれませんね。  

【参考文献】

厚生労働省「189(いちはやく)」

認定特定非営利活動法人 児童虐待防止全国ネットワーク「子ども虐待とは」

東洋経済ONLINE「実は激増「夫婦喧嘩が児童虐待になる」衝撃事実 7年で8倍!脳にダメージ与える「面前DV」

厚生労働省 e-ヘルスネット「ネグレクト」

第二東京弁護士会「高齢者虐待、障害者虐待を防ぎましょう」

(以上)

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

東北出身&在住フリーライター。
広告代理店・NPO・行政で勤務後、在宅ワーカーに転身。
妊娠中に東日本大震災に遭い、津波から避難・仮設住宅で子育てをする。
本サイトでは「命を守るために知っておきたいこと」「日常に潜むリスクへの備え」などについて発信します。
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