ホワイトアウトとは、『視界が白一色になる現象(参考:気象庁「雪に関する用語」)』のことです。冬の雪道を運転するとき、注意しなければいけない一つです。
今回は、ホワイトアウトに遭遇したときどうするか、「車の運転」そして「車内での注意点」に分けて解説します。
また、ホワイトアウトでの閉じ込めにそなえ「普段からできる3つのこと」もお伝えするので、雪が降る季節を運転する際には、ぜひ参考にしてみてくださいね。
それでは最初に、ホワイトアウトという言葉のイメージがもたらす“誤解”から解いていきましょう。
ホワイトアウトは吹雪でなくとも起こり得る
ホワイトアウトは先述のとおり、視界が雪でまったく見えない状態になることです。そのように聞くと、ホワイトアウトは吹雪のときだけ注意すればいいと感じる方がいらっしゃるかもしれませんね。
ですが、そうとも限らないのです。たとえ吹雪でなくても、周囲に降り積もっている雪が“強風”で巻き上げられたことで、ホワイトアウトをひきおこすことがあるのです。とくに、周囲に風を遮る建物などがない状況では注意が必要です。
まずは、この点を頭に入れておいてくださいね。
ホワイトアウトになったら車の運転はどうする?
それでは早速、ホワイトアウトに遭遇したらどうしたらよいのか。まずは、車の運転についてお伝えします。
➀急ブレーキをふまない
運転中に目の前が見えなくなると、無意識にブレーキをふまなきゃ!と焦ってしまうかもしれません。ですが、急ブレーキはホワイトアウトのときに限らず、後方車に追突されたり、スリップしてしまう可能性があります。
では、どうすればよいのでしょう。
➁ハザードランプをつけて減速
ホワイトアウトに遭遇したらハザードランプをつけて、自分の車の存在を知らせます。そして、ゆっくりブレーキをふんで時速10kmほどに減速し、コンビニなどひらけた安全な場所で停車します。もし、道路の端に停車するときは、歩行者や障害物などに気をつけて停車しましょう。
では次に、ホワイトアウトに遭遇して身動きができない状況のときどうするか?について、見てみましょう。
ホワイトアウトで身動きできない!救助がくるまでどうする?
ホワイトアウトで車が身動きできない状況に陥ったら、救助要請しましょう。救助要請は、道路緊急ダイヤル「#9910」番、JAFの救援ダイヤル「#8139」、警察「110番」があります。それでは、救助を待つ車内での注意点を見ていきましょう。
➀車から離れない
確実に避難先がわかっていたり救助者がいるときでなければ、外に出てはいけません。
周囲が真っ白な状況のなか、車内にとどまっていることも恐怖かもしれません。ですが、視界がないなかでは、自分が遭難してしまう危険があります。また、走行車に接触してしまう危険もあります。
➁一酸化炭素中毒に気をつける:マフラーの雪をどける
寒さ対策で車のエンジンをかけている場合、一酸化炭素中毒に気をつけなければいけません。車のマフラーが雪でおおわれてしまうと、排気ガスが車内に逆流し、一酸化炭素中毒になる危険があるのです。
一酸化炭素は、毒性が強いにもかかわらず臭いがしません。そのため、気づかないうちに中毒になってしまう危険があります。中毒症状は、軽い頭痛からはじまり、めまいや吐き気、失神、そして死に至ります。
マフラー付近の雪をどける、風下側の窓を少し開けて換気するといった対策をとりましょう。
(参考)一般社団法人 日本ガス石油機器工業会「一酸化炭素(CO)中毒に注意!」
③エコノミー症候群に注意:足の運動やマッサージをする
救助までに長時間を要するようなときは、エコノミー症候群に気をつけましょう。エコノミー症候群とは、狭い空間で十分に水分をとらずに血栓ができ、肺につまると血管を詰まらせる原因となるものです。
防止するためには、『足を上下につまさき立ち』したり『ふくらはぎをマッサージ』などをすると良いでしょう。
厚生労働省では、エコノミー症候群の予防についてリーフレット(PDF)を作成しています。予防のために心がけると良いことや、足の運動についてイラスト入りで解説しているので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょう。
ホワイトアウトでの閉じ込めにそなえ普段できる3つのこと
「悪天候のときは運転したくない」と誰もが思うのではないでしょうか。ですが、仕事や急用など、どうしても車を運転しなくてはいけない時もあるでしょう。
そこで、そうなったとき慌てて対策することがないよう事前にできる備えをお伝えします。
ガソリンを十分に給油しておく
ホワイトアウトに遭遇した場合、長時間、車内に閉じ込められる可能性があります。そうでなくても、雪道での運転は、普通の道よりもガソリンの消費が早くなりますし、暖房もつかうでしょう。「冬の運転ではガソリンを十分に」を心がけましょう。
寒さ対策用品を積んでおく
寒い季節になったら、車内に防寒具や毛布といった寒さ対策用品を積んでおきましょう。ホワイトアウトに遭遇したときはもちろんですが、どこで事故や大地震にあい車内で過ごすことになるかわかりません。
エマージェンシーシート(体に覆うことで、体の熱を反射して温かくさせるもの)であれば、スペースをとらないので狭い車内でも気にならないでしょう。
雪の作業にそなえた物を準備する(手袋・スコップ・長靴など)
先ほどもお伝えしましたが、一酸化炭素中毒を予防するためマフラーが雪でふさがれないようにしておく必要があります。なにも準備していないと、素手でかき分けなければならなくなってしまうため、防水・防寒手袋は必須でしょう。また、スコップやスノーブラシ、長靴といったものもあると作業しやすくなりますね。
ホワイトアウトへの対策を知って冬のレジャーを楽しもう
スキーやワカサギ釣りなど冬ならではの楽しみがあり、そのようなレジャーでは遠出で慣れない道を運転することもあるでしょう。土地勘のない道でホワイトアウトに遭遇するのは、より恐怖心を感じるものです。
ですが、ホワイトアウトに遭遇したときどうすればよいか知っているのとそうでないのとでは、感じる恐怖心の度合いも変わってくるのではないでしょうか。
「ハザードランプをつけて減速」「車内では一酸化炭素中毒・エコノミー症候群に注意」「ガソリンは十分に・寒さ対策用品を積んでおく」、これらを頭に入れつつ、いつも以上に安全運転を意識しながら、ぜひ楽しい冬のレジャーをお楽しみくださいね。
【参考文献】
ホンダレンタカー「北海道で運転中にホワイトアウトに遭った場合は?対処法もご紹介」
JAF「 [Q]豪雪で身動きが取れなくなったときの対応は?」
NHK「“ホワイトアウト” その時どうする?対策と注意点は」
(以上)