気圧の谷とは?天気が悪くなる理由・天気もわかりやすく解説

本サイトはプロモーションが含まれています。

前回は天気予報でほぼ聞くことのない「気団」について解説しました。

今回はこれとは反対に、よく耳にする「気圧の谷」についてお伝えします。

『気圧の谷の影響で天気がくずれるでしょう』と聞くこともあり、「気圧の谷=天気が悪くなる」とイメージしている方も多いのではないでしょうか?

本記事では「気圧の谷とはなにか?」そして、「なぜ気圧の谷で天気が悪くなるのか?」「どんな天気になるのか?」について解説します。

気象用語は理解がむずかしいものも多いですが、できるだけ簡単に解説するので、ぜひ最後までご一読ください。

目次

気圧の谷とは「気圧が低い谷」

さっそく「気圧の谷」の定義を確認しましょう。

高気圧と関係

気象庁では次のように定義しています。

高圧部と高圧部の間の気圧の低いところ

気象庁|気圧配置 気圧・高気圧・低気圧に関する用語より引用

高圧部とは“高気圧”とほぼ同義語です。

したがって、気圧の谷とは「高気圧と高気圧の間にある気圧が低いところ」を意味する概念となります。

ちなみに、高圧部と高気圧の違いは「等圧線がかけるかどうか」です。

高圧部は等圧線がかけません(高圧部の定義はこちら※気象庁サイトで確認できます)。

Sachiyo

「等圧線」とは天気図において、気圧がおなじ地点をむすんだ線のこと。高気圧は等圧線で見ることができますね。

そのため、天気図をみたときに高気圧の位置はすぐわかりますが、高圧部はその概念を知らないと理解することができないのです。

では、話を気圧の谷の説明にもどしましょう。

低気圧との関係

「気圧が低いところ」と言えば、低気圧を思いかべる方も多いことでしょう。

実は、気圧の谷と“低気圧”はほぼ似たような意味なのです。

気圧の谷と低気圧の違いも「等圧線がかけるかどうか」であり、低気圧は等圧線で囲まれていますが、気圧の谷はそのように示すことはできません。(低気圧の定義はこちら※気象庁サイトから)

そして、気圧の谷のもうひとつの意味がこの低気圧と関係しているのです。

低気圧の中心から伸びている

気圧の谷の存在は、低気圧の位置からも知ることができます。

低気圧の意味(goo辞書より)

天気図で、低気圧の中心からV字状またはU字状に細長く伸びている低圧部

一般に南北方向が多く、その東側では天気が悪い。トラフ。

goo辞書「気圧の谷」より引用 ※太字は筆者加筆

低圧部も等圧線で示すことができません(低圧部の定義はこちら※気象庁サイトから)。

ここまで見てきたように、気圧の谷は等圧線で示すことができません。そして、“気象記号”(天気図上で気圧や風向などを示した記号)にも気圧の谷はありません

ですが、“天気図”の解説のなかで気圧の谷を表記したものを見つけたので、ご紹介します。  

天気図で気圧の谷をチェック!

コトバンク「天気図」に掲載された画像には、天気図上に「気圧の谷」という言葉があります。

それが下の画像です。

出典:コトバンク「天気図」https://kotobank.jp/word/%e5%a4%a9%e6%b0%97%e5%9b%b3-102180 ※緑線は筆者加筆

緑の線が気圧の谷と並行して引いてあります。

まず、左側の気圧の谷(緑の線)は、さきほど説明した低気圧(=天気図上“L”)の中心部からのびています。

そして、右側の気圧の谷は、その左右にある高気圧(=天気図上“H”)の間に位置していることがわかるでしょう。

このように、天気図上で気圧の谷の存在を知るには、低気圧や高気圧の位置を知ることで明らかになるのです。

なお、天気図には大きく分けて、地上天気図と高層天気図があります。通常わたしたちが見ているものは地上天気図です。そして、気圧の谷という言葉は地上天気図で用いられる用語であり、高層天気図では「トラフ」とよばれています。

気圧の谷が近づくと天気が悪くなるのはなぜ?

気圧の谷は、その名のとおり“谷”になっていると言います。

そして、地上天気図または大気上層の状態を示す高層天気図であれ、気圧の谷がみられたときには悪天候の原因となるのです。

大気が不安定になる

日本に気圧の谷が接近・通過するときには、寒気をともなっていることが多いとされています。

そのため、接近・通過時に“暖かくて湿った空気”があると大気の状態が不安定となるのです。

「大気が不安定」というのは、寒気と暖気がぶつかり大気の流れに変化がおこった状態です。その結果、雷雲が発達・雷雨や竜巻などの突風、雹(ひょう)が降ることもあります。

雹(ひょう)が降ることもある

気象庁によると、雹(ひょう)は春や秋に降ることが多いとされています。

雹(ひょう)の大きさはさまざまですが、過去(1917/大正6年)には埼玉県において『直径29.5センチメートル、かぼちゃ大、重さ約3,400グラム』のものが降ったのです。※出典:熊谷地方気象台|かぼちゃの大きさの雹(ひょう)について

最近では2023年10月25日、やはり気圧の谷の影響で大気が不安定となり、東京都心で雹(ひょう)が降っています。

海外では直撃による死亡事例もあるため、屋外にいるとき雹(ひょう)が降ったら、頭をバッグなどで守りながらすばやく屋内に避難することが大切です。

まとめ|大事な5つのポイント

本記事では「気圧の谷とは?」そして、「なぜ気圧の谷で天気が悪くなるのか?」「どんな天気になるのか?」についてお伝えしました。

以下に、主な点を簡単にまとめます。

気圧の谷とは?

  • 高圧部と高圧部の間の「気圧の低いところ」
  • 低気圧の中心から細長く伸びている低圧部 

なぜ天気が悪くなるの?

  • 気圧の谷が接近・通過するときは“寒気”をともなっていることが多い。
  • 寒気(冷たい空気)と暖かく湿った空気の影響により大気が不安定となる。

具体的にはどんな天気?

  • 不安定な大気は豪雨や突風の発生・雹(ひょう)を降らせることもある。

今回は気圧の谷について、できるだけわかりやすく解説しました。そのため、もしかしたら「この意味ってどういうこと?」とあらたに疑問に感じる点があったかもしれません。

そのようなときには、気象庁の「予報用語」「はれるんライブラリー」で調べてみるのもよいでしょう。

「予報用語」では天気予報などで用いられる言葉を解説し、「はれるんライブラリー」は子ども向けサイトのため簡潔にまとめられています。

ぜひこれらもご活用しながら、わたしたちの生活に身近な気象について学んでみるのもよいですね。

【参考文献】
*コトバンク「気圧の谷」
*松山地方気象台「気象と気象用語」 
*Wikipedia「気圧の谷」
*はれるんライブラリー|どうして「ひょう」が降るの?
*テレ朝news|スペインで巨大ひょう 頭直撃で女児死亡 約50人けが
*YAHOO!JAPANニュース|東京都心で「ひょう」か バチバチ、慌てて軒下に駆け込む

(以上)

備えておこう!おすすめの防災グッズ

これから用意しようと思っている方におすすめなのが「Defend Future」の防災士が監修した防災グッズ。自分でリュックに詰められるようになっていたり、簡単に手に入りやすい紙皿などは除いているなど、個人が防災にきちんと向き合えるようになっています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

東北出身&在住フリーライター。
広告代理店・NPO・行政で勤務後、在宅ワーカーに転身。
妊娠中に東日本大震災に遭い、津波から避難・仮設住宅で子育てをする。
本サイトでは「命を守るために知っておきたいこと」「日常に潜むリスクへの備え」などについて発信します。
詳しいプロフィールはこちら

目次