フェーズフリーとは、「日常/災害」と分けて捉えるのではなく、どのような状況下でも、私たちの生活や命が守られるものにしよう、というものです。
この考え方をコンセプトにした商品が販売されている一方で、フェーズフリーは新しい考え方のため、「まだ社会にはない新たなモノ・サービス」が生まれることが大いに期待されているのです。
今回は「フェーズフリーな商品」のほか、「フェーズフリーな社会に参加する方法」として、アイデアを応募または審査員になるなど具体的な方法をご紹介します。
「備えの大切さはわかるけど、思うように進まない・・」「こんなモノ・サービスがあったら、今も災害時も助かるのに・・」というお悩みはありませんか。
フェーズフリーを知ることで、そのようなお悩みも解決できるかもしれません。ぜひフェーズフリーについて学んでみましょう。
フェーズフリーは「いつも」と「もしも」を分けない考え方
フェーズフリーの普及活動や商品開発、さらに企業や自治体などへの助言支援をおこなう「一般社団法人フェーズフリー協会(以下、フェーズフリー協会)」。
ホームページではフェーズフリーについて、次のように書かれています。
フェーズフリーとは、ふだん身のまわりにあるモノやサービスを「日常時」と「非常時」というフェーズ(社会の状態)からフリーにして、いつもともしもに関わらず生活の質を向上させ、私たちの生活や命を守ってくれるものにしようという新しい考え方です。
※フェーズフリーアワード「フェーズフリーとは」
「災害は起きるけれど、備えるって難しい。でも、大切な人を絶対に守りたい」フェーズフリーは、このような想いから生まれました。
※フェーズフリーアワード「フェーズフリーが生まれた経緯」
「いつも」のものが「もしも」の時にも使えて役立つ。だから、私たちの生活や命が守られることにつながるのですね。
それでは、実際にどのようなモノ・サービスが「フェーズフリーな商品」として存在しているのか見てみましょう。
フェーズフリー商品|日常/災害時ともに価値ある商品
フェーズフリー協会では、フェーズフリーの考え方にもとづいて商品の認証をおこなっています。
◆「フェーズフリー認識」とは、
商品やサービスが日常時も非常時も価値を持つことを一般社団法人フェーズフリー協会が認証する制度です。
※フェーズフリー協会「フェーズフリー認証」
5つの基準にもとづいて、審査に合格した商品は「フェーズフリー認証マーク」を商品に付けて販売することが可能となります。
それでは、フェーズフリー認証マークのついた商品を「運動」と「電気」というポイントから2点ご紹介しましょう。
その他の認証商品一覧はこちらからみることができます。ぜひチェックしてみてください。
運動不足を解消&エコノミー症候群の予防
scottie(スコッティ)では、平常時には「健康意識の向上」に、災害時には「エコノミークラス症候群の予防」に使えるティッシュ-ボックスで、フェーズフリー認証を取得しました。
肩や全身のストレッチなど8つのエクササイズが、この商品を使ってできます。サイトではエクササイズの方法を動画で見ることができるので、ぜひ見てみてくださいね。
コンセントの位置を気にせず充電&停電時の電気供給
株式会社オカムラでは、ポータブルバッテリーでフェーズフリー認証を取得しました。
日常時には「コンセントの場所にとらわれずに充電」でき、災害時には「停電下でも情報収集等が可能」な商品です。ノートパソコンで3.5回分、スマホで14回分のバッテリー容量があります。
これらのほかにも、フェーズフリー認証を取得した商品はまだまだあります。認証は商品というモノに限りません。日頃から利用する施設や公園といった場所もあります。
フェーズフリー認証商品一覧はこちらから、フェーズフリー認証を受けた企業・法人はこちらから、それぞれ確認できます。ぜひチェックしてみてくださいね。
認証マークの取得に必要な5つの基準
フェーズフリーな商品を使っていると、自然と防災への意識が高まるかもしれません。
その結果、それまでは何気なく使っていた身の回りのモノ・サービスに対して「災害時でも便利に使えたらいいのに」と防災の視点で捉えるようになる可能性も。
ぜひ、フェーズフリー認証の基準を知り、あなたのアイデアの具現化にお役立てください!
◆フェーズフリー認証「5つの基準」※フェーズフリー協会「フェーズフリー認証」
- ①常活性・・どのような状況においても利用できること
- ②日常性・・日常から使えること、日常の完成に合っていること
- ③直感性・・使い方、使用限界、利用限界が分かりやすいこと
- ④触発性・・気づき、意識、災害に対するイメージを生むこと
- ⑤普及性・・参加でき、広めたりできること
フェーズフリー認証の申請方法は、こちらから確認することができます。
では次に、私たちがフェーズフリー商品を購入する以外でできる「フェーズフリーな社会への参加方法」をお伝えしますね。
フェーズフリーアワード|”あったら便利”を「応募」または「審査員」になる
フェーズフリー協会における活動の柱の一つに「フェーズフリーアワード」があります。
これは、フェーズフリーなモノ・アイデアを発見することなどを目的に、応募対象を審査、フェーズフリー性がより高いモノ・サービスを決定するものです。2021年に第1回がおこなわれ、2022年に第2回が実施されます。
それでは、私たちが参加できる2つの方法、詳しく見てみましょう。
すでにある商品&あったら便利な商品「どちらも応募できる」
フェーズフリーアワードへの応募は、次の2部門に分かれています。
◆事業部門
社会にすでに存在し、募集締切日において利用・購入が可能なもので、フェー ズフリーな特性を備えているもの
◆アイデア部門
社会にいまだ存在せず、あるいは募集締切日において利用・購入が可能でないもので、フェーズフリーな特性を備えているもの。着想段階のもののほか、調査・研究も含む
※フェーズフリーアワード「応募について」
入選および受賞対象には、認証マークより上位の「フェーズフリーアワードエンブレム」が付されます。
「こんな商品があれば、日常時も災害時も便利なのになあ・・」というイメージがある方は、この機会にぜひ応募してみてはいかがでしょう。フェーズフリーアワードには、フェーズフリー認証を取得済および申請中でも応募することができます。
応募にあたっては、事前にエントリーが必要となり、2022年は1月17日(月)~5月26日(木)までです。
応募要項など詳しい内容は、こちらから確認することができます。
インターネットで「審査員として参加」~オーディエンス
「アイデアはないけど、フェーズフリー商品には興味がある!」という方は、「オーディエンス」として参加してはいかがでしょう。
事前に「オーディエンス」として登録した方が、インターネットを使ってフェーズフリーアワードへ応募された対象の中から「これこそフェーズフリー」と思うものに投票することができるのです。そしてその行動は「オーディエンス賞」へとつながるのです。
あなたの想いをぜひ、1票に込めてみませんか?
◆2022年度「オーディエンスの登録および投票期間」
・オーディエンス登録期間:2022年3月11日(金)13:00 ~ 9月1日(木)10:00
・オーディエンス投票期間:2022年8月 6日(土)10:00 ~ 9月1日(木)10:00
※フェーズフリーアワード
なお、第1回の受賞対象はこちらから見ることができます。「へえ~こんなモノがあるんだあ」と新たな発見があるかもしれませんよ。
まだまだある「フェーズフリーな社会に参加」する方法
「アイデアはないけど、フェーズフリーの考えには賛同できる!」「まずはもっとフェーズフリーについて知りたい」といった方に向けた、「フェーズフリーの社会に参加する方法」をお伝えしますね。
「フェーズフリーアクションパートナ」になる~個人・企業・団体
「フェーズフリーの考え方に賛同した!」という方は「フェーズフリーアクションパートナー」になるという方法があります。個人、企業、団体いずれの方も申請できます。
申請することで「フェーズフリーパートナーマーク」を使うことができるようになり、名刺やチラシ、WEBサイトなどあらゆる媒体で活用することができます。
個人で申請する場合、必要なものは身分証明書のみです。申請・登録は無料、約1ヶ月でフェーズフリーアクションパートナーとしての登録が完了し、フェーズフリーパートナーマークを使うことができるようになります。
フェーズフリーアクションパートナーのパンフレット(PDF)はこちらから。
より詳しい内容が知りたい場合は、こちらから確認することができます。
「フェーズフリージャーナル」でフェーズフリーを知りつくす!
「もっとフェーズフリーについて知りたい」ときは、「フェーズフリージャーナル」があります。
フェーズフリーに関するコラムや商品開発秘話、フェーズフリーの最新動向などを知ることができます。
気軽に読むことができるので、まずは「フェーズフリーを知る」という参加をしてみるのも良いですね。
日常をより良くすることで防災対策にもつながる
2回目の開催となる「フェーズフリーアワード2022」の合言葉は、
「いつも」を良くする。「もしも」も良くする。社会が変わる。
※フェーズフリー協会「フェーズフリーアワードとは」
『「もしも」に備えなければならない』と思う気持ちはとても大切で、必要なことだと思います。なぜなら「もしも」の状態は人を不安にさせ、命の危険までもたらすものだから。
その一方で、「もしも」に備えてだけ、多くのコストや時間といった物理的、精神的余裕をかけられない「いつも」があります。
フェーズフリーは一つの考え方ですが、もしかしたら滞っていた防災対策の歩みを、少し前に進めてくれるものかもしれません。
ぜひあなたにできる「フェーズフリーへの参加」してみませんか?
【参考文献】
一般社団法人フェーズフリー協会 https://phasefree.or.jp/
一般社団法人フェーズフリー協会「フェーズフリー総合サイト」https://phasefree.net/
(以上)