渇水による取水・給水制限を解説~渇水情報をチェックして断水に備える

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渇水とは「水源の水不足」です。水源が水不足と聞くと、断水になるのでは?と心配になりますね。
ですが、渇水だからといって、すぐ断水になるわけではありません。もちろん、節水を心掛ける必要はありますが、渇水の影響を正しく知っておくことも大切でしょう。

そこで今回は、渇水にともなう「取水制限」と「給水制限」の違いを解説し、渇水情報をチェックできるサイトをご紹介します。

さらに、渇水をまねきやすい日本ならではの特徴があり、それは、これからむかえる梅雨や台風とも大きく関係します。
ぜひ渇水について学び、渇水がもたらすかもしれない断水に備えてみませんか。

目次

水が家庭に届く仕組みから「取水制限」「給水制限」をわかりやすく解説

繰り返しますが、渇水とは「川や湖沼(こしょう)といった水源の水不足」です

渇水の影響を知るため、まずは家庭に水が届くまでの流れを簡単に確認します。

そうすることで「取水制限」「給水制限」の意味がわかりやすくなります。

下のイラストを見てみましょう。

出典元:政府広報オンライン『飲み水はどこから?使った水はどこへ?暮らしを支える「水の循環」』

わたしたちが普段つかっている水は、もともと川の水です。川から水を取り込み、取水場・浄水場・配水池を経由して、家庭の蛇口からでてきます。
まとめると次のようになります。

蛇口から水がでるまでの流れ
<Step 1> 川の水を取水場で取り込む
<Step 2> 浄化場できれいな水になる
<Step 3> 水はいったん配水池に貯められる
<Step 4> 配水管を通って各家庭に運ばれる

では、このフローをもとに、取水制限と給水制限について解説します。

取水制限は水源から取る水の量を減らすこと

取水制限は、上記のフローでいうと<Step1>に関わることです。渇水では、川の水が少なくなっているため「川(水源)の水を、取り込む量を少なくする」必要があります。これが「取水制限」です。

つまり、取水制限では、浄化されるまえの水の量が減ります。したがって、取水制限がおこなわれても、<Step3>配水池に貯められている水があるので、すぐ断水になるわけではありません。ですが、断水にならないよう、節水を心がけることは必要です。

川の水量はいつもダムで調整されている

川の水は自然な状態でも一定ではありません。渇水という水不足まで至らなくとも、川を流れる水の量は常に増減しています。

そのため、川の水が少ないときには、ダムに貯めておいた水を流しています。そうすることで、わたしたちに安定して水が届くようになるのです。

一方、雨では川の水の量が増えます。そこで、川の上流で大雨が降ったときは、ダムに雨水を貯めておきます。そうすることで、下流へと水が一気に流れて洪水になることを防ぐのです。 

給水制限は家庭に流す水の量を減らすこと|断水もあり得る

では次に、「給水制限」についてお話します。
給水制限は、さきほどのフローで見ると<Step4>に関わることです。

つまり、給水制限とは「浄化された、家庭へ運ばれる水の量を減らすこと」です。したがって、給水制限は、わたしたちの生活に直接、影響が及びます

給水制限には「減圧給水」と「時間給水」がある

給水制限には2種類あります。

1つ目は「蛇口からでる水の量が少なくなること(減圧給水)」です。これは、水道の圧力を下げることで届ける水の量を減らすため、“減圧”給水というわけですね。

2つ目は「水のでる時間帯が限られること(時間給水)」です。たとえば、1日のなかで、水がでるのは“16時から21時だけ”という感じです。これは逆にみると「時間を限定した断水」と言うことができるでしょう。実際、過去の渇水では、時間給水が各地で実施されています。

ここまでは、渇水にともなっておこなわれる、取水制限と給水制限について解説しました。

では次に、渇水による取水制限と給水制限の状況をチェックできるサイトをご紹介していきましょう。

最新の渇水情報はここでチェック!|水資源機構

独立行政法人水資源機構のサイトでは、ダムに関する情報のほか、最新の渇水情報を知ることができます。

現在(2022年5月19日)は、「令和4年1月からの渇水」として、本社(埼玉県)・関西管内・四国管内において渇水対策本部が設置されたこと、各水系における取水制限の状況が時系列で示されています。

また「家庭でできる節水の方法」には、洗濯・お風呂といった場面ごとにすぐ実践できる節水方法が紹介されています。ほかにも、防災関連情報キッズコーナーもあるので、ぜひ一度、チェックしてみてはいかがでしょう。

国土交通省のサイトで「取水制限」をチェック

国土交通省では『水資源』のなかで、その年の渇水状況を示しています。
今回は『令和4年度の渇水状況について:全国の渇水状況』をもとに解説しましょう。

取水制限の定義

はじめに、このサイトで使われている「取水制限」の定義を確認しておきます。

国土交通省『令和4年度の渇水状況について:全国の渇水状況』で使われている「取水制限」の定義
河川管理者が渇水に関する体制を執っている河川のうち、 下記いずれかを満たす河川を指すものである。 
①取水施設からの取水量が制限されている河川
②水源施設からの補給が原料されている河川

※国土交通省「令和4年渇水状況について(4月25日現在)」より

少し難しい表現ですね。ここまで本記事でお伝えした内容をもとに、①②を言い換えてみましょう。

■国土交通省のサイトでいう「取水制限」とは、
 ①「取り込まれる水の量」が制限されている川、(または)
 ②「ダムから流される水の量」が減らされている川 

いかがでしょうか。
①②に関連する本記事の説明箇所は、①がこちら(取水制限は水源からとる水の量を減らすこと)、②がこちら(川の水量はいつもダムで調整されている)です。

では、このサイトでわかることを具体的にお伝えしていきましょう。

取水制限中の川、割合、ダムの貯水率がわかる

このサイトでは「取水制限」がおこなわれている川の状況が、具体的な数値とともに示されています。
川ごとに示される内容は異なるのですが、次の点を知ることができます。

国土交通省『令和4年度の渇水状況について全国の渇水状況』でわかる内容

1.取水制限にかかわる河川
 *取水制限がおこなわれている川
 *状況を注視している川
 *川の流れが回復された川
2.取水制限の開始時間
3.取水制限の割合
 (水道用水・工業用水・農業用水)
4.ダムの貯水率

現在(2022年5月19日)このサイトには、4月25日時点における、8つの川でおこなわれた取水制限の状況が掲載されています。

そのなかの一つ、大阪府・兵庫県および京都府に関わる猪名川(いながわ)では、3月23日10時から、水道用水・農業用水ともに「20%の取水制限」がおこなわれ、一庫(ひとくら)ダムの「貯水率は27%」と示されています。

なお、国土交通省では『渇水情報総合ポータル』として、渇水に関するさまざまな情報を掲載しています。たとえば「全国のリアルタイムダム情報一覧」では、ダムごとに、流域の平均雨量・貯水量・流入量・放流量・貯水率を見ることができます。

都道府県別に合計117のダムについての情報が掲載されているので、お住まいの地域のダムをチェックするときには、便利に使えそうですね。

厚生労働省のサイトで「給水制限」をチェック

厚生労働省が公開している「渇水に伴う給水制限情報」では、給水制限の情報を得ることができます。

今回は、平成30年6月4日に沖縄県座間味村でおこなわれた給水制限(夜間断水)のケースをもとに、このサイトで知ることができる内容を、お伝えします

■厚生労働省『渇水に伴う給水制限情報』でわかる内容 
(→平成30年6月4日沖縄県座間味村における給水制限の情報)
1.断減水の状況
(→21時~翌7時の夜間断水を実施)
2.主な水源の現状
(→沖縄県本島の主要水源、11ダムの貯水量46.3%)
3.応急対策
(→村民、観光客へ「節水」を呼びかけ)
厚生労働省:渇水にともなう給水制限情報【別添2】3頁より一部抜粋 

このケースでは、6月に3回(4日・11日・19日)情報が発表されています。
今後、渇水によって給水制限がおこなわれた際は、このサイトからも状況がチェックできそうですね。

渇水をまねきやすい日本の特徴(原因)|川・雨の降り方

渇水になる直接の原因は「長期間雨が降らない、または、降っても小雨であること」です。ですが、この「雨」に関連する「日本の特徴」を知ることで、渇水の原因を、より具体的に知ることができます。

では早速、その“2つの特徴”を見ていきましょう。

日本の川は「短くて急勾配」海まで一気に流れやすい

1点目は日本の「川の特徴」です。

日本は国土の4分の3が山地とされています。中部地方の日本アルプス(飛騨山脈・木曽山脈・赤石山脈)は標高が高く有名ですが、そのほかにも各地方それぞれに山脈が連なっています。そのためほかの国と比べると「海までの距離が短い」という特徴があります。

さらに、山地は平地よりも起伏が大きく斜面が急なため、山間部を流れる川は急勾配となり、降った雨は上流から下流へと流れやすくなるのです。
このことは、豪雨時に洪水を引き起こしやすい原因とも言えます。

降水量は多いが、梅雨と台風の時期に集中している

2点目の特徴は「雨の降り方」です。

日本は他の国と比べ、年間の降水量は多いものの、雨が平均して降るのではなく「梅雨と台風の時期に集中している」という特徴があります。そのため、空梅雨(からつゆ)などで雨が少ないと、渇水をまねきやすくなのです。

実際、国土交通省「平成29年渇水のまとめ 」では、『5月から8月の降水量が平年の6割程度』だったとされています。

このように日本では、雨が降っても海に流れやすく、雨が多く降るときとそうでないときの差が大きいため、渇水になりやすいのです。

まとめ|水不足がもたらす渇水の影響と大雨による災害

今回は、渇水をもたらす日本の特徴と、渇水にともなう取水制限給水制限の意味を解説しました。

近年、日本では豪雨などの大雨による被害が毎年のように発生しています。大雨がもたらす影響は、人命が失われてしまうこともあるほど甚大なものです

一方で、今回お伝えした渇水は、雨不足がもたらすものです。言うまでもなく、水は日常生活だけでなく、工業用や発電用など、社会生活を維持していくために不可欠です。

わたしたちは、水のありがたみに感謝しつつも、水がもたらす災害に苦しめられる、という困難な状況にあるのかもしれません。

自然災害を防ぐためにできることは、限られているかもしれませんが、備えることはできます
そのためには「正しい情報を得ること」が大切です。今回ご紹介した、国土交通省のサイト厚生労働省のサイトもぜひご活用ください。

【参考文献】
国土交通省:カワナビ『vol.9 渇水を乗り切る 水インフラの力』https://www.mlit.go.jp/river/kawanavi/prepare/vol9.html

国土交通省:カワナビ『vol.2 ダムを楽しむ 実は!ダムは楽しい』https://www.mlit.go.jp/river/kawanavi/enjoy/vol2.html

政府広報オンライン『飲み水はどこから?使った水はどこへ?暮らしを支える「水の循環」』https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201507/4.html

仙台市水道局:キッズページ『水はどこからくるの?』https://www.suidou.city.sendai.jp/nx_html/08-kids/08-201.html#:~:text=%E6%B5%84%E6%B0%B4%E5%A0%B4%E3%81%A7%E6%B0%B4%E9%81%93%E6%B0%B4,%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%81%B8%E9%80%81%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82

独立行政法人 水資源機構  https://www.water.go.jp/honsya/honsya/index.html

独立行政法人 水資源機構『渇水情報』https://www.water.go.jp/honsya/honsya/suigen/kassui/index.html

国土交通省:水資源『令和4年度の渇水状況について:全国の渇水状況』https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/mizsei/mizukokudo_mizsei_fr2_000017.html

国土交通省:水資源『渇水情報総合ポータル』https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/mizukokudo_mizsei_kassui_portal.html

国土交通省:水資源『全国のリアルタイムダム情報一覧』https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/mizsei/mizukokudo_mizsei_tk2_000024.html

厚生労働省『渇水に伴う給水制限情報』https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/topics/dangensui.html

国土交通省『平成29年渇水のまとめ 』https://www.mlit.go.jp/common/001216263.pdf

(以上)


備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

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この記事を書いた人

東北出身&在住フリーライター。
広告代理店・NPO・行政で勤務後、在宅ワーカーに転身。
妊娠中に東日本大震災に遭い、津波から避難・仮設住宅で子育てをする。
本サイトでは「命を守るために知っておきたいこと」「日常に潜むリスクへの備え」などについて発信します。
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